ベントレーが103年の歴史を示すヘリテージコレクションの展示室を本社工場の中心に開設


先日、日本随一のベントレーのヘリテージコレクションを所有するワクイミュージアムについてご紹介したが、今回は本社クルーから、ヘリテージガレージのニュースが到着した。クルーの工場跡地の一部が、過去103年間のベントレーの歴史の中で最も重要なモデルを展示するための施設として再利用されることになったのである。ヘリテージガレージは、CW1 ハウスにある既存のベントレーの系譜の展示を補完するもので、42台のヘリテージコレクションを展示する。ヘリテージガレージには、現在1919年以降に製造された22台のコレクションが展示されるが、最終的にはクルーで製造された1946年以降の車両に焦点を当てる予定だ。

この新しい施設によって、ヘリテージコレクションのすべての車両が、初めてベントレーの敷地内に保管されることになった。コレクションは過去18ヶ月間にわたる大規模な施設拡張プログラムを経て、現在ではベントレーの全歴史を体現するものとなっている。

クルーを訪れる人は、顧客、VIP、メディア関係者を問わず、連綿と続くベントレーの生産モデルを、完調で公道走行可能な状態で見ることができるようになる。来年の夏までには、コレクションは3つのエリアに分かれる予定だ。重要なクリックルウッドのモデル(1919-31年)とダービー時代のモデル(1931-39年)は近日完成予定のCW1ハウスの展示室に展示され、クルーで製造されたモデルはヘリテージガレージに置かれる予定だ。一方、コレクションのうち8台のモータースポーツカー(ル・マンのスピード8、アイス・スピード・レコード、パイクスピーク・カー、GT3レーサーを含む)は、別の展示になる予定だ。

ヘリテージガレージは、1930年代に建てられたレンガ造りの工場内にあり、以前は「プロジェクト・フォーラム」として、2003年のコンチネンタルGTなどのモデルが企画・開発された場所だった。明るく開放的なこの場所は工場の中心であり、工場内を歩くと目に触れる場所だ。また、ガレージはベントレーの美しいビンテージカーに囲まれたイベントスペースとして、社外向けプレゼンテーションや社内のブリーフィングに利用されている。

会社がビヨンド100戦略の変革の旅を続ける中で、今日のベントレーがどこから来たのかを明確に示すヘリテージコレクションは、重要な役割を担っている。また、ヘリテージコレクションの車両は、ペブルビーチからミッレミリアまで、世界中の主要なイベントにも展示・参加している。

ヘリテージコレクションの責任者であるマイク・セイヤーは、次のようにコメントしている。

「私たちは、このコレクションを再構築し、私たちの歴史を完全に描き出すとともに、重要な新モデルを発表するたびに、コレクションを追加していくことを決めました。例えば、このコレクションには、ベントレー初のプラグインハイブリッド車であると同時に、電動化に向けた当社のビヨンド100戦略における重要な一歩となった2019年モデルのベンテイガハイブリッドも追加されました。私たちが進化を続ける中で、お客様や社内のあらゆる分野の従業員にもベントレーモーターズの豊かな歴史を共有したいと考えています。ヘリテージガレージはその歴史を鮮やかに蘇らせ、過去の歴史を積極的に参照しながら、未来への道筋をつけることができるのです」

コレクションに含まれる42台の車のすべてが、ベントレーの歴史において何らかの特別な意味を持っている。

ヘリテージコレクションのクリックルウッドセクションには、最もアイコニックな戦前のベントレーの数々が展示されている。出発点は、W.O.ベントレーが製造した2番目の車であり、世界で最も古いベントレーであるEXP2だ。次に、2台のブロワー(うち1台は現存するベントレーの中で最も価値の高いチームカー#2)、1929年式のスピードシックス、そしてW.O.が2年間にわたり愛用した1930年式の8リッターが続く。

マークVIは、クルー工場から出荷された最初の車であると同時に、短期間で営業上の成功を収めた車でもある。ヘリテージコレクションのAGO 2は、黒地にグリーンのツートンカラーで仕上げられ、1938年式の4 ¼ リッターエンビリコスと1952年式のアイコニックなタイプRコンチネンタルをつなぐ重要な役割を担っている。

1959年にデビューしたジャック・フィリップス設計のアルミニウム合金製V8エンジンも、物語をつなぐ上で重要だ。自然吸気エンジンは、ヘリテージコレクションのエレガントな1963年式S3スタンダードサルーンの176 FGH、そして会長の社用車として使用されたコンバーチブルタイプの1984年式ベントレー・コンチネンタルA455 YGJに搭載されている。

6.75リッターV8エンジンにターボチャージャーが搭載されると、ベントレーの販売台数と世界的な名声は飛躍的に向上した。ヘリテージコレクションには、このパワートレインを搭載した1991年式ターボRや、フォルクスワーゲングループ傘下で初めて生産された2001年式のアルナージ・レッドレーベルなどが展示されている。ファイヤーグローレッドで仕上げられたこの車両は、ベントレーの歴史におけるターニングポイントの1つを示すものだ。

6.75リッターV8エンジンは、2020年までベントレーの伝統であるエフォートレス・トルクを受け継いできた。ミュルザンヌのパワートレインとして採用されたこの巨大なV8エンジンは、最高出力512PS、最大トルク1020Nmを発揮し、最高速度は時速184マイル(296km/h)、0-100km/h加速5.1秒の性能を実現した。ヘリテージコレクションに採用されたミュルザンヌは、シャシー000002で生産ラインから2番目に出荷されたモデルだ。インペリアル・ブルーで仕上げられ、インテリアはショートブレッドで縁取られている。

2003年に発表されたコンチネンタルGTは、ベントレーとクルーに革命をもたらした。それまでベントレーは高度なコーチビルドカーを年間1,000台以下しか生産していなかったが、その10倍以上の台数が生産可能になった。ヘリテージコレクションのシャシーナンバー20001は、サイプレスグリーンの右ハンドルモデルで、クルーの生産ラインから最初に出荷されたコンチネンタルGTだ。

その後すぐにベントレーは、6.75リッターV8エンジンと同様に、コンパクトで非常にパワフルな6.0リッターW12エンジンでも注目を集めるようになった。W12エンジンを搭載したヘリテージコレクションモデルには、3世代のフライングスパーと高性能クーペであるコンチネンタルスーパースポーツの両世代が含まれる。また、汎用性の高いW12を搭載した2016年式ベンテイガのシャシー00001は、生産第一号車で、ベントレーの103年の歴史の中で最も重要なモデルの1つだ。

一方、先進のベントレー4.0 リッターV8を搭載した車両としては、2014年に発売されたコンチネンタルGT V8S がヘリテージコレクションに採用されている。1950年代半ば以来、初めてベントレーのV8が一新され、現在ではベントレーのすべてのラインナップで新型の4.0リッターV8が提供されている。

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