2026年7月20日、猛暑の岡山国際サーキットで開催された「ケータハム カップ ジャパン」西日本シリーズ第2戦。ナンバー付きのSEVEN 170を駆るジェントルマンたちを待ち受けていたのは、突如降り注いだ容赦ない豪雨と、トップ集団が次々とコースアウトする大混乱だった。軽量スポーツカーの極致が見せた、波乱万丈のサバイバルレースの全貌をお届けする。
英国の伝統的な「走る歓び」──あるいは「極限まで削ぎ落とした軽量ボディを振り回す狂気」──を現代に伝えるケータハム。彼らが提供する、ある意味で究極のアナログ体験をサーキットで心ゆくまで堪能しようという粋な試みが「ケータハム カップ ジャパン」である。
西日本の「OBERON Series」第2戦の舞台となったのは、岡山国際サーキットだ。2026年7月20日、大雨に見舞われた開幕戦とは打って変わり、朝から茹だるような猛暑のなか、12台のSEVEN 170 CUPが集結した。(ちなみにSEVEN 170 CUPは、日本の軽自動車規格に収まるスズキ製エンジンを搭載したモデルだが、FIA基準の安全装備を纏えば立派な戦闘機となる)。
午前9時15分から始まった予選では、ゲスト参戦のレーシングドライバー、阪口 良平(言うまでもなく賞典外だ)が最終ラップで1分59秒710を叩き出してポールポジションを奪い取った。しかし、開幕戦ウィナーの安達 准平も黙っておらず、2分00秒390を記録してフロントローの2番手につける。続くセカンドローには、2分00秒986の中里 紀夫が3番手、2分01秒345の齋藤 和重が4番手と、トップ陣は僅差の緊張感に包まれていた。
【予選コメント】
予選 1 位 / #14 阪口 良平選手(賞典外) / 1 分 59 秒 710
「ケータハム SEVEN はムチャムチャ面白い! 乗用車感覚が残っているのにミッションがカッチリしていて扱いやすいです。ターボを活用してスロットル全開率を上げることがポイントです。カウンターは減速に繋がるし、フロントタイヤをロックさせてクリップを外すのもダメですね」
予選 2 位 / #9 安達 准平選手 / 2 分 00 秒 390
「スリップストリームを使ってタイムを上げていきました。途中でクールダウンを入れてみましたが、阪口選手には届きませんでしたね。ドライ路面でのレースは嬉しいですが、後続とのタイム差を見ても決勝レースは接戦になるでしょう。スタートから1 コーナーまでは慎重にいきますよ」
予選 3 位 / #5 中里 紀夫選手 / 2 分 00 秒 986
「阪口選手のアドバイスに従ってアクセル全開率を意識しました。ドライでの走行は楽しいですが、フロントのブレーキロックが課題なので、予選では周回を重ねながら自分なりに走行スキームを改善していきました。決勝レースではスタートをミスせずに自分の走りを向上させていきます」
予選 4 位 / #22 齋藤 和重選手 / 2 分 01 秒 345
「数週間前に別のカテゴリーで岡山国際サーキットを走りました。クルマの条件は違いますがケータハム SEVEN は面白いです。予選ではブレーキングを意識して突っ込み過ぎないよう心掛けましたが、まだまだタイムを詰められると思いますので、立ち上がり重視に切り替えて挑みます」
さて、問題は午後14時40分にスタートした決勝レースである。路面温度は45℃に達し、ドライバーたちはヘルメットの中で目玉焼きができそうな暑さと戦うはずだった。しかし、そこは英国車のレースだからだろうか。上空には突如として怪しげな暗雲が立ち込め、レース開始直後の2周目には大粒の雨がフロントシールドを激しく叩き始めたのだ。(屋根も満足なワイパーもないセブンでの突然の雨中走行は、もはや修行以外の何物でもない)。
ドラマは4ラップ目にピークを迎える。雨脚が激しさを増すなか、先頭を快走していた阪口がリボルバーコーナーを下った先のパイパーコーナー(9コーナー)で突如グリップを失い、グラベルへと姿を消した。濡れた路面に残ったラバーに水が乗り、極上のスケートリンクを作り出していたのだ。そして驚くべきことに、後続の安達、中里、齋藤、竹内 大樹までが、まるで示し合わせたかのように全く同じポイントで次々とコースアウトを喫する。美しいフォーメーション スピンとでも呼ぶべきか、トップ集団が丸ごとグラベルの餌食になるという前代未聞の事態である。
グラベルにスタックしてしまった齋藤の状況もあり、レースはここで赤旗中断のジャッジが下された。幸いにも齋藤が自力でピットへ帰還できたため、セーフティーカー先導でレースは再開されたものの、そのまま全6ラップでフィニッシュという幕切れとなった。
トップでチェッカーを受けた阪口は賞典外のため、見事スピンから自力で復帰してサバイバルを生き残った安達が、開幕戦に続いて連勝を飾ることになった。2番手チェッカーの佐藤選手(#80)も賞典外であったため、2位には中里が繰り上がり、3位には混乱をすり抜けた萩野 貴司が滑り込んだ。
【決勝コメント】
決勝 1 位 / #9 安達 准平選手 / 2 分 01 秒 344(ベストラップ)
「得意なスタートが決まって先頭の阪口選手を追えるペースでしたが、中里選手の猛追にプレッシャーを感じて、ブレーキのターンインで飛び出たりしました。今回はチームメイトの萩野選手と表彰台に上がれて嬉しかったです。次戦もまわりに負けないよう威厳のある走りをしたいと思います」
決勝 2 位 / #5 中里 紀夫選手 / 2 分 01 秒 507 (ベストラップ)
「決勝レースは気持ちに余裕が無かったから、ブレーキングでは手前からの慎重な操作を心掛けました。30 数年ぶりに走る岡山国際サーキットは楽しいし、SEVEN 170 CUP やワンメイクタイヤといったレギュレーションも素晴らしいですね。次の最終戦こそはドライであって欲しいです」
決勝 3 位/ #8 萩野 貴司選手 / 2 分 03 秒 089(ベストラップ)
「決勝レースでは運がいいポジションにいました。やはりウェット路面で滑ってしまいましたが、すぐに復帰できたのもラッキーでした。普段はSEVEN 170 CUP では走っていないので、次の最終戦に向けておじさんドライバーなりに練習しておきたいと思います」
今回の波乱の結果を受け、OBERON Seriesのランキングは安達が40ポイントで首位を独走中だ。続く中里が32ポイントで2番手、萩野が29ポイントで3番手につけているが、大野 偉貴が27ポイント、竹内 大樹が25ポイントと、その後ろも大混戦となっている。
運命の最終戦は11月23日、再び岡山国際サーキットで開催される。次こそは英国の天気の神様が空気を読み、ドライ路面で彼らを走らせてくれることを祈ろう。
トップギア ジャパン 073:90年代の熱狂が蘇る!フェラーリ F355&初代NSXの究極レストモッド
ケータハムが気になった方へ
中古車相場をチェックする在庫車多数ガリバー
![]()
今の愛車の買取価格を調べる カーセンサーで最大30社から一括査定
![]()
新車にリースで乗る 【KINTO】



