07BMW ナスカ M12
ジョルジェット ジウジアーロの当時26歳の息子がデザインしたBMW ナスカ M12は、1991年のジュネーブ・モーターショーに登場した。パワーは850iのV型12気筒で、今回は真ん中に搭載され、約300hpを発揮。メルセデスのC112は400hpをゆうに超えていたが、ナスカの重さはわずか1,100kgだったことは注目に値する。
そして、図体がデカかった。幅は2メートル、長さは4メートルを超えていたが、高さは1メートル強で、抗力係数は0.26だった。91年にはこの数値で良かったが、今のメルセデスのAクラスなら、もっと抵抗が少ない。BMWとイタルデザインは、1年ほど後にC2と呼ばれるM12のアップデートモデルを発表した。その頃には、アルピナはV12からさらに50hpを解放し、その空車重量は1,000kgに近づいていたのである。
もちろん生産されることはなかったけれど、伝説ではブルネイのスルタンがイタルデザインに十分な資金を投じて、彼のためだけにもう一台のM12を作ったと言われている。