ランボルギーニ カウンタック LP 500が生誕50年で、昭和人が思い出話に花を咲かせる

ランボルギーニ カウンタックといえば、日本でもスーパーカーブームの火付け役となった一台だ。筆者も、学校に行ったらBOXYのボールペンでスーパーカー消しゴムで遊び、家に帰れば、ガルウィングドアを開けた黄色いカウンタックのポスターが、部屋に貼っていた記憶が蘇ってくる。…そういえば、畳の部屋だったし、ポスターを貼ってたのは、壁じゃなくて、押入れのふすまだったような。畳の部屋にカウンタックのポスターとは、サンタアガタもビックリだろうが、極東の島国でも学校で毎日話題に上るまでにブームを起こした、ランボルギーニ カウンタック LP 500って、やっぱスゴい。

50年前の3月11日、ジュネーブ・モーターショーで、イベントの主役だと誰もが認めざるを得ないイエローのランボルギーニ カウンタック LP 500が初披露された。午前10時、カロッツェリア・ベルトーネの展示ブースで初公開されたプロトタイプは大反響を起こし、顧客の要望に応えるため作業が急ピッチで進められ、限定生産ながら市販車として販売された。カロッツェリア・ベルトーネの展示ブースでカウンタック LP 500を発表することにしたのは、ランボルギーニのブースでは5年の製造期間を経て完成した最新モデル、ミウラ SVが展示されていたからだ。この2つのモデルの新作発表により、ランボルギーニはその優れた生産力のみならず、高いイノベーション力も改めて強く示すことになった。ジュネーブ・モーターショーの後、カウンタック LP 500は国際的な自動車専門誌で次々と特集されたのである。

カウンタックプロジェクトは、「LP112」というコード名で呼ばれ、「LP」は12気筒エンジンのミッドシップ縦置き(イタリア語でLongitudinale Posteriore)を示している。これは、スタイルとテクノロジーの最前線を駆ける企業としてのランボルギーニのイメージを後も継続したいという、フェルッチオ・ランボルギーニの想いからスタートした。

この革新的な偉業を率いていたのは、1963年にランボルギーニに入社、1968年にゼネラルマネージャー兼テクニカルディレクターに就任し、カウンタックのメカニック部分を担当する責任者であったエンジニアのパオロ・スタンツァーニだ。
50年経っても色あせることのない、カウンタックの研ぎ澄まされた近未来的な美しいデザインは、カロッツェリア・ベルトーネの、デザインディレクター、マルチェロ・ガンディーニが手掛けた。ランボルギーニの12気筒モデルの特徴であるシザードアの採用を決めたのもガンディーニ。カウンタック LP 500は、1974年に量産が始まるカウンタックとは大きく異なっていた。チューブラーフレームではなくプラットフォーム型のフレームが採用され、エンジンは12気筒4971cc(唯一無二)、エアインテークはサメのエラのようなデザインで、内部には洗練された電子計器が装備されていた。

車名はピエモンテ地方の方言に由来しており、組み立ての最終段階で、労働争議の影響による作業中断を避けるために、クルマをトリノ県グルリアスコ近くの農機具用の倉庫に移したところ、偶然それを見つけた農夫が興奮と驚きのあまり「Countach!<カウンタッシュ>」(ピエモンテの方言で驚嘆を表す感嘆詞)と叫んだという。その話を耳にしたピエモンテ出身のマルチェロ・ガンディーニが、この言葉には特に強い伝達力があると感じ、ヌッチオ・ベルトーネとフェルッチオ・ランボルギーニ、そして同僚のパオロ・スタンツァーニを説得した。…ここで言えるのは、件の農夫は、決して「カウンタック!」とは叫んでいないということだ。まあ、いいんだ。トップギアのイギリスだと「クンタッシュ」って呼ばれているんだから。日本はカウンタックでいいのだー。

ジュネーブ・モーターショーでの成功後、カウンタック LP 500にはより信頼性の高い4リッターエンジンが搭載され、ランボルギーニのチーフ・テストドライバーであったボブ・ウォレスがあらゆるロードテストを行った。1974年の初めに、市販車の認証に必要なクラッシュテストに使用され、その後解体されたことで、この特別なクルマの歴史は幕を閉じた。 

カウンタックは、1974年から1990年までに、5シリーズ、1999台が生産された。世代を超えて人々のベッドルームの壁に飾られ(あるいは押入れのふすま)、また数多くの映画にも登場し、ランボルギーニが最も困難な時代を生き抜き、伝説として殿堂入りを果たすことを可能にしたモデルとなった。

2015年に設立されたポロストリコは、サンタアガタ・ボロネーゼを本拠地とするアウトモビリ・ランボルギーニの伝統の保護を担当する部門だ。2001年までに生産されたランボルギーニ全車のレストアと認定は同部門の活動の一部にすぎない。これに加え、すべてのクラシック・ランボルギーニの保全を支援すべく、ヴィンテージ・ランボルギーニのスペアパーツの復元に取り組み、毎年200点近くを新しく復活させているほか、アーカイブ資料の保護と管理も行っている。

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