クレイジーケンバンドもGTに惚れる
写真は3代目スカイライン、通称ハコスカの1972年製2000GT-Xのセダンだ。ちなみに、1968年から1972年まで製造されたハコスカだが、大きく前期、中期、後期にわかれ、それぞれ好みが分かれる。「なんてったって初代」とばかり、シングルテールランプなどの特徴を持った前期ファンが多いように思えるが、この後期のハイエンドモデルGT-Xもかっこいい。ハコスカでいえば、S20エンジンのGT-Rが希少性が高いと思われているのだが、L20エンジンのGTのサーフラインは美しい…、などと、話題がつきることがない。だが、日産スカイラインGTについた「GT」の意味はすでにご存知だろうか。
GTとはイタリア語でグランツーリスモ、英語ではグランドツーリングの頭文字をとったものだ。大旅行という意味なので、高速で長距離を走るのに適したハイパフォーマンスカーのことを指す。ヨーロッパの大陸を横断するという優雅なイメージが近いのではないだろうか。昔は長距離を走っても壊れない、耐久性のあるボディーやエンジンであるということもクルマの性能を評価するのに重要な点だった。
とはいえ時代を経るに従い、高性能なクルマがGTと呼ばれるようにもなり、スポーツカーとの区別がつきにくくなっているということもある。
先日トップギアのGTオブザイヤーを獲得したベントレーコンチネンタルGTや、アストンマーティンなど、英国車にはGTの種類も多い。日本で最も人気のあるモータースポーツはスーパーGTということで、GTの魅力にとらわれる人が多いのだ。
ここではそんなGTをテーマにした作品を2つ紹介しよう。
一つは西風氏のマンガ、「GTロマン」。暴走族だったマスターが経営するカフェ「ロマン」を舞台に、旧車がたくさん登場してくる。
もう一つは音楽で、クレイジーケンバンドに「GT」という曲がある。クレイジーケンバンドと言うと、ボーカルを務める横浜出身の横山剣氏のイメージもあり、アメ車じゃないかな、と思っている人もいるかもしれない。だが、横山氏は、ハコスカをはじめ、大のクルマ好き。この曲には、横山氏のGTに対する愛情が溢れている。出だしから理屈なしに楽しめる「GT」を聞いて、もっとGTを好きになろう。