日本の、いや世界の自動車史に輝かしい傑作を送り出した伝説のデザイナーが、静かに旅立った。世界で最も売れた2シーターオープンスポーツ「マツダ ロードスター(NA)」や、今なおカルト的な人気を誇る「RX-7(FD)」のデザインを統括した俣野努(Tom Matano)氏が逝去。彼が貫いた「共感のデザイン」という哲学と、後世に残した偉大な功績を振り返る。
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初代マツダ MX-5のデザイナーである、俣野 努(Tom Matano)氏が、悲しくもこの世を去った。
1947年10月7日生まれのこの日本人デザイナーは、信じられないほどの遺産を残した。マツダ在籍時に、世界的な大ヒット作となった初代「ユーノス ロードスター(海外名:MX-5 Miata)」や、今なお世界中にファンを持つ3代目「RX-7(FD3S)」のデザインを統括したことで知られる。日本の自動車デザイン史における、最も重要な人物の一人。最も注目すべきは、NA型マツダ MX-5の、あの小柄で完璧なプロポーションと形状だ。あの初代ロードスターは43万台以上が販売され、MX-5は世界で最も売れたロードスターとなった。1989年以来、4世代にわたって100万台以上が、オーナーたちの元へと巣立っていったのだ。
「マツダ MX-5やFD RX-7といった象徴的なクルマの背後にいた、先見の明のあるデザイナー、俣野努氏の訃報に、我々は深く悲しんでいます」と、マツダUKは述べた。「トムは、クルマは喜びと繋がりを呼び起こすものであるべきだと信じていました」
「我々の思いは、彼の家族、友人、そしてマツダコミュニティ全体と共にあります」
「ありがとう、トム。我々を笑顔にしてくれるクルマを創ってくれて」
1947年に長崎で生まれたトムは、1970年に渡米し、1974年にゼネラルモーターズで自動車業界でのキャリアをスタートさせた。その後、オーストラリアのホールデンデザイン、1977年にはドイツのBMWでの勤務を経て、1983年にマツダのチーフデザイナーとして着任した。
あの初代MX-5のデザインに加えて、トムはRX-7の最も美しいバージョン――3代目「FD」――のスケッチも描いた。
「あなたの最初のデザインテーマは、製品デザインと製造段階に伴う厳しい精査に耐え抜いた核となるエッセンスを失うことなく、量産デザインとして実現される必要があります」と、彼は2023年にカーデザインの難しさについて語った際に述べている。
「私の時代、我々はFD RX-7、NA/NBミアータ、MX-6、そしてマツダ3で幸運に恵まれました。マツダの素晴らしいエンジニアリングチームが、デザインのビジョンをサポートし、我々と共に働いてくれるのです」
そして、デザインに対する彼自身の個人的なアプローチについて、トムはこう語っている。「私は常に、物事が何をするかということに対して忠実に、そして可能な限りシンプルにデザインします。プロポーション、姿勢、光と影に基づいて、注意深く調整された視覚的な重量配分に沿って、ダイナミックな動きを創り出すのです」
「あなたは、自分がデザインしている対象そのものになり、単に『外側』から見るのではなく、『箱の内側』からデザインを考えるのです」
「私はそれを『共感のデザインメソッド』と呼んでいます」
安らかに眠れ、「ミスター ミアータ」。
400号記念:UK400マイルロードトリップ/フェラーリ F80/フェラーリハイパーカー:トップギア・ジャパン 069
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=海外の反応=
「FDは、本当にうっとりするほどゴージャスな代物だ。比較的原始的な空力学に支配された、泡のような丸みを帯びた形状を持つ90年代のカーデザインで、半分でも我慢できるものがほとんどない私にとって、なおさらだ。
本当に、なんて素晴らしい遺産だろう。良い旅を、トム」
「ロードスターは、日本の自動車史、いや世界の自動車史に残る傑作。こんな素晴らしいクルマを生み出してくれて、本当にありがとう」
「FD RX-7のデザインは、今見ても全く色褪せない。あの流麗なボディラインは、まさに芸術品」
「共感のデザインメソッド、か。だから彼のデザインしたクルマは、ただの機械じゃなくて、どこか温かみがあって、相棒のように感じられるんだな」
「日本人が、世界で最も愛されるライトウェイトスポーツカーをデザインしたという事実を、我々はもっと誇りに思うべきだ。安らかにお眠りください」




