夏も冬も安心 ダンロップ新作「シンクロウェザー」が変えそうな次世代タイヤ動向

ダンロップから次世代オールシーズンタイヤ「シンクロウェザー」が登場。独自の「アクティブトレッド」技術により、路面状況に応じてゴムの性質を変化させ、夏タイヤ並みの性能と冬の安全性を両立。都市部や準降雪地域のドライバーに最適な、年間を通じて快適な走行を実現するタイヤだ。


夏も冬も安心・便利に使える次世代オールシーズンタイヤ

7月22日、住友ゴム工業は次世代オールシーズンタイヤ「ダンロップ シンクロウェザー(SYNCHRO WEATHER)を発表した。発売は10月1日から。初期発売のサイズと価格(税込)は、175/65R15の2万1450円から225/40R18の6万9630円までの全40サイズだが、将来的には計100サイズ以上に拡大する予定だ。

シンクロウェザーは、その名が示すように「天候で変化する、あらゆる路面にシンクロして止まる」次世代オールシーズンタイヤだ。

いわゆる夏タイヤはドライ/ウエットの路面では十分なパフォーマンスを発揮しても、シャーベット/雪上/氷上といった冬の路面は走行できない。また、高速道路などの冬用タイヤ規制ではチェーンを装着しなければならない。逆にスタッドレスタイヤは、非積雪のドライ/ウエット路面では走行性能が劣る。今までも夏冬ともに対応するオールシーズンタイヤはあったが、氷上路面には対応できず、またドライ路面ではロードノイズが大きく、乗り心地も良くないという欠点があった。

だが、このシンクロウェザーは夏冬のあらゆる路面に対応するタイヤだ。その秘密は、2点ある。まず、天候による路面の変化に合わせてゴムの性質を切り換える「アクティブトレッド」。ゴム分子内のポリマー間の結合をイオン結合に置き換えたことで、水に触れると結合がほどかれてゴムの性質が柔らかく変化する。そのため、路面がドライからウエット/氷上に変わると(その逆も)、ゴムがあらゆる路面に最適化して、剛性を確保しながら路面に密着してグリップする。

次に、アクティブトレッドに最適化した「新トレッドパターン」。ウエット/雪上に強いV字溝設計+周方向溝で高い排水性/排雪性を確保。氷上性能に必要なエッジ成分はサイピングを増加して確保。パターン剛性の最適化でショルダーの剛性を確保し、ドライ路面走行に対応。そして新パターン/プロファイルでロードノイズを低減している。

夏タイヤ並みのドライ/ウエット性能を持ちながら、不安なく冬道を走ることができ、またスタッドレス並みの冬性能を持ちながら冬季以外も夏タイヤ並みに走ることができる。メインターゲットは、都市部を中心とした準・非降雪エリアの夏タイヤ使用ユーザーだ。

まずは冬の北海道で雪上性能をテスト

この「ダンロップ シンクロウェザー」を発表前にテストする機会を得た。まずは冬の北海道で雪上性能を試した。

その性能を分かりやすく比較するために、ダンロップのスタンダートなスタッドレスタイヤである「ウインターマックス02」とオールシーズンタイヤの「オールシーズンマックス AS1」と同条件でテストする。

最初にテストコールの氷上路面。テスト日は好天の午後で、外気温は冬の北海道としては温かい?マイナス5度。そのためアイスバーンの表面は少し溶けたツルツル状態。スタッドレスタイヤでも走るのは辛いシチュエーションだ。

それゆえか、AS1ではまったくグリップせず、ブレーキを踏んでも止まらない。氷上旋回ではアンダーステアが出まくる。続いてシンクロウェザー。多少はグリップするものの、安心して乗れる感じではない。ブレーキ性能は少し良いかなといったレベルだが、氷上旋回はきびしい。そしてウインターマックス。グリップ感は多少向上するものの、やはり表面が溶けて水膜ができた氷上路面ではスタッドレスタイヤでも大差はないといった印象だった。

次に、一般積雪路面をシンクロウェザーで走る。冬の北海道の一般路面ゆえ、国道でも路面はほとんど露出していない積雪路面で、ある程度は踏み固められているとはいえ、そのグリップ性をはじめとする走破性能は高かった。

黙って乗せられたら、おそらくオールシーズンタイヤではなく、普通のスタッドレスタイヤを装着していると思うだろう。タイヤのグリップ感やステアリング操舵時の反応など、一般積雪路での走行では自然で違和感のないものだった。おそらく、年に2〜3回、雪が積もるか積もらないかの都会での使用だったら、まったく問題はなさそうだ。これを4WDのSUVに装着していれば、ウインターレジャーにも普通に行けるだろう。

シンクロウェザーの冬性能に関しては、十分に満足してテストを終えた。

静粛性や乗り心地は、夏タイヤ並みになったのか?

雪上テストから約3カ月後、シンクロウェザーの夏性能をテストした。まずテストコースでは、夏タイヤの「ル・マン V+(以下、ルマン)」とスタッドレスタイヤの「ウインターマックス 02(以下、スタッドレス)」との比較テスト。

まず、スタッドレスではコーナリング時のグリップ不足やノイズの大きさが気になる。

シンクロウェザーは、一般路的な40〜50km/hで路面の悪いところを走ると、ルマンよりザラつきを感じるが、オールシーズンタイヤとしては静かなほうだ。コーナリングではトレッドの柔らかさを感じ、高速走行では少し高周波音を発するが、不快なレベルではない。驚くべきは乗り心地の良さで、これはルマンと大きくは変わらない。

スキッドパッドでウエット性能を試すと、50km/hくらいの定常旋回はスタッドレスではグリップ不足となるが、シンクロウェザーとルマンはほぼ同レベルのウエットグリップを発揮する。ただし水を弾くノイズは、シンクロウェザーのほうが少し大きいようだ。

続いて、シンクロウェザーを履いて一般路での走行テスト。試乗車はメルセデス GLCやレクサス NXといったSUVだったが、いずれもマッチングは良かった。乗り心地は良く、ロードノイズも気にならない。今回は郊外路での40〜60km/hくらいでの走行で、ワインディングロードや高速道路は試していないが、普通に使うなら十分な性能といえるだろう。黙って乗せられたら、オールシーズンタイヤとは気づきにくい。

積雪地帯ではないから、必ずしも冬タイヤは必要ではない。とはいえ、万が一の降雪に備えてスタッドレスタイヤを用意したほうが良いのかもしれないけれど、保管が面倒。でも今までのオールシーズンタイヤでは夏性能に不満がある…、と悩んでいた人には、このシンクロウェザーは格好のタイヤかもしれない。

車種によっては、リプレイスで装着しても良いのでは? そんな気にさせてくれる、なかなかの優れものタイヤだった。(文:篠原 政明/写真:原アキラ、ほか)

よくある質問/Q&A
Q1: ダンロップ「シンクロウェザー」とは何ですか?
A1: ダンロップ「シンクロウェザー」は、住友ゴム工業が開発した次世代オールシーズンタイヤです。夏も冬も安心して使用できる、あらゆる路面状況に対応するタイヤです。

Q2: シンクロウェザーの特徴は何ですか?
A2: 主な特徴は2つあります。1つ目は「アクティブトレッド」技術で、路面状況に応じてゴムの性質を変化させます。2つ目は新しいトレッドパターンで、様々な路面状況での性能を最適化しています。

Q3: シンクロウェザーはどんな路面状況に対応していますか?
A3: ドライ路面、ウエット路面、シャーベット、雪上、氷上など、夏冬のあらゆる路面状況に対応しています。

Q4: 従来のオールシーズンタイヤとの違いは何ですか?
A4: 従来品と比べて、氷上路面での性能が向上し、ドライ路面でのロードノイズが低減されています。また、乗り心地も改善されています。

Q5: シンクロウェザーの主なターゲットユーザーは誰ですか?
A5: 都市部を中心とした準・非降雪エリアの夏タイヤ使用ユーザーがメインターゲットです。

Q6: シンクロウェザーの発売日と価格帯は?
A6: 発売日は2024年10月1日です。価格帯(税込)は、175/65R15サイズで2万1450円から225/40R18サイズで6万9630円までとなっています。

Q7: スタッドレスタイヤと比べてどうですか?
A7: 一般的な積雪路面では、スタッドレスタイヤに近い性能を発揮します。ただし、極端な氷上条件ではスタッドレスタイヤの方が優れる場合があります。

Q8: シンクロウェザーは夏タイヤの代わりになりますか?
A8: はい、多くの使用条件下で夏タイヤの代わりになります。ドライ路面やウエット路面での性能は夏タイヤに近いレベルです。

Q9: シンクロウェザーの静粛性はどうですか?
A9: 従来のオールシーズンタイヤと比べて静粛性が向上しており、夏タイヤに近い静粛性を実現しています。

Q10: どんな車種に適していますか?
A10: 幅広い車種に対応していますが、特にSUVなどとの相性が良いとされています。ただし、具体的な車種適合については、メーカーの推奨を確認することをお勧めします。

ブガッティ ボリード/ケータハム プロジェクトVの真実/日本のDAMD/プリウス:トップギア・ジャパン 061





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