石川沙織選手(通称:りんごちゃん)は、ドリフトにはまったきっかけをこう話す。「クルマの運転が好きなだけでした。でも、ドリフトの大会に出るうちに、周りのライバルに負けたくないという気持ちが強くなり、負けてもまた挑戦していくという気持ちがありました」
これまでのスコービオンナのイベントでは、色々な方が参加をしてきた。レースに出てサーキットで走ったことがある方、お買い物でしか自分のアバルトを使わないという人まで、ドライビングスキルも多種多様。ただ、レッスンが終わった後には全員が必ずタイムアップして帰っていく。石川選手は「自分よりも速い人を讃えるという雰囲気の良さが、このイベントの魅力だと思います」と語った。ティツィアナさんは、「食事やカフェなども、イタリアの美味しいものを用意していて、ライフスタイルイベントの面もあると思います。参加者の皆さんに楽しんでいただけるよう、最善を尽くしています」と説明していた。
石川選手は今回山野哲也選手と一緒に、新しいSCORPION SPIRITのビデオを作成した。石川選手は124に乗り、山野選手は595。最後は2台のクルマが向い合せのギリギリのところで止まるというシーンがあったが、一発で決められた。「現場は、たいへん盛り上がりました。山野選手の集中力にも驚きました。本来ならば朝焼けから撮影をする予定でしたが、あいにくと土砂降りでした。トラクションコントロールをオフにして走り、リアが暴れていたのですが、撮影したものを後で見ると迫力が出ていて、かえって良いものができました」と、石川選手が撮影を振り返った。
さて、石川選手は、アバルトの魅力について、何を感じているのだろうか。「180馬力もある595は、スペックだけ見たら、気負ってしまうかもしれませんが、他のスポーツカーと違うのはそのドライビングポジションの取りやすさだと思います。スポーツカーの中には、寝そべって運転するのに近いような体勢を取るものも少なくはないです。でも、アバルトは違い、背中を起こして乗れますね。ですから、女性でも違和感なく乗れるはずです。そしてクラッチペダルがとても軽いことも、女性にとっては操作しやすいと思います。アバルトが昔『ジャイアントキラー』と呼ばれて名を馳せたように、1ランク上のスポーツカーをカモることだってできるんですよ」
一方、ティツィアナさんはアバルトの魅力について、こう語った。「イエローやレッドなど鮮やかな原色のボディカラーがあり、とてもファッショナブルなクルマだと思います。アバルトを街中で走らせると、とても注目されます。そして、小さなクルマなのにテクノロジーが満載で、カルロ アバルトの歴史もつまっているクルマなのです」
石川選手は コンパクトなエンジンルームにぎっちりと1.4Lのターボが詰まっているアバルトは、街中の法定速度の中でもスポーツを感じられるクルマだと主張した。スコーピオンナの参加者の中から「交差点でハンドルを切ることすら楽しい」という声が聞こえたほど、五感に訴えるクルマなのだという。
アバルトは MT の割合が50%を近くを占めているという、現代の日本では異色のモデルだ。これまでの参加者の女性の中にも 、MTのアバルトオーナーが多かった。「とてもクラッチが柔らかく軽く、そしてシフトのストロークが大きめで分かりやすいところも良いと思います。あまりショートストロークすぎると、シフトがどこか分かりにくいこともありますから。また、124の方はパワーの出方がマイルドで扱いやすく、595の方はパワーの出方がモンスターだという、どちらも見た目と逆のキャラクターを持っているのが特徴で面白いですね。124か595か迷ったら、自分にはどちらが合っているのかを考えてみましょう」と石川選手は言っていた。