富士スピードウェイで、ALFA ROMEO TRIBE DAYS 2024が開催された。合計384台、685名(内ドライビングアカデミー参加19台)のアルファ ロメオ一族郎党が参集した。
今日は「犬神家の一族」ならぬ「アルファ ロメオ家の一族」が集結する富士スピードウェイに向かう。正式名称は、ALFA ROMEO TRIBE DAYS 2024。トライブは、部族という意味だから、あながち間違いでもなかろう。合計384台、685名(内ドライビングアカデミー参加19台)のアルファ ロメオ一族郎党が参集した。
さて、今回富士スピードウェイまで一緒に向かってくれたのは、フィアットの商用車、ドブロ(Doblo)。ドブロという名前は、スペインの通貨、ドブローネから来ているという。商用車だからね…。ご存知のようにこのドブロ、プジョー リフター、シトロエン ベルランゴと三兄弟である。ぶっちゃけ、商用車だし、そこまで期待値は高くなかったのだが、乗ってみたら、こりゃいいわ!の当たりだった。130psの1.5Lディーゼルターボエンジンは18.1km/Lの低燃費で、8速ATがかなりスムーズ。ディーゼルだから多少音はするけれど、不気味なほど無音より、運転している感覚があって、しっくり来た。高いアイポイント、肉厚なシートと肘掛けで、長時間の運転でも疲れにくい。操作もタッチパネルよりも物理ボタンが中心で、初めて乗っても迷いが少ないから、昭和世代に優しい。贅沢な商用車なので、キャンプなどに出かける人も多いそうだが、個人的には現場に向かう一人親方気分が味わえる一台だと感じた。そう、FMじゃなくて、AMラジオが聞きたくなるクルマ。そんなドブロは、3,990,000円と、なかなかお買い得なのである。
ステランティス ジャパンの打越 晋代表取締役社⻑から開会の挨拶で始まった。「このイベントは、’アルファ ロメオ部族総会’のようなもので、参加されたみなさんを楽しませるために様々な企画が用意されています。天候が心配ではあるものの、参加者の熱意で雨雲を吹き飛ばし、1日安全に楽しんでいただきたいです」
イベントは大きく2つに分かれたプログラム。入場者は誰でも楽しめるトークショー、SNS投稿プレゼント、ヒストリックモデルおよび最新アルファ ロメオの展示と、クアドリフォリオのオーナー向けドライビングアカデミーだ。ドライビングアカデミーでは、谷口信輝氏、藤井誠暢氏がインストラクターを担当し、基礎から応用まできめ細かなアドバイスを行っていた。筆者も、谷口信輝氏がステアリングを握る先導車に同乗走行させてもらう機会を得た。ストレートでは225km/hほど出ていたが、全く恐怖感はなかった。一流ドライバーによるクアドリフォリオのポテンシャルの引き出し方に、ただただ感嘆するばかりである。
ヒストリックモデルは、1750 SPIDER VELOCE, GT 1600 JUNIOR Z, GIULIA SPRINT GT, GIULIA 1300 TI, ALFETTA GT, GIULIETTA SPRINTが並べられ、最新モデルのGIULIA TRIBUTO ITALIANOも展示。アルファ ロメオファンが魅入られていた。自動車ライターの嶋田智之氏によるオーナーインタビューでは、バランスの取れた美しいデザイン、スピードなど、アルファ ロメオの魅力について語っていた。「この車を所有したことで、友人とのつながりができ、人生がより楽しくなったと感じています」、「車は、日常生活から離れられる時間や心の余裕を与えてくれる存在です」、「車との出会いを人生で必要なものだと前向きに捉えています」など、アルファ ロメオという車が単なる移動手段ではなく、所有者の人生に大きな影響を与え、特別な感情を抱かせる存在であることが感じられた。
トークショーでは、嶋田氏がタレントの大倉士門氏さんとアルファ ロメオについて語る。京都出身の大倉氏は父親がアルファを扱うディーラーの運営会社に勤務していたことから、幼い頃からイタリア車が好きになったという。奥様のみちょぱさんは、現在免許取得中ということで、アルファ ロメオのステルヴィオに乗ってもらいたいと考えている。嶋田氏は、「アルファ ロメオのデザインは、時が経つにつれて進化しており、最新のデザインは、当初は覚えるものの、次第に馴染んで評価されているのです。アルファ ロメオのデザインは、将来を見据えながら設計されており、それが’ずるいところ’でもあるんですね」と表現していた。
大倉士門さんにお話を伺った。アルファ ロメオへの愛情について語ってくれた。大倉さんはアルファ ロメオを「生きている感覚がある」と表現し、彼自身の車も成長していると感じている。彼の車への情熱は、幼少期に父親が様々な車を所有し、改造していたことに影響を受けている。特に、スバル レオーネをアルファ ロメオ ジュリエッタ風に改造した「レオネッタ」が印象的だったという。「アルファ ロメオは手の届きにくい車と思われがちなのですが、中古車であれば手が届く可能性があり、所有することの喜びを若い世代にも知ってほしいですね」と語っている。彼自身も、ジュリエッタ、4C、ステルヴィオと、アルファ ロメオを複数台所有したいと考えていることを明かしてくれた。彼にとってアルファ ロメオは、単なる移動手段ではなく、彼の人生の一部であり、彼を表現するものであり、そして彼に新しい出会いを提供してくれる存在のようだ。
また、打越社長にインタビューの機会があった。
イベント開催の背景
サーキットイベント開催の理由は、顧客からアルファ ロメオ車の性能を引き出せる機会を求める声が多かったためです。ドライビング体験枠は19組と限られていますが、これは安全面や運営上の都合によるものです。じつはアルファ ロメオは、過去にオフィシャルなイベントは開催されておらず、今回が全国規模のファンミーティングとしては初めてとなります。
イベント開催の目的
今回のイベントは、アルファ ロメオのブランド価値を再認識してもらうためのものです。特に、高性能モデル「クアドリフォリオ」の走りをサーキットで体感してもらうことで、ブランドの象徴である「イタリアンスポーティネス」を訴求したかったのです。当初はドライビングアカデミーのみの企画でしたが、より多くのアルファ ロメオオーナーに楽しんでもらうために、フェスティバルも同時開催することになりました。ドライビングアカデミーの応募がすぐに埋まったことからも、アルファ ロメオへの強い愛着が感じられる結果となりました。これからもイベントを通して、ロイヤリティの高い顧客を増やしていきたいです。アルファ ロメオの顧客は、他のブランドと比べても、「アルファ ロメオが好き」という気持ちが強い印象でした。
旧型アルファ ロメオユーザーへの対応
旧型のアルファ ロメオに乗っている顧客については、新車に乗り換えるように説得するのではなく、長く乗り続けられるようなサポートをしていく方針です。顧客が安心して旧型のアルファ ロメオに乗り続けられるようなプログラムを、パーツビジネスの関係者と検討しています。一方で、新しいアルファ ロメオの購入を検討している顧客には、アルファ ロメオの象徴であるクアドリフォリオを訴求していきます。良質なクルマなので、コミュニケーションを通じてアルファ ロメオの中核を理解してもらい、購入を検討してもらうように促します。高額なためすべてのディーラーにクアドリフォリオの試乗車があるわけではありませんが、顧客が試乗できる機会を増やしていく予定です。
ステランティスグループ
ステランティスグループ内の他ブランドとの差別化を明確にする必要性があります。アルファ ロメオは「走る喜び」を重視したブランドとして、顧客にその魅力を伝えていきたいです。ステランティスグループ内では、ジープやフィアットが好調です。好調なブランドは、商品企画、マーケティング、営業が連携した取り組みが奏功しているので、他のブランドも同様の取り組みを強化していく必要性を感じています。例えばプジョーは、WECなどモータースポーツへの取り組みを強化し、プジョーのブランド価値を訴求していく、といったような形です。
ディーラー戦略
Stellantisブランドハウスは、複数のステランティス傘下のブランドを1つの店舗で展開する販売店のことです。ブランドごとに異なるコミュニケーションやマーケティング戦略を推奨しており、ブランドハウスでも各ブランドの世界観を維持することが求められます。 ブランドハウスでは、ジープ、フィアット、アルファ ロメオ、プジョー、シトロエン、DSなどのブランドを同じ店舗で取り扱うことができます。利点としては、投資家の方にとって投資効率が良い。ディーラーは、バックオフィスを共有し、安定したサービス収入を得ることができるため、安心して投資できます。お客様にとって利便性が高まります。また、電動化時代においてもディーラーが安定した事業を継続できるよう支援しています。
今後の予定
アルファ ロメオからは、来年、話題になった新型車が導入される予定です。バッテリーEVは年内に導入予定で、ハイブリッド車も導入が期待されています。
最後は100台のアルファ ロメオが走る圧巻のパレードランも行われた。一日たっぷりとアルファ ロメオの世界を満喫し、オーナーも笑顔で帰宅していった。このイベントを通じて、参加者全員が「アルファ ロメオ家の一族」になれたような気がする。さあ、こちらもそろそろ帰るとするか。リアルゴールド片手にドブロに乗り込んで、ひと仕事終えた充実感を噛み締めよう。
ブガッティ ボリード/ケータハム プロジェクトVの真実/日本のDAMD/プリウス:トップギア・ジャパン 061