ゼネラルモーターズ・ジャパンが、キャデラック初の電気自動車「リリック(LYRIQ)」を日本で正式発表した。右ハンドル仕様で、価格は1,100万円。航続距離510km(WLTP)、95.7kWhバッテリーを搭載し、2025年5月以降にデリバリーが開始される。GMは日本市場を重要視し、リリックに続くEVモデル「ヴィスティック」「オプティック」も2026年に投入予定だ。キャデラックが日本でEVブランドとして躍進するための戦略とは?
キャデラック初の電気自動車「リリック(LYRIQ)」が日本で発表された。すべて右ハンドル仕様で、価格は11,000,000円。2025年5月以降にデリバリーが開始される予定となっている。
リリックはGMのBEVプラットフォームを基盤とし、eAWD(電気式全輪駆動)を採用している。航続距離はWLTPモードで510km、バッテリー容量は95.7kWhだ。充電は100V、200Vに加え、CHAdeMOにも対応している。
エクステリアでは、ブラッククリスタルシールドに配置された光るキャデラックエンブレムや、縦型のLEDヘッドライト、スリムなLEDターンシグナルが特徴だ。インテリアには、1967年型キャデラックエルドラドからインスピレーションを得たデザイン要素が取り入れられている。33インチの大型LEDディスプレイや、AKGの19スピーカーオーディオシステムも搭載されている。
発表会では、ゼネラルモーターズ・ジャパン 代表取締役社長の若松格氏、グローバル・キャデラック バイス・プレジデントのジョン ロス氏、GMアジア・パシフィック プレジデント&マネージングディレクターのヘクター ヴィラレアル氏が登壇し、リリックの発表と日本市場への戦略について説明した。
グローバルでのキャデラックは、真のグローバルラグジュアリーブランドであり、1世紀以上にわたる革新の歴史を持っている。リリックは米国で好調な販売を記録しており、競合他社のラグジュアリーEVを上回る販売台数を達成している。GMではグローバルでのEV展開を加速しており、スウェーデン、フランス、ドイツ、オーストラリア、そして日本など、多くの市場に展開している。
GMジャパンは、日本市場を重要な市場と捉えており、リリックをはじめとするEVラインナップの導入により、日本におけるEVのトップブランドの一つを目指している。日本市場向けには、右ハンドル仕様とCHAdeMO充電規格への対応を実現している。これは、単なる右ハンドル化だけでなく、日本の顧客に満足してもらえるよう、1年以上かけて日本でのテストを重ねてきた成果だ。
リリックは、キャデラックの120年以上の歴史の中で初のラグジュアリーEV SUVであり、ブランドの未来を切り開く重要なモデルだ。最新テクノロジー、精緻なクラフトマンシップ、そして細部にまでこだわったデザインを兼ね備えている。
先進的で唯一無二のデザインが特徴で、ワイドでローなスタンス、印象的な縦型LEDヘッドライト、クリスタルシールドに配置された光るエンブレムなどが目を引く。リアスタイリングやインパネには、1967年型エルドラドのデザインエレメントが用いられている。また、EV専用プラットフォームにより、3,085mmのロングホイールベースと、ほぼ50対50の車両重量配分、低い重心を実現し、スポーティで洗練されたドライビングを提供する。
日本に導入されるモデルは、高効率なデュアルモーターによるeAWDシステムを採用し、最高出力384kW(522PS)、最大トルク610Nmを発揮する。0-100km/h加速は5.5秒だ。95.7kWhの大容量バッテリーにより、510km以上の航続距離を実現している。日本の充電インフラに対応するため、CHAdeMO規格を採用し、全国の公共充電ネットワークとの互換性を確保している。
次世代のアクティブノイズキャンセレーションや、各部の吸音材、遮音材、5mm厚のリアガラスなどにより、高い静粛性を実現している。サステイナブルなInteluxe(アニマルフリーレザー)や、再生紙、リサイクル可能なアクセントファブリックなどを採用している。33インチの湾曲型LEDディスプレイは、Apple CarPlayやAndroid Autoに対応し、モダンなインテリアを構成している。物理スイッチも残されており、操作性とデザイン性を両立している。ユーティリティ: 793Lの荷室容量があり、リアシートを倒すと1,722Lまで拡大する。
2026年には、3列シートのEV SUVである「キャデラック ヴィスティック(VISTIQ)」と、コンパクトラグジュアリーEV SUVの「キャデラック オプティック(OPTIQ)」が日本で発売予定だ。ヴィスティックは、「ベビーエスカレード」とも呼ばれる、迫力と存在感のあるモデルである。オプティックは、価格を抑えながらキャデラックブランドの価値を提供し、次世代のEV購入者のためのエントリーモデルとなる。また、高性能モデルである「リリック V」も2026年以降に導入予定だ。
日本でのキャデラックEVの販売では、新たにエージェントモデルを導入する。これにより、全国どこで購入しても商品価格が統一される。ディーラーは、販売よりもブランド体験の提供や商品の魅力を伝えることに注力する。顧客は、GMジャパンが保有する在庫から車両を選ぶことができ、価格交渉は発生しない。ディーラーは、顧客体験、アフターサービス、下取り、試乗、ローン/リースなどのワンストップサービスを提供する。
キャデラックは1910年代からヤナセを通じて日本に輸入され始めた。当初は皇族や華族、政治家に愛好されていましたが、第二次世界大戦の影響で一時的に輸入が中断された。戦後、再び輸入が再開され、1990年代後半にはヨーロッパ市場への進出と並行して、日本向けの右ハンドル仕様車も投入された。
キャデラックは長らく左ハンドル車が主流だったが、日本市場向けには右ハンドル仕様車を提供したこともあり、1990年代後半にセヴィルなどの右ハンドルモデルが日本とイギリス市場向けに投入された。しかし、2013年以降は右ハンドル車の投入が途絶えていた。
2025年には、キャデラック初の電気自動車「リリック」が右ハンドル仕様で日本市場に導入された。これは約12年ぶりの右ハンドル車の投入となり、日本市場での新たな需要開拓を狙っている。また、リリックに続き、2026年までにさらに2種類の右ハンドルEVを導入する計画が発表されている。この方針転換はどういった背景なのだろうか。
発表会の中で、若松氏は、リリックを始めとする電気自動車のラインナップ導入で「日本におけるEVのトップブランドの一つとなることを目指しています」と述べている。そのために、「もちろん右ハンドルである車内も急速充電器に対応し、そういったことが重要だとそれを実現しております」と、右ハンドル仕様の導入が日本市場での成功に不可欠であるという認識を示している。
また、ジョン氏は「これまでの日本でのキャデラックは左ハンドルの商品ポートフォリオで展開しており、少数台数でありました」と説明している。その上で、「キャデラックが長年の歴史の中で「アメリカのアイコン」であり続けた背景がございます。真にグローバルなブランドとなるために、これらの車両に右ハンドルを再び組み込む必要がありました。これからまず右ハンドルの商品を次々と導入することで多くの新しいお客様を、このキャデラックファミリーにお迎えできると思っております」と述べ、右ハンドル化が新規顧客獲得の重要な戦略であると強調している。そして、「EVプラットフォームは、1台だけでなく複数の車両でそれを行うための素晴らしいアイデアとなりました」と述べ、EVプラットフォームの導入が右ハンドル仕様の再導入を容易にしたと示唆している。これは、ダッシュボード周りの設計やコンポーネントの配置が、EVプラットフォームによって左右対称に設計しやすくなったためと考えられる。
このように、日本市場での販売拡大とEV市場におけるトップブランドを目指すという戦略的な目標、そしてそれを実現するための右ハンドル仕様の重要性が強調されていた。加えて、キャデラックのグローバルブランドとしての成長戦略の一環として、またEVプラットフォームの技術的な利点を活かして、右ハンドル仕様を再導入したという背景が語られていた。
そして、もう一つの特徴が、日本でのエージェントモデルの採用だ。このエージェントモデルでは、国内のどこで購入しても商品の価格が全国一律の指定価格となる。また、ディーラーは販売というよりも、ブランド体験を提供し、商品の魅力を顧客に伝えることに注力できるようになると説明された。顧客が車を購入する際に最も難しいと感じる点の一つとして価格交渉が挙げられており、これは日本だけでなく世界共通の課題であると認識されていることからも、GMジャパンは統一価格で販売する方法を検討した。直接販売という選択肢もある中で、GMジャパンは既存の強力なディーラーとのビジネスパートナーシップを活用し、同様の効果を得ることを目指した。具体的には、統一価格で販売しつつも、ディーラーが持つ顧客体験、アフターサービス、下取り、試乗、ローンやリースなどのファイナンスオプション、DTCやドライブレコーダーといったオプションなどをワンストップで提供できる体制を構築するために、エージェントモデルが導入された。
このエージェントモデルの特徴として、在庫は中央(GM JAPAN)で管理され、顧客はディーラーを通じて中央の在庫から車を選ぶことができる点が挙げられている。これにより、ディーラーの在庫状況に左右されることなく、顧客は希望の車両を選びやすくなると考えられる。エージェントモデルにおいて、GM JAPANが指定する価格が顧客に提示され、販売店(ディーラー)での価格交渉や値引き交渉は一切行われない。この仕組みは、他の業界(書籍や家電製品など)の販売方式を参考に検討されたとのことだった。エージェントモデルを採用した理由は、次のようになるだろう。価格交渉をなくし、顧客が安心して購入できる環境を提供するため、全国どこでも同じ価格で購入できるようにするため、ディーラーが販売交渉よりも顧客体験と商品魅力の伝達に注力できるようにするため、中央在庫システムにより、顧客が希望の車両を選びやすくするため、他の業界の成功例を参考に、新たな販売モデルを構築するため。
キャデラックというブランドがリリックを機に、日本市場での販売戦略を大胆に変えたことは間違いない。右ハンドルでのシボレーの成功事例をもとに、キャデラックもさらに多くの人々にアピールできるだろう。
よくある質問/Q&A
Q1. キャデラック リリックの価格はいくらですか?
A1. 日本市場向けのリリックは、11,000,000円(税込)です。
Q2. 日本ではいつから購入できますか?
A2. 2025年5月以降にデリバリーが開始される予定です。
Q3. 右ハンドル仕様はありますか?
A3. はい、日本市場向けにはすべて右ハンドル仕様となっています。
Q4. 航続距離はどのくらいですか?
A4. WLTPモードで510kmの航続距離を実現しています。
Q5. どの充電規格に対応していますか?
A5. 100V、200Vの普通充電に加え、日本の急速充電規格であるCHAdeMOにも対応しています。
Q6. リリックのパワートレインは?
A6. eAWD(電気式全輪駆動)を採用し、最高出力384kW(522PS)、最大トルク610Nmを発揮します。0-100km/h加速は5.5秒です。
Q7. どのようなデザインの特徴がありますか?
A7. ブラッククリスタルシールドに配置された光るキャデラックエンブレム、縦型LEDヘッドライト、スリムなLEDターンシグナルが特徴です。
Q8. インテリアの特徴は?
A8. 1967年型キャデラック エルドラドからインスピレーションを得たデザイン要素を採用し、33インチの湾曲型LEDディスプレイやAKG製19スピーカーオーディオシステムを搭載しています。
Q9. 荷室容量はどのくらいですか?
A9. 通常時で793L、リアシートを倒すと1,722Lまで拡大できます。
Q10. 走行性能はどのような特徴がありますか?
A10. EV専用プラットフォームにより、3,085mmのロングホイールベースとほぼ50:50の重量配分を実現し、低重心でスポーティかつ安定した走りを提供します。
Q11. どのような静粛性対策がされていますか?
A11. 次世代のアクティブノイズキャンセレーション、各部の吸音材・遮音材、5mm厚のリアガラスなどを採用し、高い静粛性を実現しています。
Q12. 環境への配慮はされていますか?
A12. Inteluxe(アニマルフリーレザー)、再生紙、リサイクル可能なアクセントファブリックなどのサステイナブルな素材を採用しています。
Q13. スマートフォンとの連携機能はありますか?
A13. 33インチの湾曲型LEDディスプレイは、Apple CarPlayとAndroid Autoに対応しています。
Q14. 物理スイッチはありますか?
A14. はい、一部の操作には物理スイッチを残し、操作性とデザイン性を両立しています。
Q15. 今後のキャデラックEVの展開予定は?
A15. 2026年には3列シートSUVの「ヴィスティック(VISTIQ)」、コンパクトSUVの「オプティック(OPTIQ)」、高性能モデルの「リリック V」が導入予定です。
Q16. 日本での販売方式は?
A16. 全国統一価格の「エージェントモデル」を採用し、ディーラーはブランド体験やアフターサービスに特化します。顧客はGMジャパンの在庫から車両を選ぶ方式で、価格交渉は不要です。
Q17. キャデラックの日本市場での歴史は?
A17. 1910年代にヤナセを通じて輸入が始まり、1990年代後半には右ハンドル車も投入されましたが、2013年以降は左ハンドル車のみとなっていました。2025年のリリック導入により、約12年ぶりに右ハンドル車が復活しました。
Q18. なぜ日本向けに右ハンドル仕様を導入したのですか?
A18. 日本市場の需要に対応し、新たな顧客を獲得するためです。EVプラットフォームの設計が左右対称になりやすいため、右ハンドル仕様の開発が容易になったことも要因です。
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