8年ぶりのフルモデルチェンジとなった、メルセデス・ベンツのフラッグシップモデル、Sクラス。ようやく日本でも発売となり、オンラインで発表会が行われた。通常モデルとしてはS 400d 4MATICの1293万円から、S 500 4MATIC ロング (ISG 搭載モデル)の1724万円まで4タイプ、さらに、S 500 4MATIC ロングには、1938万円と2040万円のファーストエディションが加わり、全部で6タイプが用意されている。すべて右/左ハンドルの設定がある。
世界初の後席左右リアエアバッグ採用や、世界初フロントウィンドウに投影可能なAR(拡張現実)ナビゲーションをオプション設定、生体認証 (指紋/顔/声) によるシートポジション等の設定が可能など、Sクラスならではの最先端装備が満載なのだが、もっともドライバーにとって快適性を高めているのが、リア・アクスルステアリングの採用だ。
大型ボディのSクラスでの四輪駆動システムの採用は、後輪駆動と比較して小回りが効きづらくなるというデメリットがあったし、都市の狭い道や駐車場では、正直、ストレスに感じることもあったと思われる。だが、この後輪操舵システム「リア・アクスルステアリング」では、約60km/h以下では、リアホイールをフロントホイールとは逆方向に最大4.5度傾けてくれる。これにより日常の走行シーンや、駐車する際には回転半径が小さくなる。最小回転半径は5.5mと、なんと、Eクラス並みの取り回しの良さでSクラスが運転できるようになったという。さらに、約60km/hを超えると、リアホイールをフロントホイールと同じ方向に最大3度操舵することで、走行安定性を大きく高めてもくれるのだ。
駐車モードでは、フロントホイールと逆方向に最大 4.5 度、シティモードでは、フロントホイールと逆方向に最大 4.5 度(約 60km/h 以下)になる。高速域での走行安定性としては、フロントホイールと同方向に最大 2.5 度 (約 120km/h 以上)、そしてドライビングダイナミクス向上としては、フロントホイールと同方向または逆方向に 最大 3 度まで(約 60-120km/h)という賢明さなのだ。
世界で初めてAR (Augmented Reality = 拡張現実)ナビゲーションを有機ELメディアディスプレイだけでなく、フロントウィンドウに投影するシステムをメーカー純正オプションで選択することができることも魅力だ。従来、目的地を設定して行先案内をする
場合、地図上に進むべき道路がハイライトされるが、新型Sクラスでは、それに加えて、車両の前面に広がる現実の景色がナビゲーション画面の一部に映し出され、その進むべき道路に矢印が表示される。さらに、フロントウィンドウのヘッドアップディスプレイ上には、進むべき道路が約10m先の景色に重ねて矢印で表示される。
車の進行方向が変わると、それに従って矢印も動き、常にどの方向に進むべきかを分かりやすく表示してくれる。これにより、目線を逸らさず、より直感的にどの道路に進むべきかを判断することができるのだ。
速度計などの表示が立体的に見える、「3Dコックピットディスプレイ」が採用されたこともドライバーのストレス軽減につながるだろう。内蔵されるドライバー側を向いた2つのカメラによって可能になった、ドライバーの左右それぞれの視線を追跡する技術により、特殊なメガネを使用せずにドライバーに3D映像を見せることが可能になった。
ドライバーの視線が動いた場合、この視線追跡技術によりディスプレイに映る映像を瞬時に連続的に変化させることで、常に3D表示を維持することが可能なのだ。
未来をいち早く感じたい人は、新型Sクラスを体験してみるのが良いだろう。
https://www.mercedes-benz.co.jp/passengercars/mercedes-benz-cars/special/2020/s-class/saloon/stage-01.module.html