日産 GT-R ニスモのインプレッションを行った。さて、2,420万円のR35にどのくらいの価値があるのだろうか。
びっくらこいた
怪獣のような見た目だよね。これは日産 GT-R ニスモで、正式に工場から出荷される最後のGT-Rの一台になるかもしれない。もう一回言う。おそらくだけど、「最後の」GT-Rかもよ。
R35 GT-Rは13年前から販売されている。もちろん、日産は定期的にモデルチェンジを行っており、2008年に発売されたばかりのGT-Rに比べて、2021年に発売されるGT-Rは、パワーを向上させ、テクノロジーを追加し、サスペンションを柔らかくすることで、オールラウンドな走りを実現している。しかし、ポルシェ 911が13年間で3世代もの世代を経てきたことを考えると、コアとなる製品の見た目は少し古いものになってしまっているというのは確かだ。だって、フェラーリ F430も、458、488、F8トリビュートに取って代わられているしね。
確かにフェラーリに匹敵することはないけどさ…
おそらく以前にはなかったことだけれども、このニスモは - このバッジを着けるGT-Rとしては、3番目 - 参入する市場領域で迷いを見せている。これが2,420万円もするクルマだからという理由だけじゃない。これは、かろうじて航続距離を稼げる488、またはすべてのオプションを備えた新型911 ターボ Sといった存在だ。だがそれは、リッチフィールドチューニングがそれに突っ込んだバーゲン価格の中古R35のオプションを模索していた前の話である。
いったいどうやって、1,400万円高額になることを正当化するんだい?
スペックシート上では、30psの馬力アップと40kgの軽量化が図られている。600psと1,720kgがキーポイントだ。詳細を見ていくと、さらにオタクっぽい部分がフォーカスされている。ウイングに施されたマッドカーボンの切り込みが、フロントアクスルのダウンフォースをさらに大きくしているし、20インチのRAYS鍛造ホイールには、カーボンセラミックブレーキが搭載されているのだ。
ボンネット、ルーフ、トランクリッド(他のパネルも含めて)はすべてカーボンファイバー製。ビルシュタイン製サスペンションは、GT-Rのシャシーにあったわずかな緩みをカットするためにチューニングされている。また、由緒ある3.8リッターV6(コードネームはVR38DETT。こっちも、オタクだからさ)のレギュラーツインターボチャージャーを、ニスモ GT3のレースカーに使用されているものと交換し、レスポンスを向上させている。
そしてダンロップのタイヤは、フロントホイールの外側の溝を取り除いて、接触面積を11%増やしている。暖かく乾いた路面では、これが大きなメリットになることは間違いない。
あれ?この写真、他の国で運転してない?
バレた?いろんな制限など諸般の事情のため、私が運転したばかりの寒々として薄汚れたイギリスの景色ではなく、ドイツの晴れた空の元でのニスモの写真をお届けすることになった。しかし、これほど本格的なサーキットマシンにしては、そのコンフォートゾーンとはかけ離れた、予想をはるかに上回るパフォーマンスを見せてくれた。何日も経った今でも、私の興奮は続いているんだ。
GT-Rは、そのパフォーマンスを簡単に手放してしまうという、あまり嬉しくない評判がある。GT-Rが「自律運転する」ようになるという噂は、単なる噂に過ぎない。直線的な速さを引き出すのはもちろん難しいことではないが、コーナーでもその速さを維持するには、911 ターボにはない進取の気性が求められる。特に、日産のエンジニアが完璧を求めてスリックタイヤを選んだときはなおさらだ。
価格は、一見すると、驚くべき金額かもしれないが、それなりに驚くべき体験を提供してくれる。実際、488 ピスタやマクラーレン 600LT以下の値段のクルマの中で、これほど控えめな速度でこれほどのドラマを提供してくれるクルマは他に思い浮かばない。
どんな乗り心地なの?
たしかに、たくさんの人が逃げていくような振る舞いはするね、特に霜の降りた道ではそうなるんだ。出発して最初の10分間は、デフがガチャガチャと音を立ててグリップが断続的に効くだけで、まるで決勝に出ているレースカーのように感じられる。もしあなたが機械を大事に扱いたいという心ある人ならば、中央スクリーンに表示される液温をすべて表示して、暖気が完全に終わるまでは、これ以上強くプッシュするのは避けるだろう。
しかし、運転していると、たくましくてタフさも感じられる - コンフォートモードに入れていてもダンパーが上下にゴツゴツしたり、並木道の微妙な路面変化にステアリングホイールがふらついたりするけど - GT-Rを運転したのは初めてだったが、質量が敵であるとは感じなかった。軽量化とまではいかないまでも、タイトな裏道で「ナットを割るのにハンマーで叩き割る」という感覚はもうない。むしろ軽快な感じがする。
どうしてそうなるの?
軽快でダイレクトなステアリングは実に愉快で、それが欠けることのない、このクルマのハイライトのひとつだ。 前方にどれだけのグリップが乗っているかを細かく把握することができる。そのため、路面が湿っていて気温が低いときには、飛ばされやすいリアの方に集中することができるのだ。すべてのモードを最もソフトな状態にしておくと、トラクションコントロールが非常に乱暴にパワーを奪ってしまうが、慎重にESCを緩めておけば、このクルマは素晴らしく流れてくれる。ターボラグは適切な分量だが、3,500rpm付近まではエンジンに火がつかないので、ハイギアでは穏やかに、ローギアでは派手にコーナーを抜けることができるというわけだ。
オーバーステアは、ピスタのように遊び心を求めてコーナリングをするのではなく、厳格な顔をしてこなすコーナリングの副産物として生じるもので、絶妙なバランスのとれたクルマなのだ。ステアリングを修正する必要はほとんどなく、4x4のドライブトレインがずっと前に引っ張られているように感じる。爽快感があり、やみつきになってしまう。
ターボラグがあると言ったけど?
GT-Rは、おそらく「公道を走るには速すぎる」パフォーマンスカーの猛攻を引き起こし、数年前に日産がその地位を揺るがしたときにはまだ気づいていなかったポルシェに、その必要性を感じさせてくれたのではないだろうか。しかし、その後のアップデートや改良はすべて段階的に積み上げられてきたため、現在では、このクラスのパフォーマンスカーの中では数少ない、歩行者レベルのスピードでも劇的な速さを感じることができるクルマの一台となっている。
確かにラグはあるのだが、それはターボが効いたときにドラマを盛り上げるのに役立つという存在だ。GT-Rの荒削りで不機嫌な性格は、客観的に見て、マクラーレンが今何をしようとしているのかという気運に対しては遅れをとっているかもしれないが、実際に道路を走ると、夢中になれるものを与えてくれている。
叩かれてる海外の記事もいくつか読んだけど?
インテリアの一部は遅れているかもしれないが、ニスモバージョンでは、アルカンターラとカーボンバックのレカロシートが、走りのムードを盛り上げてくれている。6速DCTギアボックスは、おそらくGT-Rが年々進化していることを物語る最大の要因だろう。2021年の基準では、シフトがやや物足りなく感じられ、幻の7速ギアを何度も掴んでしまったのはお恥ずかしい限り。しかし、それはこのクルマでのレシオの短さを裏切る話でもある。2速、3速、4速のかなりの量を一般道で使うことができるので、胃が痛くなるような速度がドットマトリックスのデジタルスピードコントローラーに表示されることはない。
売れてるように聞こえるね
ニスモGT-Rを、スパーリングのパートナーだと思ってほしい。ニスモGT-Rは、あなたの味方でありながら、あなたにアラートを絶えず送り続けるように肋骨をジャブで叩いてくれる。F8や911のように、親しみやすいグリップと実態より良く見せようとするエレクトロニクスの温かな抱擁に包まれることはないが、だからと言って、あなたの心を揺るがすわけではない。そのパフォーマンスを発揮するためには、スポーツ性能を一段落としたモードに入れることで、あなたがその気になっていることをクルマに伝えなければならない。
しかし、控えめに運転しても、その容赦のない乗り心地と、巨大なスポイラーがリアビューをきれいに二分している様子は、このクルマがどれほど運転に集中しているかを忘れることはないだろう。もっと意地の悪い言い方をすれば、モータースポーツ用の部品をふんだんに使用しているため、驚くほどのコストがかかっているということになる。これでR35 GT-Rの物語が完結するとすれば、それはとんでもない最終章が展開されているということなのだ。
スコア:9/10
24,200,000円
3.8リッター ツインターボ V6,600ps,652Nm
6速DCT, 四輪駆動
0-100km/h in 2.8秒, 315km/h
1720kg