先代を24秒縮めた、最速N/Aエンジン
史上最速のN/Aエンジンとも称されている、ポルシェ 新型911 GT3 RS。今年3月のジュネーブショーでワールドプレミアされてから、俄然注目度が高まっている。そりゃそうだ。モータースポーツ直系のシャシーを持ち、最高出力520psを発生する高回転型の自然吸気4リッターエンジンを搭載している911 GT3 RSは、0-100km/h加速は3.2秒、最高速は312km/hに達するのだから。
そんな911 GT3 RSが4月16日にドイツのニュルブルクリンクサーキット北コースにおいて公道仕様スポーツカーの新たなベンチマークを打ち立て、その動画が公開された。この日、ポルシェ ワークスドライバーのケヴィン・エストレ(フランス)は911 GT3 RSで6分56秒4のラップタイムを記録し、先代の911 GT3 RSのラップタイムを24秒も短縮した。ポルシェの開発ドライバーであるラース・ケルンも、エストレとGT3 RSのコックピットをシェアしていた。ニュー911 GT3 RSは、グリーンヘルと呼ばれる世界でもっとも過酷なサーキットにおいて、918スパイダー、911 GT2 RSに続く7分を切るラップタイムを記録した3台目のポルシェの市販車となった。これまでの慣習にならって、今回のタイムアタックは20.6kmのコースで計測されている。
今回のアタック時、911 GT3 RSは最新世代のミシュラン パイロットスポーツタイヤ、ミシュラン パイロットスポーツ カップ2Rを装着していた。特にサーキットでの使用に最適化されたこのタイヤ(前:後=265/35 ZR 20: 325/30 ZR 21)は、911 GT3 RSおよび911 GT2 RSでの装着が承認されている。
ケヴィン・エストレは2016年にポルシェのワークスドライバーとなった。彼は911 RSRでル・マン24時間を含むFIA世界耐久選手権に、911 GT3 RでADAC GTマスターズ選手権へ参戦している。
29歳のエストレは気温14度、路面温度18度という理想的なコンディションとなった午前11:40にアタックを開始。「私にとっても衝撃的だったのが、特に高速コーナーでのブレーキングでは911 GT3 RSがGT3 Rのようなレーシングガーと信じられないほど近いということです。公道仕様のスポーツカー向けに新しく開発されたタイヤも、大きく貢献しています。GT3 RSのエンジンも気に入りました。9,000回転までしっかりとまわる6気筒エンジンのフィーリングは最高です。音も素晴らしくトルクも強大でした」
ポルシェのモータースポーツおよびGTカー担当副社長であるフランク=シュテッフェン・バリサー博士は「新しい911 GT3 RS以上に、レーシングカーに近いポルシェの市販モデルは存在しません。911 GT3 Rにも採用されている多くの革新的なアイデアが、トップレベルのモータースポーツから取り入れられています。これはポルシェGTモデルのフィロソフィーにおける典型ともいえます。もっとも高度なテクノロージー人々を熱狂させるだけでなく、有効である必要があります。このような点を鑑みれば、ノルドシュライフェ以外で我々の思想を試す機会はないと思います」と述べた。
GTモデルラインの開発責任者、アンドレアス・プロイニンガーは次のようにコメントしている。「2名のドライバーがそれぞれアタックした4周のラップタイムはすべて7分を切り、全周回でのタイム差はわずか0コンマ数秒でした。これは単にGT3 RSがパワフルなだけでなく、極限におけるドライバビリティが優れていることの証明です。適度なエンジンパワーとともに全てのシステムが完璧に統合されていれば、非常にダイナミックなパフォーマンスを発揮することは可能です。ドライバーはとっては、数千にも及ぶ部品で構成される車両がまるで1つのパーツであるように感じることが重要です。これらこそがGT3 RSがもっとも優れている点なのです。今回、私がもっとも喜ばしかったのは、ラースとケヴィンがドライビングを楽しんでいたことです」
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