フォルクスワーゲン ジャパン「Love Brand」戦略でファンイベントを開催 新愛称「VWer(ヴィーワ―)」とは?

フォルクスワーゲン ジャパンは、「Love Brand」戦略の一環として、ファン向けイベント「Volkswagen Fan Meeting」を開催。新たに決定したファンの愛称「VWer(ヴィーワ―)」が注目を集めている。イベントでは愛車への愛着を深めるプログラムが満載で、参加者との直接交流によるブランド強化を図る。

【KINTO】

フォルクスワーゲン ジャパンが、ブランドの原点回帰を目指す「Love Brand」戦略の一環として、ファン向けイベント「Volkswagen Fan Meeting」をCITABRIA BAYPARK GRILL & BARで開催した。このイベントは、昨年の正規輸入70周年を機に展開している様々な施策の一つだ。

注目すべきは、フォルクスワーゲンファンの愛称が「VWer(ヴィーワー)」に決定したこと。参加者の投票により選ばれたこの愛称は、ブランドとファンの一体感を象徴する新たなキーワードとなりそうだ。

イベントには、SNSで募集した約1,000名の応募者から抽選で選ばれた16組が参加。この8月から就任した新ブランドディレクターのイモー ブッシュマン氏も出席し、ファンとの直接対話を通じてブランド戦略のヒントを得ようとする姿勢を示した。

プログラムには「My Volkswagen Story」や「スマホで撮れる愛車撮影ワークショップ」など、参加者の愛車への思いを共有し、さらに愛着を深める内容が盛り込まれた。特に、プロのテクニックを学びながら新型T-Crossを撮影する機会は、参加者にとって貴重な体験となったようだ。

8月からフォルクスワーゲン ジャパンのブランドディレクターに就任したイモー ブッシュマン氏は、今後も全国各地でこのようなイベントを開催する意向を示しており、フォルクスワーゲンのコミュニティ戦略が本格化する兆しが見える。

「VWer」の誕生と、こうしたファン向けイベントの開催は、単なるマーケティング施策を超えて、ブランドとユーザーの関係性を再定義する試みとも言える。今後、この「VWer」を中心としたコミュニティがどのように発展し、ブランド戦略にどう影響するか、注目が集まりそうだ。

冒頭、イモー ブッシュマン氏が挨拶を行った。氏は、日本語を勉強中であるとし、自身を「芋」と紹介して笑いを誘った。エジプト生まれのドイツ人で、フォルクスワーゲンのブランドディレクターとして28年間のキャリアを持ち、幼少期からフォルクスワーゲン車に親しんできたと語っている。海外での生活やフォルクスワーゲン車の思い出をシェアし、特に購入したパサートが8年間42万kmノントラブルであったことに感動し、フォルクスワーゲンで働くことを決めたと述べた。

ドイツの大学を卒業後、アウディでトレーニーとしてスタートし、日本を含むアジア市場でのキャリアを重ねた。その後、中国でフォルクスワーゲンビジネスの責任者として8年間務めた後、日本に家族と共に戻ってきたことを喜び、日本が「故郷に帰るような気持ち」であるとも語ってくれた。

ブッシュマン氏は、イベントで顧客の声を直接聞き、ブランドの発展に繋げることに意欲を示し、顧客との定期的な交流を楽しみにしていると言う。

その後、「My Volkswagen Story」が始まり、参加者全員がSNSに投稿した愛車の写真とともに、その出逢いやお気に入りのポイントなどを披露。長らくフォルクスワーゲン車を乗り継いできたり、また、ロングドライブを楽しんだりしている参加者の“フォルクスワーゲン愛”を、みんなで共有した。今回は全部で16台が集まり、タイプ 3、ゴルフ TD Iプラチナムエディション、ティグアン、ゴルフ GTI TCR、ゴルフ1カブリオレ、ニュー ビートルカブリオレ、ゴルフ2、ゴルフ R バリアント、ビートル、タイプ 2 ワーゲンバスなど、様々な車種が参加した。中には、部品取り車として購入したビートルをメインカーとして乗り続けているオーナーや、ゴルフバリアントを3台乗り継いでいるオーナーもおり、長年VW車を愛用していることが伺える。

その後、ランチタイムをはさんで、「スマホで撮れる愛車撮影ワークショップ」を開催。「人」と「乗り物」の新しい関係性を模索するオンラインメディア「noru journal」プロデューサーの村松 亮氏とフォトグラファーの八木伸司氏が、スマートフォンを使ってワンランク上の写真を撮るテクニックを紹介し、実際に新型「T-Cross」の写真を参加者が撮影した。そして最後に、参加者全員が、メッセージを書き込んだ寄せ書きとともに記念撮影を行ってイベントは終了した。フォルクスワーゲンファンの穏やかでフレンドリーな面が良く現れた、楽しいイベントで、参加者にも終始笑顔が見られ、ハッピーな気分になったのであった。

イモー ブッシュマン氏への質疑応答が行われた。
―アジアでの豊富な経験を活かして、日本市場でどのようにフォルクスワーゲンブランドの認知を高めていきたいか?
まだ着任2ヶ月だが、日本のチームと戦略を立てています。日本には強力な顧客基盤があり、「Love Brand」としての地位をさらに高めていきたいです。ロイヤルカスタマーが多いので、彼らとのエンゲージメントを高め、イベントなどを通じてブランドをより強固なものにしたいと思っています。

―コロナ禍で顧客との接点が減っていたが、今後はどのように顧客との接点を増やしていくのか?
日本には非常に強力なロイヤルカスタマーの基盤があり、それをしっかりと育てていくことが大切ですが、一方で、新しい顧客をフォルクスワーゲンブランドにどんどん取り込んでいくことも重要です。よりダイレクトな訴求を新しい顧客に向けて行っていきたいです。これまで、バーチャルやソーシャルメディアを使ってオンラインで顧客との繋がりを維持してきました。コロナ禍が過ぎた今後は、顧客にどんどん近付いていくべきフェーズに入っています。本日のようなイベントなどをたくさん開催し、メディアだけでなく一般の顧客とも接点を持ちたい。

―具体的にどのようなイベントで顧客にリーチしていくのか?
T-Cross、Passat、Tiguan、Golfと、新型車が続々と発売されていますから、これを機に、大きなキャラバンイベントを開催し、顧客に新型車を見てもらっているところです。すでに仙台で開催し、東京でも開催しました。今後も、最もロイヤルな顧客にいち早く車を見てもらいたいという思いで、このようなイベントを開催し、オーダーにつなげたいです。

―日本のフォルクスワーゲンブランドについて、改めてどのようなことを実感したか?
日本において、フォルクスワーゲンブランドは自動車業界にとって不可欠なブランドであることを実感しました。これほどブランドに対して情熱を持ってくれるマーケットは、他のマーケットにはありません。すでに強い顧客基盤があるので、より多くのお客様にメッセージを伝えていくことが次のステップです。

―新車の投入計画と、2024年の販売の見通しについて
フォルクスワーゲン・ジャパンは構造的にチャレンジを抱えており、2024年の販売目標は25,000台から27,000台。ただしこの数字は、あくまで供給が改善しない場合の最悪の数字です。新型車の成功などにより、供給が改善されれば、目標を上回る可能性もあります。なぜなら、需要が弱いのではなく、コロナ以降、日本のスペックに合った車を十分な数確保するのが難しいという供給の問題を抱えているからです。着任前からこの問題に取り組んでおり、ドイツ本社とも交渉した結果、どんどん新しい車が届き始めています。4台の新型車を導入したことで、供給できる車の台数は着実に増加しているのです。2024年の販売目標は、2023年よりも多くの台数を達成すること。具体的な数字は重要ではなく、今年よりも多く売りたいと考えています。過去にはもっと多くの台数を販売していたので、まだまだ販売台数を伸ばせる余地はあると信じています。

―世界的な半導体不足の影響は?
フォルクスワーゲンの業績、現状を踏まえ、会社をより理想的な形にしていかなければなりません。将来の成長のための投資を可能にするために、現在のコスト体系を見直しているところです。ドイツで議論されていること、メディアで報道されていることは、効率的な工場運営とは何かということです。この問題は日本のみならず、世界中の自動車の供給に影響を与えるものです。現在話し合われているのは、1つの工場で作られている1つのモデルを他の工場に集約することなどがあります。そうすることで効率性は上がるが、集約されなかった工場の効率性は悪くなるので、小さくなってしまった工場をどうするかが、現在の議論の中心です。その他の工場で必要な車は作れるので、供給に問題はないと考えています。

―EV戦略、特にID.シリーズのラインナップ拡大計画について
日本市場では、「内燃機関搭載車」と「EV」の2本柱戦略をとっています。IDシリーズは、現在ID.4を販売しており、ラインナップを拡大していく予定です。来年は、ID.4よりも上位モデルのID.Buzzを投入します。あmた、ID.4よりも小型のID.2も、2026年頃に導入予定です。その他のID.シリーズも、日本市場への導入を検討しています。導入を決める前に、市場を分析し、十分な可能性があるか、日本のフォルクスワーゲンブランドを育成し、より多くの顧客にリーチすることに役立つモデルであるかを判断して参ります。現時点では、ID.4、ID.Buzz、ID.2のバランスが理想的と考えています。

―日本市場におけるEV市場の分析について
着任2ヶ月で、まだ十分な分析はできていないため、将来どうなるか、正確な情報は提供できません。日本は世界で最も電動化が進んでいるマーケットの一つですが、EVのシェアはまだ小さいです。ハイブリッド車が人気だが、EVはこれからです。現時点で明確な分析は難しいが、将来的にはより明確な分析が可能になると思っています。

―クラシックカーのパーツ供給について
クラシックカー事業は、現時点ではビジネスの範囲外です。法規制上、パーツの供給責任は約15年から20年あります。ドイツに、ビンテージモデルの市場拡大を支援するフォルクスワーゲンの部門があるので、ブランドとして何かサポートできることがあるかもしれません。

―日本の自動車文化について
日本は世界で最もエキサイティングな自動車市場の一つですので、私が日本に戻ってきたのもそれが理由でもあります。日本人は車に対して献身的な愛情を注ぐ、ユニークで特別なマーケットだと認識しております。日本で車は、人々の人生の大切な一部となっていると感じています。クラシックなモデル、新しいモデル、パフォーマンスモデル、カジュアルなモデルと、様々な車種が見らますし、日本の車は非常によく整備されていて綺麗です。フォルクスワーゲンに限らず、他のブランドのオーナーも自分の車を大切にしており、整備、改造、展示など、様々な側面から車を楽しんでいますよね。特に、パフォーマンスカーの文化が非常に発達していると思います。

―中国の自動車市場について
中国は世界で最もダイナミックな自動車市場の一つです。私が中国に赴任していた頃は、ちょうど内燃機関車からEVへの移行期で、現在では中国の新車販売台数の54%がEVでした。中国では、車に対する伝統的な文化的側面はあまり見られず、顧客は車をデジタルデバイスの一部として見ている傾向があります。そのため、フォルクスワーゲンを含む伝統的な自動車メーカーは、中国市場に適応するために、デジタル化を進める必要がありました。

―ドイツの工場閉鎖の可能性について
まだ何も決まっていません。企業としてどのように効率的に運営し、コスト構造を改善していくか議論している段階です。工場閉鎖も選択肢の一つですが、必ずしも閉鎖しなければならないわけではありません。

―ドイツの労働組合との交渉について
ドイツでは、労働組合が業界と定期的に交渉し、従業員の労働条件を更新するという習慣があります。現在の交渉では、労働組合は従業員の賃上げを求めているところです。一方、自動車業界、フォルクスワーゲンを含む、はコスト削減を進める必要があり、交渉は難航しています。交渉は先週から始まり、2ヶ月間続く予定。年末までには何らかの合意に達する見込みです。工場閉鎖を含め、どのような結果になるかはまだ分かりません。フォルクスワーゲンは、常に革新的で前向きな考え方を持っているため、交渉を通じて双方にとって納得のいく内容で合意できると信じています。

―今後のフォルクスワーゲンブランドの展開について
フォルクスワーゲンは、親しみやすく、近寄りやすいブランドです。「ラブブランド」として、さらに多くの人に愛されるブランドを目指していきます。そのためには、顧客とのコミュニケーションを強化し、認知度と共感度を高めていく必要があります。また、ディーラーのサービスレベルを向上させ、顧客がショールームでいつでも歓迎されていると感じるような雰囲気作りが重要です。また、アフターサービスでは、顧客のニーズに迅速かつ的確に対応し、安心感を与えることも大事なことです。車を所有することのあらゆる側面で、顧客に楽しんでもらいたいですね。イベントやソーシャルメディアの活用などを通して、顧客とのコミュニケーションをより効果的に図っていきます。

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