シトロエン C6
経験上、危険な状況に対する反応は大きく分けて2つある:危険から逃れる人と、危険を楽しむ人だ。例えば、ある種のヘッジファンドから資金援助など受けずに、複雑な作りの大陸を横断できるリムジンを購入するような、興味深い危険はどうだろうか?
それならば、シトロエン C6がいいだろう。その無茶苦茶変わったスタイリング(モータージャーナリストが書いた本にあるように、常にアバンギャルドと呼ばなければならない)は氷山の一角に過ぎないが、これはフランスで最後に生まれた本格的なエグゼクティブカーであり、テクノロジーがぎっちりと詰め込まれている。ヘッドアップディスプレイや車線逸脱警報など、今日では当たり前になっているものや、スピードとブレーキに合わせて調整できる電動リアスポイラーなど、スーパーカーじゃないと見られないようなものが、15年前のフランス製4ドアにはすべて搭載されているのだ。
そして、これは古く、さらに、フランス車でもあるので、目立つ技術的な部品(例えば…そう、スポイラーなんか)が期待される。だが、部品や電気リレーが長持ちするには15年で十分だと判断しているのであろう、そんな作りだ。スポイラーを最も適切なタイミングで最も使えない位置に置いておくほか、万が一歩行者を跳ね上げた際自動的にボンネットを浮かせて衝突ショック軽減をはかるアクティブボンネットなどを装備している。
しかし、壮大な古い屋敷のようにそれを考えるとすれば - 廃墟に崩れないように投資した時間、労力、お金が必要とされている。屋敷が壮大であればあるほど、投資は大きくなる。そして、サーキット用のパンツのように快適で、スーツのようにスタイリッシュな車両に乗ってクルージングするには、相当な維持費をかけるということでもあるのだ。