映画「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」で、開発中のボンドカーとしてMの後ろに映ってたのがヴァルハラだ。アストンマーティンは、究極のドライバーズ・スーパーカーと銘打った新型ミッドシップPHEV(プラグインハイブリッド)スーパーカー、『Valhalla(ヴァルハラ)』を、日本で公開した。フェラーリ F80やマクラーレン W1よりも、だいぶお買い得?
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映画「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」で、開発中のボンドカーとしてMの後ろに映ってたのが…そう、ヴァルハラだ。アストンマーティンは、究極のドライバーズ・スーパーカーと銘打った新型ミッドシップPHEV(プラグインハイブリッド)スーパーカー、『Valhalla(ヴァルハラ)』を、日本で公開した。筆者は発表会の時間に行けなかったのだが、別途撮影の時間を取っていただき、Head of Q Special Project Salesのサム ベネッツ氏、Marketing & Communications Manager-Japanの松永 悠理氏に説明を伺うことができた。このヴァルハラは、ビスポークのフラットプレーンクランク採用4.0リッターV型8ツインターボエンジンと、3基の電気モーターを組み合わせた先進的なPHEVパワートレインにより、システム合計で1,079PSの圧倒的なパワーと1,100Nmの最大トルクを発揮する。世界限定999台のみの生産となり、初回納車は2025年下半期が予定されている。価格は128,900,000円。
ヴァルハラがアストンマーティン初の量産ミッドエンジン・スーパーカー という革新的なレイアウトを採用した背景には、「究極のドライバーズ・スーパーカー」という明確なコンセプトと、類まれな性能を追求する強い意志がある。これは、アストンマーティンの最高経営責任者(CEO)エイドリアン・ホールマーク氏が語る、ウルトラ・ラグジュアリー・ハイパフォーマンスブランドとしての未来のビジョンを体現するモデルとして位置づけられている。
開発プロセスにおいては、フォーミュラ1®で培われたパフォーマンス重視の手法とテクノロジー、そしてアストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1®チームのコンサルティング部門であるアストンマーティン・パフォーマンス・テクノロジーズ(AMPT)との緊密な協力 が不可欠だった。究極のハイパーカーであるヴァルキリーの開発や、エイドリアン・ニューウェイ氏との協業を通じて得られた貴重な知識と新たな手法も、Valhallaにフィードバックされている。
ミッドシップレイアウトは、まさにこのパフォーマンスとダイナミクスを最大限に引き出すために選択された。これにより、F1®由来のアクティブ・エアロダイナミクス、先進的なインテグレーテッド・ビークル・ダイナミクス・コントロール(IVC)システム、そしてV8エンジンと3基の電気モーターを組み合わせた複雑かつ強力なPHEVパワートレインの最適なパッケージングと性能発揮を可能にしている。特に、ミッドシップレイアウトは理想的な重量配分を実現し、高レベルなダウンフォースとトルクベクタリング との組み合わせにより、卓越したハンドリング、機敏性、そしてサーキットにおける限界領域での精密なコントロール性能に貢献している。また、カーボンファイバー製タブを中心とした軽量かつ高剛性の構造 や、効率的な冷却システム など、その革新的な技術要素の多くは、ミッドシップというレイアウトと密接に関連して設計されている。
ヴァルハラは、単なるハイブリッドカーとしてではなく、アストンマーティンがF1®やハイパーカー開発で培った最先端の技術と知識を結集し、「究極のドライバーズ・スーパーカー」を定義し直す存在として、ミッドシップという形を選んだと言えるだろう。
Valhallaのハイブリッド・パワートレインは、828PSを発揮するビスポークの4.0リッターV8ツインターボエンジン と、合計251PSを供給する3基の電気モーターで構成される。このV8エンジンは、アストンマーティン史上最高の比出力を誇り、ドライサンプ潤滑システムとフラットプレーンクランクシャフトを採用している。新開発の8速デュアルクラッチトランスミッション(DCT)には電気モーターが組み込まれており、V8エンジンの始動、高電圧バッテリーの充電、トルクフィル、そしてクラス最高水準のシフト速度に貢献する。フロントアクスルには2基の電気モーターが搭載され、トルクベクタリング やEVモード走行 を可能にしている。EVモードではフロントモーターのみで駆動し、航続距離は14km、最高速度は140km/hに制限される。
公道とサーキットの双方で高いパフォーマンスを発揮するため、革新的なアクティブ・エアロダイナミクスシステムを搭載。可動式のフロント/リアウイングやアンダーボディの形状制御により、240km/hから350km/hで600kgを超えるダウンフォースを達成・維持する。これにより、優れたコーナリング性能と高速走行安定性を実現。同時に、DRS(ドラッグリダクションシステム)機能により、最高速度350km/h(電子制限)を達成する。また、激しいブレーキング時にはリアウイングがエアブレーキとして機能し、制動距離短縮と安定性向上に寄与する。
車体構造は、わずか74.2kgという軽量な専用設計カーボンファイバー製タブを中心に構築され、乾燥重量1,655kgという軽量と卓越した剛性を両立している。サスペンションはフロントにF1®スタイルのプッシュロッド式を採用。ブレーキシステムは410mm/390mm径のカーボンセラミックディスクとブレンボ製のモノブロックキャリパーを組み合わせ、インテグレーテッド・パワーブレーキシステムによる精密な制御で、公道での自然なフィーリングとサーキットでの強力な制動力を両立している。さらに、フロントの電気モーターを活用した回生ブレーキも主要機能の一つであり、エネルギー効率を高める。
ヴァルハラのコックピットは、ハイパーカーであるヴァルキリーと同様にF1®の影響を強く受けている。低いヒップ・トゥ・ヒールのシートポジションや、F1®着想のステアリングホイールなど、クリーンで無駄のないデザインは、ドライバーと車の一体感を最大限に高めることを目指している。中央タッチスクリーンには、独自開発のドライブトレイン・ビジュアライザーが搭載され、PHEVパワーフローやEVモードでのエネルギー利用状況などをリアルタイムで表示する。また、選択可能なADAS(アドバンスト・ドライバー・アシスタンス・システム)モードも導入されている。
ヴァルハラは、アストンマーティンにとって初の量産ミッドエンジンかつ初のプラグインハイブリッド車であり、その革新性とパフォーマンスは、ブランドの新たな歴史の一画を担うものと言えるだろう。限られた幸運な999名の顧客は、アストンマーティンのパーソナライゼーションサービス「Q by Aston Martin」を通じて、無限のカスタマイズを施すことが可能だ。
そして高価という点で言えば、1台あたり128,900,000円となる。現CEOのホールマークによれば、「一般的なスーパーカーとハイパーカーの間に位置する」ことを考えると、これはかなりお買い得な価格設定だ。単純比較はできないものの、フェラーリ F80(5.6億円)やマクラーレン W1(4億円)と比較して、ミッドエンジン・スーパーカーとしては最も手頃な価格になるモデルとなっている。
そして、ホールマーク氏はヴァルハラをベースにしたスペシャルエディションが登場することをすでに認めている。a) それには多大なポテンシャルが秘められていること、そしてb) これほど複雑なものを頻繁に設計するのは非常にコストがかかることが挙げられているので、このベーシックなヴァルハラは、お買い得モデルとなりそうだ。
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