日本で、ジープファミリーが勢ぞろいした。国立科学博物館で行われたジープ コマンダーとジープ グランドチェロキーの発表会は、かつてない充実ぶりを見せた。国立科学博物館でクルマの発表会を行うのは初の試みだという。館内にはジープの歴史のボードが、まるで博物館の特別展示のごとく飾られ、会場まで進む間に、気持ちを高ぶらせてくれた。ベールがかかった2台の中心の天井には恐竜の骨がぶら下がり、ジープの冒険心を象徴しているようだ。
発表会は、ポンタス ヘグストロム社長をはじめとするステランティスジャパンの担当者により行われ、アメリカからクリス ベンジャミン インテリアデザイン副社長も参加し、大規模なものとなった。
まずはグランドチェロキーから。グランドチェロキー Lは2022年の2月から、10年ぶりのフルモデルチェンジとして販売されている3列シートの7シーター。 今回は、2列シートの標準ボディであるグランドチェロキーで、同モデルで初めてのプラグインハイブリッド車が設定される。全長4,900mm(Summit Reserve 2.0L 4✕eは4,910mm)、全幅1,980mm、全高1,810mm、ホイールベースは2,965mmと、7人乗り仕様に対して全長が約300mm、ホイールベースが125mm短縮され、最小回転半径は6.0mを実現し、取り回し性に優れている。プラグインハイブリッドのパワートレインは、2.0ℓ直列4気筒ターボエンジン、電気モーター2基、350Vバッテリーパック、8速オートマチックトランスミッションで構成され、燃料消費を最小限に抑制している。モーターのみで最長53km走行可能で、ハイブリッド燃料消費率は10.4km/ℓ(WLTCモード)を達成した。一方、ガソリン車は、2.0ℓ直列4気筒ターボエンジンに8速オートマチックトランスミッションが組み合わされ、最高出力272ps、最大トルク400Nmを発生させる。価格は8,920,000 円〜12,325,000円。なお、プラグインハイブリッドは来年の春を予定している。
そして、もう一台が、3列シートで7人乗りのミッドサイズSUV、コマンダーだ。価格は5,970,000円。ジープブランドで初採用となるディーゼルエンジンを搭載している。2.0LDOHC直列4気筒ターボディーゼルエンジンは、最高出力170ps、最大トルク350Nmを発生。さらに最大トルクを1,750〜2,250rpmという低回転域から発生することで、アクセル操作に対してトルクが瞬時に立ち上がり、優れたドライバビリティを実現している。
この高効率なエンジンには、9速オートマチックトランスミッション、ならびに電子制御4×4システム「Jeep®アクティブドライブ」が組み合わされており、高い走破性と低燃費を両立している。さらにコマンダーには、排出ガス後処理装置として尿素SCRシステムを搭載し、排出ガス内の窒素酸化物(NOx)を大幅に低減した。
なぜ、今再びコマンダーなのか?ジープブランドといえばチェロキーというほど認知度が高い車だ。日本でも30年以上売ってきたモデルだが昨年末をもって生産が終了している。そこで、コマンダーが投入されることになった。コマンダーはグランドチェロキーとコンパスの間に入るポジショニングだ。実は2005年にコマンダーという車を導入していたが、今回はその後継ではなく、全く違うものになっている。なおかつこの車は北米では販売しておらず、ブラジルで販売し大成功を収めたそれを右ハンドルにしてインドと日本に持ってきたコマンダーなのだ。なので、チェロキーの後継という位置づけになる。なお、今年の5月からインドでメリディアンという名前で、インド版コマンダーが発売されているそうだ。
ポイントはまずデザイン。グランドチェロキー Lからインスピレーションを受けてデザインされている。特にフロントのライティングは、親子のように感じられるほど。ジープのアイデンティティのひとつであるフロントの7スロットグリルは、ヘッドライトと一体化し、安定感のあるスタイリングを印象付けている。またヘッドライトは、前走車や対向車の有無を検知してロービームとハイビームを自動で切り替えるオートハイビームシステムや、視認性の高いシーケンシャル式のターンシグナルランプなど、最新の技術を搭載している。
ルーフ部分にはブラックペイントルーフを採用し、プレミアムな雰囲気を演出している。リアコンビネーションならびにリアバンパーのデザインは、日本未導入のプレミアムモデル「Grand Wagoneer(グランド ワゴニア)」からインスピレーションを得たデザインとなっている。このほか台形のホイールアーチ、荒れた路面で車体との干渉を低減する十分な地上高など、ジープの血統を受け継ぐデザインが随所に取り入れられている。
ジープならではの機能性を高めるという意味で3列シートが採用されている。3列シートに関しては、ここ5年間の日本市場で3列シートを搭載しているSUVは11から22%の割合。まだ3列シートを搭載しているSUVの数はそう多くない。特にグランドチェロキーのような大型SUVではなく、中小型 SUV では三列シート搭載の比率は少ない。だが日本のすべての乗用車の中では、約1/4に3列シートが搭載されている。その多くはミニバンだ。3列シートを搭載したモデルは、全長4.7-4.8m程度の大きさの車が最も販売台数が多くなっている。今回導入するコマンダーは全長4.8mということで、日本の3列シート事情の中ではちょうど良いサイズ感となっている。もちろんグランドチェロキーほどの大きさはないので、3列目シートはそこまでゆったりできるというわけではないが、1列目から2列目の間が840mm、そして2列目から3列目の間が780mmとなっているので、小柄な女性や子供なら窮屈になるというようなことはなさそうだ。
コマンダーに関しては8月末から予告サイトで告知をしていた結果、3,000件の問い合わせがあり、その6割がジープオーナー以外からの問い合わせであったということからも、新規の顧客からの関心の高さがうかがえる。
発表会終了後は、ラウンドテーブルでのディスカッションも行われた。
ヴィーガンインテリアへの対応について
「サスティナビリティに関しては調査研究を続けております。これはパワートレインではなく素材や素材の調達に関してなどに関してです。現在もヴィーガンレザー(合成素材)を取り入れたものもありますが、今後は電動化に合わせて使用できるようなものを開発中です」
ディーゼル PHEVなど今後のパワートレインの展開について
「コマンダーで初めてジープの中でディーゼルを投入しましたが、PHEV の導入は現時点ではありません。世界的な傾向としてディーゼルの割合は縮小し、PHEV は増加ていきます。ですから全体としてはトレンドに合わせた動きが予想されると思います。ただし、ディーゼルはトルクが必要な大型車には適しているので、当面は引き続き販売していきます。電動化の基本的な方針はステランティスの本社で決定し、それをブランドごとに判断していきますリージョンごとによって変わってきますが、ステランティスとしては2030年までにどのブランドにも電動化されたモデルがあるようにします」
昔はチープだったジープが、なぜ現在のような上質感を得られたか
「常にジープはお客様にとって何が大事なのかという視点に立って考えています。2008年当時、あるジャーナリストがジープのインテリアを’プラスチックの水鉄砲と同じ’だと安っぽさを表現しました。その後会社が倒産の危機から立ち直り、2009年10頃からインテリアに関しても素材いや質の見直しが行われ、その後は自然の進化で今に至っています。
2000年代頃からはサプライヤーに頼っていたインテリアの業務を内製化し、社内にインテリア部門を設けて基準を明確にしました。それをさらにサプライヤーに対しての厳しい品質基準とするようにしています。それと同時にサプライヤーさんとのパートナーシップが強化されたと考えています。サプライヤーさんの方も何度も受賞しているようなジープと一緒に仕事がしたいというふうに考えてくれてると信じています」
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