3列目シート7人乗りEV、メルセデス・ベンツ EQBが発売 冬には日本で世界初のEV専売拠点も

メルセデス・ベンツの電動化戦略は早かった。カーボンニュートラルの実現について世界中が向き合う中、メルセデス・ベンツは2016年にCASE戦略を発表した。2019年には2039年にバリューチェーン全体のカーボンニュートラルを目指すという、ミッション2039を掲げた。EQはこの実現のために生まれたブランドである。日本では、2019年にメルセデス初のオールマイティな電気自動車EQC、2021年に都市型EVのEQAを発表。そして本日、3列目シートのある7人乗りEV、メルセデス・ベンツEQBの発表会が行われた。代表取締役社長兼CEOの上野金太郎氏および営業企画部 部長の上野麻海氏から、プレゼンテーションが行われた。航続距離520kmのEQB 250が788万円、468kmのEQB 350 4MATICが870万円となる。

EQBは、スクエアなスタイリングと電気自動車では珍しい最大7名まで乗れるスタイリングが特徴だ。ベース車両はGLBで、全長4,685 mm、全幅1,835 mm、全高1,705 mm、そして、2,830mmと長いホイールベースになっている。エクステリアデザインは前後のオーバーハングを短くし、タイヤを四隅に配置して居住空間を最大限確保するように努めている。細部のデザインはEQモデルの特徴を踏襲しており、フロントには、中央にスリーポインテッドスターを配したブラックパネルグリルを採用している。水平に伸びる光ファイバーのデイタイムランニングライトの帯はフルLEDヘッドライトにつながり昼夜を問わず容易に識別できるデザインとなっている。リアエンドでは、LEDリアコンビネーションランプはライトストリップと途切れることなく一体化しており、リヤエンドの幅を強調するデザインになっている。

もしかしたら、先に出たEQAとどこが違うのか、と思っている人もいるかもしれない。EQAとEQBの差は、リアのスタイリングに表れている。EQAはルーフからテールエンドにかけて。丸みを帯びたデザインになっているがEQBは、スクエアで、力強い典型的なSUVスタイルになっている。

車体の中央には66.5kwhのリチウムイオンが前後アクスル間のフロア部に搭載されている。EQB 250ではフロントアクスルに新設計の永久磁石同期モーターが搭載され前輪を駆動させ、最高出力は190ps、最大トルクは385Nm。航続距離はこれまでのEQシリーズとしては最長となる520kmを実現している。EQB 350 4MATICでは、フロントとリアにモーターを一基ずつ搭載し、最高出力は292ps、最大トルクは520Nmとなっている。前後アクスル間のパワーバランスを走行状況に応じて毎秒100回の頻度で高度に調整することで効率的な走行ができる。航続距離は468kmだ。二つのモデルとも充電は100kWまでの急速充電、CHAdeMO規格に対応している。

EQBは2830mmという長いホイールベースを活かした広い室内空間が特徴だ。最大7名まで乗車が可能だがし5名であれば3列目シートをたたみ。ラゲッジルームとして活用しながら、2列目のシートを後ろまで下げられるので、後席の人に広いレッグルームを提供できる。

世界的な情勢不安や半導体不足により、需要に供給が追いつかないということだったが、それでも上半期も堅調に推移しているのが日本のメルセデスの強さだ。電気ブランドEQに関しては、2021年で対前年比4倍を記録している。「日本の電気自動車市場にまだまだ多くの可能性を感じている」と語る上野社長は、EQBの発売でさらにEQブランドを伸ばしていく算段であろう。

さて、今後であるが、年内には初の電気自動車専用プラットフォームを採用したフラッグシップモデルのEQS及びEQEを発表する予定だ。「電気自動車こそが最適な選択肢だと思っていただけるような車を作るのが、世界で初めて自動車を作った我々の使命だと考えております」と、上野社長は語る。さらにこの冬には、メルセデス・ベンツとして世界で初めてとなるEV専売拠点を、日本にオープンすることが決定した。メルセデス・ベンツの電動化戦略の本気度がうかがえるこの取り組みが、日本で行われるというのがたいへん興味深い。

さて、そんな電動化戦略推進の中で、ようやく先日実車の走行シーンを見ることができたハイパーカー、AMG One。このブランドポジションについて、上野社長に伺ってみた。「今日は電気自動車を発表していますが、一般的にはまだICEエンジンが主流であります。130数年前にメルセデスが1号車を作ってから、自動車の歴史は様々な道を通ってきました。2017年にF1の技術を豆乳し、AMG Oneというプロジェクトがうまれ、その後紆余曲折があり、完成に遅れが出ていました。それは「最善か無か」という会社のクリードに基づいて、しっかりとしたオンロードのハイパーカーを作りたいがためにちょっと時間がかかってしまったわけです。やはりクルマというものは、夢がなくてはいけません。電気で走ればいい、早ければいい、安全だけだったらいいとかそういったものではありません。やはりお客様の心を躍らせるようなものも必要です。メルセデス・ベンツは、カーボンニュートラルな電気自動車から、このようなハイパーカーを作ることができます。そしてそのクルマの中には最大限の培ったノウハウと技術の粋を集めています。本日のEQBも、そしてAMG Oneのようなハイパーも、メルセデスで自慢のできる一台に仕上がって、お客様にお届けできるのではと思っています。まあ(275台なので)限定的ではありますが。AMG Oneはある種ブランドを形作る、ブランドシェイパーでもありますし、メルセデスのテクノロジーの証でもあるのではないかと私は思っております」
環境への配慮や実用性の高いクルマが大きな流れになるのは承知している。だが、その中で、ワクワクする、夢のあるクルマを作り続けている自動車メーカーには、手放しで応援したくなるのが、ここを読んでいる人の大半なのではないだろうか。

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