【試乗】マツダ ロードスターは今なお世界最高のスポーツカーか? トップギアが下した「買い」の評決


ドライビング

運転するとどんな感じ?
MX-5は、純粋でシンプルなスポーツカーがなぜこれほどまでに運転が楽しいのかを示す最良の例だ。その軽さはすぐに伝わってくる。重量と複雑さが増せば失われてしまうような敏捷性で、ステアリングを切り、加速する。

全体として運転するのは喜びであり、古き良きマニュアルギアボックス、後輪駆動、そしてノンターボにこだわり続けることへの素晴らしい宣伝となっている。ただ乗り込んで、徹底的に使い倒せばいい。ややこしいドライビングモードを選ぶ必要もない。スタビリティコントロールやレーンキープアシストをオンにするかオフにするか選ぶ以外は、ボタンを一度押すだけだ。

スタビリティコントロールをオフにするのは賢明か?
お守り(電子制御)をオフにしても安全に運転できる。なぜなら、バランスが素晴らしく良く、(依然として)スロットル操作だけでリアアクスルを圧倒できるほどのパワーはないからだ。外が特に濡れていない限り、内なるラリードライバーを解放したければ、この車を少し乱暴に振り回す必要があるだろう。

2024年のフェイスリフトで、マツダはダッシュボードにチェッカーフラッグのアイコンが付いたボタンを追加した。これがトラクションコントロールを「半分オフ」モード(DSC-TRACK)にする。車をスライドさせ、適切にカウンターステアを当てることは許容するが、スピンしそうだと判断すればパワーをカットし、ブレーキをつまんで介入する。もし後輪駆動での第一歩を踏み出そうとしているなら、これは本当に自信を与えてくれるツールだ。ただし、2.0リッターモデルにしか搭載されていないので注意が必要だ。(※英国仕様の場合)

とはいえ、限界の少し手前で走らせる方が、この車はよりスウィートだ。トヨタ GR86のようにハードコアでもなければ、走りに特化しているわけでもない。アスファルトにブラックマーク(タイヤ痕)を描こうとするよりも、素晴らしい道で勢いを保ちながら、コーナーとコーナーの間をスムーズに流す時こそ、より楽しめるはずだ。

速さではなく、快楽のために作られた。そうだろう?
一言で言えば、イエスだ。MX-5は、シートに体が押し付けられるような加速なしで楽しめるエンターテインメントを主眼に置いている。コーナーに突っ込んだり、エイペックス(頂点)をかすめたりするのは、こいつの領分ではない。そういう運転をすれば、すぐに失望することになるだろう。本気で攻め込むと、MX-5はボディロールに苦しみ、サスペンションの限界を超えるとロール・オーバーステアを誘発する。また、ギアチェンジの吸い付くような精密な感触やペダルの正確な反応とは対照的に、ステアリングの手応えがいら立つほど希薄なのも欠点だ。

いや、MX-5は晴れた日に友人を助手席に乗せ、ナビを行ってみたかった海沿いのグルメなパブにセットして走るための車だ。悩み事なんて忘れて、その瞬間を楽しむのだ。ああ、最高じゃないか。

どのエンジンを選ぶべきか?
エントリーモデルに比べて、2.0リッターの余分なパワーは確かに感じられるが、ターボ付きのライバルと比べて本当に違いを感じるのは、その余分な回転数だ。7,500rpmという回転数は、昔のスポーツカー(ホンダ  S2000が頭に浮かぶ)ほど目が回るような数値ではないが、それでも2速や3速で回し切るのは最高に楽しい。エキゾースト音もこれまで以上に元気が良く、ハスキーなサウンドを奏でるため、レッドラインまで引っ張る価値は大いにある。ギアチェンジも、ああ、本当に気持ちがいい。

安価な1.5リッターも、決して悪い代用品ではない。こちらも7,500rpmまで回るので、速度域が少し低いだけで、同様のスリルを味わえる。2.0リッターはフロントストラットブレース、LSD、ビルシュタイン製ダンパーなど、より上級な装備が標準で付いてくるため、熱心なドライバーならこちらを選ぶべきだろう。

ただ、どちらのエンジンも特にメロディアスだとは期待しないでほしい。騒がしく、平凡なエンジン音は常にMX-5の弱点であり、それは今も変わらない。それでも、前述の通りMX-5は限界まで追い込む車ではないし、高速道路での長距離クルーズなら、マツダが公称する1.5リッターで44.8mpg(15.9km/L)、2.0リッターで40.9mpg(14.5km/L)以上の燃費を叩き出すだろう。45リットルの燃料タンクがあれば、長距離ツーリングも簡単だ。めでたしめでたし。

他に知っておくべきことは?
すべてのMX-5には現在、マツダの新しいKPC(キネマティック ポスチャー コントロール)システムが搭載されている。これは、激しいコーナリング中に内側の後輪にこっそりとブレーキをかけるものだ。路面の継ぎ目などで車体をフラットに保つように設計されており、その作動はあまりに微妙で、気づくのは難しいだろう。

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