メルセデス・ベンツ新型AクラスとBクラスがSクラスと同等のMBUXを採用した理由



メルセデス・ベンツの新型AクラスとBクラスが発表された。どちらも1.4L直4ターボか2.0Lのディーゼルターボが選べ、Aクラスにはセダンもある。Aクラスは4モデルで、価格は498-570万円、Bクラスは537万円と573万円。

メルセデス・ベンツは、小さくて安全性の高いクルマが欲しいという声に応え、1997年に初の前輪駆動のコンパクトカー「Aクラス」の販売を開始した。このAクラスは、衝突時にエンジンが乗員の生存空間を押し潰し、エンジンがずり下がることを防ぐサンドイッチコンセプトを採用したことで注目され、コンパクトでありながら高い安全性を確保したモデルであった。さらに2005年2月には、サンドイッチコンセプトを踏襲した2代目がフルモデルチェンジし、トランスミッションにメルセデス初のCVTを採用し、正常進化を遂げる。その後、2013年1月に発表された3代目Aクラスは、デザインを一新し、コンパクトクラスながら運転支援システムをはじめとする充実した装備で新たな顧客の獲得に成功した。2018年10月には4代目Aクラスが発表され、2019年7月にはセダンタイプも発表された。

今回発表する新型Aクラスについてご紹介する。Class for everydayというメッセージが示すように、バランスのとれたスポーティでワイド&ローなプロポーションで、毎日でも使える上質なクルマになっている。また、Sクラスと同等の最新世代のインフォテイメントシステムMBUXを搭載し、ボディタイプは従来通りハッチバックとセダンの2種類を用意している。

さて、どんな人がAクラスのハッチバックを買っているのだろうか?主な購買層は、会社員、主婦、会社を退職した人たちだ。平均年齢は56歳で、男女比は男性64%、女性36%。購入の主な理由は、外観デザイン、ボディサイズ、安全性だという。次に、Aクラスセダンの顧客プロファイルをご紹介する。購入者は、主に会社員や退職した会社員だ。平均年齢はAクラスハッチバックとほぼ同じ58歳で、男女比は男性72%、女性28%とやや男性寄りだ。購入理由は、ボディタイプがセダンであること、エクステリアデザイン、安全性などが主な理由だ。思ったより年齢層は高いという印象だ。

インテリアに目を移すと、同車のコックピットディスプレイには、ワイドスクリーンのように宙に浮いているように見える10.25インチディスプレイを採用。また、2つの10.25インチメディアディスプレイを組み合わせたスタンドアロンディスプレイも装備している。また、車内のアンビエントライトは64色の好みの色でカスタマイズでき、近未来的でユニークな雰囲気を演出している。また、円形の吹き出し口は、航空機から着想を得たデザインで、3つ並んだジェットタービンをイメージしている。さらに、リアビューカメラやワイヤレス充電など、メルセデスにふさわしい先進的な機能を搭載している。

新型Aクラスは、ハードウェアとソフトウェアの両面で大きな進化を遂げた。最新世代のMBUXは、ステアリングホイールにナッパレザーで作られた静電容量式センサーを備えたタッチパッドを採用している。従来のトルク感能型と比べ、ドライバーのステアリングホイールの握りを認識し、ハンズフリー時のディスタンスアシストディストロニックの使い勝手を向上させている。また、センターコンソールに設置されていたタッチパッドを撤廃することで、よりすっきりとしたインテリアデザインとなっている。このタッチパッド撤廃は、Bクラスも同様で、ユーザーの声、高まる機能性、デザイン面が総合して今回の決定に至ったということだった。コックピットディスプレイとメディアディスプレイは、美しいホリスティックデザインを採用し、クラシック、スポーティ、ジェントルの3つの表示スタイルでカスタマイズできる。センターのメディアディスプレイは、従来の機能であるナビゲーション、メディア、電話、車両を備え、タッチスクリーンで簡単に操作できるようになった。A180モデルにはオプションのナビゲーションパッケージが用意されていますが、その他のモデルにはMVXARナビゲーションとエンターテインメントパッケージが標準装備され、アドバンスドサウンドシステムが備わっている。

続いて新型Bクラスとその歴史だ。初代Bクラスは、Aクラスで採用されたサンドイッチのコンセプトを踏襲し、2006年1月にデビューした。ボディサイズと室内空間の拡大により、日本でも人気の高いモデルとなった。2012年4月にはフルモデルチェンジを行い、次世代型となったBクラスは、運転支援システムの採用により、引き続きファミリー層に人気の高いモデルとなっている。2019年6月に発表された3代目Bクラスは、4代目Aクラスと同じインフォテインメントシステムMBUXを搭載し、運転支援システムをさらに進化させたモデルである。

新しいBクラスでは、様々な日常のニーズに対応する独自のスポーティーなプロポーションと、多目的に使える室内空間を備えたマルチパーパスコンパクトモデルだ。さらに、Sクラスと同等の最新世代のインフォテイメントシステムであるMBUXを採用しており、ARナビゲーションやアダプティブハイビームアシストなどの標準装備が備わっている。Bクラスの購入者のプロファイルは、Aクラスと同様に会社員や定年退職後の人が中心で、年齢や性別に関してもAクラスハッチバックとほぼ同等だ。購入理由については、Aクラスハッチバックセダンとは異なり、主にインテリアスペースの充実さを評価している。Bクラスも、予想より年齢層が高い。

新型Bクラスのエクステリアデザインでは、LEDヘッドライトやスポーティなフロントバンパーに加え、Aクラスと同様のスターパターンを採用したフロントグリルが新たに採用された。また、アルミホイールも新デザインとし、Bクラスのスポーツツアラーとしてのスポーティさをさらに強調した。また、リアデザインでは、リアディフューザーと2ピースのLEDリアコンビネーションランプを新たに採用し、ワイド感を強調したダイナミックなリアビューを演出している。 インテリアデザインは、Aクラスと同様、10.25インチのコックピットディスプレイと2つのスクリーンからなるメディアディスプレイを装備している。また、アンビエントライティングは64色に設定可能で、バックカメラやワイヤレス充電などメルセデスにふさわしい装備も搭載している。ステアリングホイールのデザインも、Aクラスと同様に最新世代となった。さらに、新型Bクラスは、スターパターンのトリムを採用した新しいインテリアトリムを採用している。新型Bクラスは、Aクラスと同様、ハード、ソフトの両面で大きく進化したものとなった。 Bクラスは、全車にARナビゲーション、エンターテイメントパッケージ、アドバンスドサウンドシステムを標準装備している。アドバンスドサウンドシステムは、合計10個のスピーカーで構成され、225Wの出力を発生し、より快適なサウンドを楽しむことができる。

Aクラス、Bクラスともにパワートレインを紹介したい。新型AクラスとBクラスの180モデルに搭載される1.4リッターガソリンターボエンジンM282は、三角柱の形状をしたデルタ型シリンダーヘッドを採用したのが特徴だ。従来のシリンダーヘッドに比べ、登場時の高さは高いが、幅と重量は小さく、軽量化と省スペース化を実現し、最高出力136ps、最大トルク200Nmを発揮する。また、200Dに搭載されるOM654ディーゼルターボエンジンは、最高出力150ps、最大トルク320Nmで、低振動・高静粛性を保ちながら、コンパクトなボディで力強い加速を実現する。運転支援システムについては、新型Aクラス、Bクラスにも、ステレオカメラ、レーダーセンサー、超音波センサーなどを活用した先進の運転支援機能が搭載されている。例えば、車線表示が不明瞭な場所でもガードレールや他の車両を検知し、ステアリングをアシストする「アクティブステアリングアシスト」。また、高速道路の渋滞時に30秒以内に自動再始動してドライバーの疲労を軽減する機能や、時速60km以下で前方に停止車両を検知した場合の自動ブレーキ、ドライバーが意識を失った場合などの緊急時に最大限安全に自動停止する機能なども備えている。また、メルセデス・ベンツでは、24時間緊急通報サービスやスマートフォンを使ったリモートドアロック・アンロック、車両位置検索など、快適なカーライフをサポートするMercedes me connect、Mercedes Careといった安心プログラムも提供している。また、Mercedes me connectでは、新車購入から3年間走行距離無制限の保証プログラムで、一般修理、定期点検、24時間ツーリングサポート、地図データ更新を無償で提供する。さらに、万一の場合に備えて、全国222カ所のアフターサービスポイントを用意している。

新型Aクラス、Bクラスとも平均50台後半という高い年齢層がゆえ、Sクラスと同等のMBUXを求めているということが推測できる。それなら、今回のような使い勝手の良さと、タッチパッド撤廃による操作性の向上を追求したのは正解なのではないだろうか。





トラックバックURL: https://topgear.tokyo/2023/02/57436/trackback

コメントを残す

名前およびメールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

ピックアップ

トップギア・ジャパン 064

アーカイブ