ルノー 新型ルーテシアが全方位型コンパクトカーに生まれ変わった

ルノーのルーテシアが第5世代にフルモデルチェンジを行い、新宿でお披露目が行われた。ところで、フランス車と聞いて、どんなイメージを思い浮かべるだろうか。おしゃれ、マニアっぽい、アーティスティック、歴史がある、など、ポジもネガも、さまざまな意見が出てきそうだ。しかし、フランス車はメジャーな存在ではなく、良くも悪くもその特殊性が、個性を支えているのではないかと思う。特に日本においては、どこか特別であり、どこでも見かける売れ筋のクルマとは一線を画すという存在感がある。
だが、今回の新型ルーテシアは、そういったこれまでのフランス車のイメージを覆し、極めて普遍性を内包しながら、目の前に現れた。一見、ルーテシアらしさはそのままで、そんなに大きく変わった印象もないが、中を見ていくにつれ、驚かされていくのだ。

グレードは、受注生産のゼン(236.9万円)、インテンス(256.9万円)、インテンス テックパック(276.9万円)の3つ。ボディカラーは、写真のルージュ フラム Mの他に5色で、全部で6色展開だ。
131ps、240Nmを発揮する1.3L 直噴ターボエンジンと電子制御 7 速 AT(7EDC)が組み合わされ、ルノー・日産・三菱のアライアンスにより新開発されたモジュラープラットフォーム CMF-B プラットフォームが初採用されている。
欧州 B セグメントモデルの代表ともいえるルノー ルーテシアは1990 年に発売され、世界中で最も多く販売されたルノー車で、ヨーロッパでは 2019 年販売台数 1 位、フランスでも最も人気のあるモデルだ。
先代のコンセプトをベースとしながら、インテリア・エクステリアデザイン、プラットフォーム、パワートレーンの全てを一新し、さらに先進の運転支援システムと、Bose®が開発した世界初の技術を搭載したスピーカーシステム Fresh Air Speaker™を採用し、コンパクトカーの枠を超える革新と進化を遂げた。
エクステリアでは、ボンネットに入った直線のプレスラインや大きなグリルなど、ダイナミックで力強い印象だ。
そして、革命的なのが、インテリア。コンパクトカーの枠を超えた知覚品質と、スマートコクピットと呼ばれるドライバーを中心に考えられた 運転席(コクピット)の人間工学に基づくデザインは、インテリアデザインチームの最優先事項であった。波のような曲線と水平基調の造形を取り入れたダッシュボードは、広く見通しが良い。
コクピット周りは、人間工学に基づきドライバー側に向けて傾けてあり、センターコンソールもドライバーの手が届きやすいよう高い位置に設置され、より運転に集中できる環境を作り出している。だが、窮屈な印象は一切ない。
ダッシュボード、ドアパネル、そしてセンターコンソールの側面まで、乗員が手を触れるところには、高品質なソフト素材を配している。
パーツが大型化したことで歪みやすくなったダッシュボードの組付け精度を上げ、スイッチ類にも細かなデザインを施すなど、細部の仕上げまでこだわった。

レザーステアリングは、ルノー ルーテシアⅣに比べて小さなエアバッグシステムを採用したことで センターパッド部を小型化し、メーター類の視認性を高めた。ステアリングのスポーク上には、運転支援システムやインフォテインメント機能の音声入力が操作できるスイッチが分かりやすく配置され、ドライバーは前方から目を離すことなく、運転支援システムの切り替えや、7 インチ デジタルインストゥルメントパネルの画面切り替え、ハンズフリー通話へのアクセスが可能だ。
ステアリングホイールはマットクロームフィニッシャーで装飾され、ステアリングヒーターを内蔵している。
また、よりスポーティなマニュアルでのギアチェンジが楽しめるパドルシフトも装備している。
ステアリングコラムのデザインもミリ単位で見直され、ドライバーの膝回りに余裕を作り出した。

従来のアナログディスプレイに代えて、7 インチ デジタルインストゥルメントパネルが採用されている。エンジン回転数、速度をデジタルディスプレイで表示し、ルノー・マルチセンス
(インテンス、インテンス テックパック)と連動して、選択した運転モードに応じたイルミネーションカラーを反映する。

7 インチ マルチメディア EASY LINK(イージーリンク)のタッチスクリーンを介して、最新のインフォテインメントテクノロジーとルノー・マルチセンスに簡単にアクセスできる。タッチスクリーンは薄型で、浮いているようなフローティングデザインで、ややコクピット側に傾けてあり、操作がしやすいよう設計されている。
センターコンソールも、人間工学に基づき高い位置に配置された。シフトレバーは短くなり、操作しやすい位置にある。スマートフォンワイヤレスチャージャーが 装備された収納が、コンソール下部の使いやすい位置に配置されている。
また、パーキングブレーキが電動化されたことで、センターコンソール周りのスペースにゆとりが生まれた。この電動パーキングブレーキに装備されるオートホールド機能は、交差点の長い信号待ちなどで、 ドライバーがブレーキペダルから足を離しても停止状態を保ち、アクセルペダルを踏むと自動的に解除される。

新型ルノー ルーテシアは、ルノー・日産・三菱のアライアンスにより新設計されたモジュラープラットフォームの CMF-B プラットフォームを初めて採用したモデルということで、注目が集まっている。この最新プラットフォームは、先代モデルのプラットフォームより約 50kg 軽量化しながら、高い剛性を持ち、高出力パワーユニットを受け止め、しなやかなサスペンションの動きやハンドリングの正確さを引き出す。
また、様々な路面での静粛性やエンジンルームの遮音性、万一の場合の安全性、ボディ下面を覆うパネルによる空気抵抗の軽減など、新型ルノー ルーテシアの高い基本性能を支えている。
先代モデルに比べコンパクトになったボディサイズによって空気抵抗が低減し、重量も軽くなり、燃費向上に貢献している。ボディサイズはコンパクトになったものの、先代モデルより広い室内空間を実現している。
ステアリングのギア比は、先代モデルの 15.2 から 14.4 に低められた。これにより、応答性が向上し、 ドライバーにより確実なフィードバックをもたらす。加えて、フロントアクスルの高剛性化により、直進安定性や正確なハンドリング、走行安定性が高められている。
シャシー全体のバランスと、リアアクスル設定が見直され、高い速度でカーブを曲がる際の安定性が向上し、ロール量が減少している。また、ダンパーやスプリングも見直され、ブレーキは踏込み量を減らし、素早く制動するよう設定されている。
また新開発の 1.3L 直噴ターボエンジンも、ルノー・日産・三菱の アライアンスにより開発されたもの。
この新世代のパワフルで高効率なエンジンは、ボディが大きく重い上位クラスのモデルに搭載さパワフルな走りに加えて、WLTC モードで 17.0 ㎞/Lと、低燃費も実現している。トライアングル形状のシリンダー ヘッド内に 250bar の高圧力で燃料を直接噴射することで、燃焼の効率化を図り、シリンダー内に特殊な コーティングを施すことで摩擦を低減するなど、燃費向上の技術が注がれている。

インテンス テックパックには、ハイウェイ&トラフィックジャムアシスト、レーンセンタリングアシスト、360°カメラなどの先進運転支援システムがついている。
アクティブエマージェンシーブレーキ、ブラインドスポットワーニング、レーンデパーチャーワーニングなど、安全装備も満載だ。新開発の CMF-B プラットフォームを使用することで最適化されたボディ構造、サポート性が高められたシート、構造が見直されたシートベルト、そして先進の予防安全技術によって、新型ルノー ルーテシアはユーロ NCAP(ヨーロッパ新車アセスメントプログラム)で最高ランクの 5 スターを獲得している。

ルノーの担当者に話しを伺った。「今回のルーテシアには、運転支援システムや安全装備がたくさんついており、どんな方にも安心して乗っていただける一台だと自信を持っています。ボタンの位置や操作方法がオーソドックスなので、マニュアルを見なくとも運転がしやすいと思います。新型ルーテシアを一人でも多くの方にご覧いただき、とくに質感の向上を感じていただきたいですね」
この質感で、高機能、さらに、誰でも運転しやすい新型ルーテシア。価格もかなり手頃なので、全方位型コンパクトカーとして、多くの人に受け入れられるだろう。新型ルーテシアは、フランス車=特殊性、という概念を覆してくれそうな存在である。

https://www.renault.jp

トラックバックURL: https://topgear.tokyo/2020/10/25963/trackback

コメントを残す

名前およびメールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

ピックアップ

トップギア・ジャパン 063

アーカイブ