イギリスで300km/hオーバーを出した伝説の’スモーキー’永田に会いに行く

エンジンは一回のランにすべてを懸けているし、でもクルマは途中でボンネットをはずそうかという案も出ているし…、こんなわちゃわちゃな状況だったため、何度か挑戦するはめになり、最終的に達成したのは目標の322km/hには少し及ばない317km/hだった。とはいえ、それでもイカレタ数字なのには変わりないし、UKの公共ハイウェイで記録された最速レコードホルダーとして非公式に名を上げるには、十分すぎるほど十分な数字だった。しかし、300km/hから減速をはじめたくらいのとき、いや~な予感がした…冷たい冬の暗黒に現れた青く眩しい光――。パトカーが追ってきたのだ!間もなく彼は逮捕、連行されてしまい、女王陛下の仰せのままにイギリスで夜を超すことになってしまったのである。自身が日本で経営しているチューニング会社の行く末を案じた、とても不安な夜。しかし実際には、彼の心配とはまるっきり反対のことが起こってしまう。
彼が決行した向こう見ずな行いは、たちまち各メディアの見出しを大きく飾る。彼自身がテープで車内に固定したカメラに残された、高速道路をぶっ飛ばしていく映像はビデオ鑑定のため押収されてしまうが、幸いにして、イギリスのビデオ規格が異なっていたため、見ることができなかったのだ。これらのおかげで一躍有名になったスモーキーは、チューニングのコミュニティ内で伝説的なステータスを得ることとなった。同時に、彼の手掛けるチューニングカーがいかにすごいのかを証明することにもつながり、結果として、彼の会社トップシークレットをPRするこの上なく強烈なツールとなったのである。

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