50km電気のみでも走行可能なベントレー ベンテイガ ハイブリッドは、ターゲットユーザーの明確化で過去最高販売台数をもたらすモデル

ようやく日本でも、ベントレーの新型ベンテイガハイブリッドが発売され、発表会が行われた。会場では、今年の4月に新代表となった牛尾裕幸(うしお ひろゆき)氏の挨拶から始まり、マーケティング&コミュニケーションマネージャーの横倉 典(よこくら つかさ)氏のプレゼンテーションによって、新型ベンテイガ ハイブリッドの魅力を十二分に伝えられた。このベンテイガ ハイブリッドは世界で唯一の電動化ラグジュアリーSUVであり、将来的にベンテイガシリーズを代表する人気モデルとなることが期待されている。Eモーターに3.0リッターV6ツインターボを組み合わせ、449ps、700Nmを発揮する。総航続距離は536マイル(863km)電気のみで31マイル(50km)走行でき、価格はベンテイガ V8と同じ、2,269万円となっている。今月からデリバリーが開始だ。

ラグジュアリーSUVセグメントの首位を独走するベンテイガシリーズは、新型ベンテイガ V8と新型ベンテイガ スピードが発売されており、新型ベンテイガハイブリッドが3番目のモデルとなる。3ラインも必要?なんて、思うなかれ。それぞれ、ターゲットが全く異なるのだ。今回のベンテイガ ハイブリッドのポイントは、街乗りが主体で、はじめてベントレーを選ぶ顧客に対して、とても寄り添って作られているということである。

第1世代のベンテイガハイブリッドのユーザーを対象にベントレーが実施した調査によると、9割超のユーザーがほぼ毎日または週に数日運転していること、ほぼすべてのユーザーがEVモードを使用していること、EVモードを使用しているユーザーの約半数は普段の走行距離が50km未満であることが判明している。

前回のリテーラー向け研修会で実施された試乗会では、走行距離がトータルで800kmを超えたが、内78パーセントをゼロエミッション走行でカバーできた。都市部に絞って見てみると、ベントレーの開発に携わるドライバーの一人はサンフランシスコ周辺を1,081km走行し、内67パーセントでゼロエミッション走行を達成している。また、イギリス国内では、ベンテイガハイブリッドのプロジェクトマネージャーであるクリス コール氏が、本社工場までの日々の通勤の内、64パーセントがゼロエミッション走行であったという結果を出している。

つまり、日常ユースの大半を電気だけのゼロエミッション走行でまかなうことが可能であり、環境に優しいというだけでなく、ベントレーは持続可能な未来にふさわしいクルマであるという新たな評価の確立にもつながる。

ベンテイガハイブリッドの電動パワートレインは主に3つのエリアに分かれ、12の主要コンポーネントで構成されている。まずは外部電力で充電する際の充電口だが、給油口とは反対側の車両左側にあり、車両の仕向地に合わせて装備される。バッテリーの充電状態はLEDインジケーターで表示され、1時間当たり7.2kWで充電できる。

リチウムバッテリーは容量17.3kWh、個別セル168個で構成され、寿命は16万kmもしくは8年。わずか2時間半ほどでフル充電できる(地域によって異なる)。高圧バッテリーに蓄えられたエネルギーはパワーエレクトロニクス技術によって変換され、Eモーターに供給されるほか、従来の12Vバッテリー系統の補助にも使用される。

Eモーターは出力94kW(126hp)、電気エネルギーを運動エネルギーに変えてスムーズかつエフォートレスなパフォーマンスをもたらし、最大トルク350Nmを発生する。Eモーターはギアボックスと内燃エンジンの間のトランスミッション内に収められ、静止状態から瞬時に最大トルクを発生できるため、一気に加速するが、非常に静かである。

3.0リッターV6ツインターボエンジンは、さらにトルクが必要となったときや時速135kmを超える車速が要求されたときにEモーターをアシスト。走行音がほとんどしないため、低速時には専用スピーカーから音が発せられ、歩行者に車両の接近を知らせる。

ベンテイガハイブリッドはドライブモードを選択できるだけでなく、「ベントレー・ハイブリッド・エフィシェンシー・ナビゲーション」システムの情報を基に、アクセルペダルを介してドライバーにフィードバックを伝え、最も効率良く走行できるようアシストしている。

電気を使用して走行するEモードには、EVドライブモード、ハイブリッドモード、ホールドモードの3種類があり、専用のボタンで切り替える。ボタンを操作して走行モードを選べば、ドライバー自身がバッテリーの使用を管理できるが、ベンテイガハイブリッドにはバッテリー残量の自動管理機能がある。

クルマの電源を入れるとすぐにEVドライブモードになり、可能な限り電気だけで走行する。EVドライブモードは都市部や短距離の移動に最適だ。「ベントレー・ハイブリッド・エフィシェンシー・アクセルペダル」を踏み込もうとすると、瞬間的な抵抗がドライバーに伝わり、電力のみの走行からハイブリッド走行へと切り替わるポイントが分かるようになっている。「ベントレー・ハイブリッド・エフィシェンシー・ナビゲーション」による予測データに基づき、ジャンクションに近づいたり法定速度が低下したりするとアクセルペダルが振動してドライバーに減速を促す。これがエネルギーの節約と回生エネルギーの最大限の回収につながっていく。Eモーターから内燃エンジンに切り替わるポイントをアクセルペダルを介してドライバーに体感的に伝えることによって、EVドライブモードをできる限り維持することを促し、効率性を最大限に高めさせる。EVドライブモードでは時速84マイルに達するまでEモーターが駆動する。

ハイブリッドモードは、インテリジェントなナビゲーションシステムのデータに基づき、効率性と航続距離を最大限に引き出す。このモードは長距離ドライブ向きで、ナビゲーションシステムの走行ルートにしたがいながら、Eモードの予測機能とエンジンの惰性回転を利用していく。ナビゲーションシステムに目的地を入力すると、走行シーン毎に適切なドライブモードが自動的に選択され、バッテリーの電力を最も効率的に利用するための計算が絶えず行われる。EV走行が最も有効と思われるシーン、例えば都市部に進入したときなどに備え、バッテリーに電力が蓄えられる。目的地に到着した時点で充電量がゼロになるように自動計算することで、トータルな効率性が最大限に向上する。

ホールドモードではエンジンと電力がバランスよく使い分けられ、必要なときに電力で走行できるように高圧バッテリーの充電量が維持される。ドライブダイナミクスモードのスポーツモードを選ぶとデフォルトでホールドモードになり、ブーストと回生が確実に行われる。

ベントレーの電動化への取り組み、そして先日発表された「ビヨンド100」戦略(2026年までに全ラインアップにハイブリッドモデルまたはBEVを導入する計画)の一環として、ベンテイガの他に、すでにフライングスパーにもハイブリッドモデルが導入済みだ。

牛尾代表には、以前本媒体でもインタビューを行ったが、その当時「2021年は、日本市場で、過去最大の販売台数となる見込みです」とおっしゃっていたので、わかっていたものの、プレゼンテーションで出てきた数字はなんと、600台と、大台にのるという。早速、ご本人にお話を伺った。
「ベンテイガはオーナーの平均年齢が45歳、4人に1人は女性オーナーということで、これまでのベントレーのモデルとは全く異なるユーザー層になっています。今回のハイブリッドは、街乗り中心だけれども、オフロードでのポテンシャルは感じていたいというニーズに応える一台になっているのではないでしょうか。高い静粛性と快適性を求めながらもエココンシャスな方、ベントレーが初めてのお客様でもお求めやすいよう、V8と同価格にしております。ベントレーというと、一からすべてオーダーメイドに近いイメージをお持ちの方も多いかと思います。でも、正直なところ、初めてのお客様にとっては、少々難易度が高く感じられることも出てくることもあり、今回はいくつかのパッケージングをご用意しました。そこで大まかな方向性を決めていただければ、あとはオプションなどで調整していくというやり方です。日本は、7月のトップギアさんでのインタビュー時よりも上回る600台を販売することができそうで、このベンテイガ ハイブリッドが押し上げてくれるでしょう。ベントレーモーターズのエイドリアン ホールマーク会長兼CEOは、今日、ビデオメッセージを日本のために寄せてくれましたが、かつてなかったことでした。それほど、日本への期待が大きいのだと考えています。ホールマーク氏は、2000年代初頭の、ジャパン立ち上げにも関わっておりましたので、日本への思いも熱いものがあるのではないかと想像しています」

「私どもが目指すのは、持続可能なラグジュアリーカーメーカーとして世界をリードすることであり、その次なるステップがベンテイガハイブリッドなのです。ベントレーは100年の歴史を誇るラグジュアリーカーメーカーから、持続可能かつ倫理に根差したロールモデルへと姿を変え、皆様に新たなラグジュアリーをお届けするため、先日発表した『ビヨンド100』戦略の第一弾としてベンテイガハイブリッドを発表致しました」と、ホールマーク氏が言うとおり、今回の新型ベンテイガにより、ベントレーの新しい方向性が確固たるものとなった。日本でもますますベントレー人気は高まりそうだ。

https://www.bentleymotors.jp

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