レースの血統を持つ右ハンドル仕様
GMジャパンは、コルベット史上初のミッドシップレイアウトを採用したシボレー コルベットの高性能スペシャルモデルとして、レーシングカー、C8.Rをベースに開発されたシボレー コルベット Z06(ズィー・オー・シックス)を発表。2023年5月20日(土)、富士スピードウェイで開催した「CHEVROLET FAN DAY 2023」でお披露目された。
コルベット初の右ハンドル車として好評を得ている現行のコルベットと同様に、新型コルベット Z06も右ハンドルでの導入となる。今回発表する日本導入モデルは、力強さを強調するブラックのボディカラーと、洗練された印象を与えるアドレナリンレッドのインテリアカラーを採用。予定価格は25,000,000円。販売台数が僅少のため抽選販売を予定しており、正式な販売台数や抽選方法については、改めて今夏に発表する。
新型コルベット Z06はサーキット走行を前提としたパフォーマンスモデルとして設計・開発され、エンジンレスポンスと走行性能は、魅力的なドライビングエクスペリエンスを提供するための最重要課題として挙げられた。そしてその心臓部には、市販V8自然吸気エンジンとしては最高の出力を誇る(北米仕様)、新型5.5リッター DOHC V型8気筒エンジン、LT6が搭載され、最もパワフルなコルベット Z06となった。
軽量なフラットプレーンクランクシャフトを採用し、高回転まで回すことで475kW/646PS(日本仕様)という並みはずれたパワーを実現。8,600rpmのレッドゾーン、フルレーシングスタイルのドライサンプオイルシステム、入念にチューニングされた吸気/排気システム、独特のエンジンサウンドなど、サーキット走行に特化した性能のあらゆる面を補完するように設計され、全く新しいエモーショナルなキャラクターを放つ。LT6と同時に開発されたLT6Rが、2019年からレーシングカー、コルベットC8.Rに搭載されており、耐久ロードレースの厳しさによってエンジンの性能と耐久性に磨きをかけている。
コルベット Z06の性能は、ミッドエンジンの第八世代のコルベット(C8)をベースに、共通シャシー、類似したエンジン構造とデザインを有するレーシングカー、C8.Rからの知見と経験が、細部に生かされている。コルベット Z06は全幅をコルベット クーペよりも85mm拡大(日本仕様)し、345mm幅のワイドリアタイヤを装備。左右2つのラジエーターに空気を送り込むサイドエアベントからのエアフローも増大させ、コルベットZ06専用に開発されたフロントフェイシアからは3つのフロントラジエーターに効率的に空気を配分し、冷却性能を飛躍的に向上させている。
また、レーストラック高速走行時の安定性とコーナリング性能を向上させるため、調整可能なウィッカービルを備えた、ユニークかつ再構成可能なリアスポイラーを標準装備。ダウンフォースが大幅に増大し、時速186マイル(300km/h)で362ポンド(164kg)の性能向上を実現した。装着されているフロント20インチ、リア21インチの「スパイダー・デザイン」(ブラック)鍛造アルミホイールはコルベット市販モデルで最大となり、「コルベット Z06」を特徴づけるひとつとなる。
高いパフォーマンス特性を発揮するために施されたチューニングとして、マグネティック・セレクティブ・ライド・コントロール4.0や、フロント14.6インチ径(370mm)/ リア15インチ径(380mm)のブレンボ®製ブレーキローターの標準装備が挙げられる。フロントキャリパーのピストン数は、コルベットの4ポットに対し、Z06は6ポットとなっており、これにより、ブレーキ性能が向上し、より高いサーキット性能を実現することが可能となった。
「コルベットZ06」のベースとなっているレーシングカー「C8.R」の輝かしい成績が、この車のポテンシャルの高さを証明している。
「C8.R」は、IMSAの2020年スポーツカー選手権シリーズで輝きを放ち、6回の優勝と7回のポールポジションを獲得するだけでなく、6大会でクラス/レース最速ラップを記録し、デビューイヤーでGTLMクラスのマニュファクチャラーズタイトル獲得を果たした。
翌2021年シリーズもデイトナ24時間でクラス優勝を達成するなど快進撃は続き、最終的にシボレーは2年連続となるGTLMクラスのマニュファクチャラーズタイトルを獲得した。また、WECにおいてはこれまで3勝を挙げており、特に2023年シーズンは開幕戦セブリング、第2戦ポルティマオと2連勝を飾り、第3戦スパフランコルシャンにおいても2位表彰台を獲得し、現在シボレーはLMGTE Amクラスのマニュファクチャラーズランキングでトップに立っている。(2023年5月11日時点)
「Z06」は、1963年にレース用に設定されたトラックパフォーマンスパッケージのオプションコードとして使用、それがゾーラ・アーカス・ダントフという伝説のエンジニアが描いた夢のマシン誕生の起源だ。剛性の高いサスペンション、高性能ブレーキ、強化フロントスタビライザーや、長時間レースにおいてピットインの回数を減らすことのできる大型の36ガロン燃料タンクなどを装備。また当時、同パッケージには、5.4リッター(327立方インチ)の燃料噴射エンジン、クロスレシオの4速MTも含まれていた。第五世代(C5)では、「Z06」名を付けた高性能スペシャルモデルが誕生し、その後第六(C6)、第七世代(C7)でもコンセプトを継承。ミッドシップモデルとなった現在の第八世代(C8)で、そのコンセプトを昇華させようとしている。
トップギアでも現行の右ハンドルコルベットの動画が日本語字幕付きであるので、お好きな方はどうぞ。