令和の今、もはや'クラウン=おっさんセダン'ではない。新型クラウン エステートが発表された。16代目となる今回のクラウンは、2022年7月に発表された際に示された4つのモデル(クロスオーバー、スポーツ、セダン、エステート)が出揃う形となった。開発の背景について重要視していることとは?
「Discover Your Way Life with CROWNs.」というテーマで、4番目のクラウンとして「エステート」が発表された。ESTATE Zが6,350,000円、ESTATE RSが8,100,000円で、どちらも2.5Lのシリーズパラレルプラグインハイブリッドシステム、E-Four駆動となる。16代目となる今回のクラウンは、2022年7月に発表された際に示された4つのモデル(クロスオーバー、スポーツ、セダン、エステート)が出揃う形となった。会場の麻布台ヒルズには4台のクラウンとともにコラボレーションしたファッションのPOSTELEGANT、櫻井焙茶研究所のお茶、TOUFU TOKYOの盆栽が飾られ、和のテイストが漂う。クラウンチーフエンジニア 清水竜太郎氏、プロジェクトチーフデザイナー宮﨑 満則氏、クラウン 製品企画主査 本間 裕二氏、クラウンカラーデザイナー 宍戸 恵子氏のほか、ゲストにラジオDJ サッシャ氏と元日本女子バレーボール選手 古賀紗理奈氏を交え、賑やかに行われた。
クラウンは今年誕生70周年を迎える。初代クラウンは1955年1月7日に発表された。16代目のクラウン開発にあたっては、「革新と挑戦」という歴代クラウンに共通するキーワードを再認識し、クラウンとは何か、本当にユーザーに喜ばれるクラウンとは何かという原点に立ち返って検討が始まった。過去のクラウン開発に携わったチーフエンジニアや資産の方々の思いに触れ、常にお客様の幸せを願い、新しいことにチャレンジしてきたスピリットこそがクラウンの本質であると改めて気づかされた。セダンやFRといった従来のイメージにとらわれず、お客様のことを真剣に考え、時代に沿った新しいクラウンの開発が進められたという。
4種類のクラウンは最初にクロスオーバーの開発が進められた。多様化するユーザーの価値観やライフスタイルに寄り添う新しい時代のクラウンであるべきという考えに基づき、セダンを少しリフトアップしたようなクロスオーバーという形が最初に提案された。その後、豊田章男会長からの提案によりセダンの開発も進められる。なぜなら、セダンはクラウンの歴史を支えてきた「型」であり、その歴史と伝統を継承する重要なモデルと位置づけられているからだ。クロスオーバーとセダンがあるからこそ、多様化するニーズに応えるスポーツやエステートといったモデルを追加することができ、新しいチャレンジの積み重ねの中で4つのクラウンが誕生したのである。
各モデルの特徴としては、クロスオーバーがセダンとSUVを融合した新しい形で、70年にわたる伝統と今の時代をクロスオーバーさせたというモデルだ。扱いやすいサイズと心地よく安定した走りにこだわって開発された。オンロードとオフロードをボーダレスに使えることを目指した。ビジネスマンの服装の変化(スーツ・ネクタイからジャケット・スニーカーへ)といった時代の変化を背景に、セダンの概念を進化させた。リフトアップし、乗り降りがしやすく、運転しやすいクルマを目指した結果、今までに見たことのない、目を引くデザインとなった。
次に、セダン。クラウンブランドの基盤、歴史、伝統を継承する「クラウンの型」とも言えるが、パーソナルユースとビジネスユースの両方に対応できる「ニューフォーマル」という新しい価値観に挑戦した。前から後ろまで水平なベルトラインが特徴で、伸びやかで堂々とした佇まい。上質感と快適性を追求し、シリーズで唯一、水素で走るFCV(燃料電池車)の設定がある。トヨタ自動車のマルチパスウェイという全方位の電動化戦略に基づき、多彩な電動車をラインナップする一環だ。究極のクリーンエネルギーであり、走行中に空気を吸って浄化する機能を持つため、「走る空気清浄機」「マイナスエミッション」とも言える。水素で発電し電気で走行するため、スムーズで静かな加速フィールと胸をすくような加速性能を持つ。水素タンクによりボディ剛性が高まり、ハンドリングや操縦安定性も高い。社会をリードする個人オーナーや、官公庁、自治体の公用車としての利用も想定し、水素社会の実現と普及を目指すという思いが込められている。
そして、スポーツ。16代目のクラウンの象徴であるクロスオーバーと、クラウンの型であるセダンがあるからこそ生まれた、新しい形のスポーツSUV。見て、乗って、走ってワクワクする、高揚感を感じさせるクルマを目指した。感性に響くエモーショナルなデザインが特徴で、特にリアクォーターの絞り込みが大きい。アシンメトリーな新しい配色など、内装も個性的。助手席側が赤で囲まれ、運転席側がブラックで統一され、コックピットの包まれ感と高揚感の2つの空間を表現した。硬いだけのスポーツではなく、街乗りでの快適性とワインディングでのキビキビとした走りを両立させ、運転の楽しさを追求している。ボディカラーには、変化が美しく見える専用の配色を採用。性別や年代を問わず、個性を大切にする人や、日々をエネルギッシュに楽しむ人に選んでほしいという思いが込められている。
最後に発表されたのがエステートだ。「大人のアクティブキャビン」をコンセプトに、仕事にも遊びにも一生懸命なユーザーをイメージ。機能的でありながらも上質・洗練・余裕をキーワードに開発された。16代目のクラウン全体で掲げる「全席特等席」という考え方をさらに進化させ、後席の快適性も重視した。トヨタ初となるラゲージルーム拡張ボードを搭載している。リアシートバックに格納されており、展開することで全長2mの完全フルフラットな荷室を実現した。拡張ボードの先端部分にはわずかな傾斜があり、荷物を載せた際や車中泊時に頭部が快適になるよう配慮した。デッキテーブルやデッキチェアなどのアクセサリーも用意されている。ユーザーには様々な使い方を想像してもらい、大切な道具やアウトドアギアを大切に置いて移動を楽しんだり、旅先でのくつろぎ空間として活用したりして、アクティブライフを思いっきり楽しんでほしいという思いが込められている。フロントデザインは他のクラウンと異なり、ワンバー一体型のグリルを採用し、金属性でありながらカジュアルなイメージをもたせた。これまでのワゴンにはない、ジーンズでもスーツでも似合うような新しいスタイルを目指した。専用ボディカラー「マッシブグレー」と内装色「グレーッシュブルー」を採用。アクティブで洗練された印象を目指し、早朝の静かでひんやりとした空気感をインスピレーションの源とした配色だ。サーフィン、トレーニング、サイクリングなど、アクティブな一日の始まりに寄り添うイメージだ。目的地に到着した後もアクティブに楽しめるよう、長距離を楽に快適に走れるストレスフリーな走りを追求し、直進安定性と快適性に特にこだわった。
スペシャルトークセッションが行われた。ラジオDJのサッシャ氏は、エステートを除く3つのクラウンに試乗し、クロスオーバーが一番「いいとこ取り」だと感じている。各車種に複数の運転モードがあり、それらがグラデーションのように繋がっている点が面白いと述べている。元日本女子バレーボール選手の古賀紗理奈氏は、夫の勧めでクラウンスポーツに一目惚れし、アッシュブラックのモデルを購入予定だ。運転初心者でも安心して乗れる安全性にも期待しており、スポーツに乗るために免許を取得したとのことだ。クラウンの開発チームは、多様化する顧客ニーズに応えるため、4つの異なるモデルを提案した。実際に購入している顧客層として、輸入車からの乗り換えが多いこと、20代から40代の若い世代のユーザーが大幅に増え、平均年齢が10歳も若返っていることが語られた。これは開発陣の狙い通りの結果であり、非常に喜ばしいとのことだ。クラウンの「革新」というスピリットは、単にクルマの機能だけでなく、販売方法にも表れており、クラウンの専門店舗「ザ・クラウン」がその一例だ。ブランドの発信拠点として、顧客との接点を作り、新しい体験価値を提供する場を目指している。店舗デザインも日本の精神性や伝統を現代的な感覚で表現したものとなっている。ザ・クラウン専門店舗限定の特別仕様車「ザ・リミテッド マッドメタルシリーズ」に、新たにエステートもラインナップされることが発表され、これにより4車種全てに特別仕様車が揃うことになる。会場には、エステートの一台が展示されていた。開発チームは、顧客との交流を積極的に行っており、顧客の声を今後の開発に活かしたいと考えている。若手デザイナーのアイデアも積極的に採用されており、例えばスポーツのグリルデザインなど、生産現場が難しいと感じるような革新的なアイデアも、技術的な進化によって実現されている。クロスオーバーのリフトアップという新しいセダンの形も、若手によるセダンの研究から生まれたアイデアだ。
70周年を迎えるにあたり、「discover your way」というテーマを掲げ、多様性の時代に様々な生き方に寄り添い、心豊かな体験を生み出せるよう、イベントや専門店舗での交流会など、様々な活動を全国で行っていく予定だ。4つのクラウンは単なる車のラインナップではなく、今の時代の顧客が求める車、ライフスタイルを考え抜いた答えであると位置づけられている。顧客が選んだクラウンが、その顧客にとってのフラッグシップとなれるよう開発が進められている。
クラウンエステートは、大人のアクティブライフを豊かにする多機能で上質なステーションワゴンであり、16代目クラウンシリーズ全体を通して、伝統を守りながらも時代の変化に対応し、多様な顧客ニーズに応えるための革新的な挑戦が続けられていることがわかった。発表会当日も、オーナーを招待し、前列に着席させており、顧客第一主義を感じさせた。クラウンというアイコンが75年目、80年目を目指して、さらに発展していくことを期待している。
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