ゴム製造から150年、世界的なタイヤメーカーになったピレリが日本向けスタッドレスタイヤを発売

ピレリジャパンは、コンパクトカー、中・大型セダン、ミニバン、SUV に向けて、新スタッドレスタイヤ「ICE ZERO ASIMMETRICO(アイス・ゼロ・アシンメトリコ)」を発表した。 ICE ZERO ASIMMETRICO は、ドライビングの正確性および、危険を伴う氷雪路面における安全性を確保している。 新しい ICE ZERO ASIMMETRICO は、15 インチから 20 インチまでの合計 44 サイズが用意され、2022 年 7 月より順次発売。価格はオープンだ。

この新スタッドレスタイヤは、ピレリ創立 150 周年に、駐日イタリア大使館において発表された。発表会場には、「ピレリ:情熱と革新の 150 年」と銘打った写真展示も行われたが、このように、ピレリ創立 150 周年を記念するイベントは、2022 年を通して世界各国で様々な形で行われている。記念日の 1 月 28 日には、世界 4 ヶ国をつないだカウントダウンが行われ、それを皮切りに、Formula 1 をはじめとするモータースポーツのスポンサーシップにおけるシーンや文化イベントなどで記念の活動が行われている。日本でも当初はもう少し早く開催する予定だったが、コロナの影響で延期となり、新商品発表と合わせてようやく晴れの日を迎えることができたのだ。

ICE ZERO ASIMMETRICO は、日本の非常に厳しい冬のニーズに対応するために開発された。この製品は、冬季における安全で快適なドライブのために、降雪地域に住む、コンパクトからミニバン、SUV までの幅広い車のドライバー向けに設計されている。 また、このタイヤは、都市部に住みながら、ウインタースポーツを楽しむために降雪地域へドライブするユーザーにとっても、移動を安全で快適にする。

ICE ZERO ASIMMETRICO の開発に使用された最新の技術は、氷雪路面における高いブレーキング性能および、凍った路面での優れたトラクション性能を実現している。 雪上での優れたハンドリング性能に加えて、ドライ路面における快適な乗り心地と高いレベルの静粛性も確保している。

また、新しいトレッド、サイプ、コンパウンドの採用によって、従来品よりさらに日本の冬の環境に合うよう、氷雪上性能が向上している。

ICE ZERO ASIMMETRICO は、従来の 3D サイプをさらに進化させ、トレッドブロックの剛性を向上させた新 3D サイプと、通常の 2D サイプを組み合わせた、ハイブリッドトレッドブロックの採用により、優れたアイスブレーキ性能を発揮する。 また、スクエアブロックとダブルサイド・トゥ・サイドグルーブの採用による革新的でユニークなトレッドパターンにより、氷雪路やウェット路面など、幅広い路面状況に対応することができる。

さらに、革新的な可塑剤コンセプトを用いた新しいコンパウンドの採用により、冬のあらゆるコンディション(雪、氷、ウェット)でのグリップ力が向上している。 またロングステイポリマーを採用したデュラブル・ソフト・コンパウンドは、経年劣化しにくく、より長いパフォーマンスを可能にする。そして、より低温時でも作用し、気温が低く過酷な条件の冬の朝晩でも即時に安全性を発揮する。

150年というとてつもない長い歴史を有するのがピレリ。ジョバンニ・バティスタ・ピレリは、1848年12月27日、コモ湖畔のヴァレンナで生まれた。ミラノ工科大学で工学の学位を取得した後、22歳の時に奨学金を得て、スイス、ドイツ、ベルギー、フランスを巡った。その旅では、繊維、機械、鉄道、冶金などの工場を視察したが、中でも彼の目を奪ったのがゴムの加工工場だった。 彼はイタリアに戻ると、24のパートナーの支援を受けて、ゴム製品を製造するための国内初の会社を設立した。 こうして、1872年1月28日、ミラノに「G.B. Pirelli&C.」 が誕生したのだ。

今や世界有数のタイヤメーカーであり、コンシューマー向けタイヤ(乗用車、二輪車、自転車)とそれに関連したサービスに特化した唯一のタイヤメーカーでもある。ピレリは、世界の名だたる自動車メーカーとのパートナーシップにより、3,800 以上のホモロゲーションを取得した高度な技術を特徴とし、ハイバリュータイヤにおける明確な地位を確立している。最高レベルの性能、安全性、環境負荷の抑制を達成するために、ピレリは常に研究開発に力を注いでおり、2021 年にはハイバリュー製品の売上の 6%を研究開発に投資している。1907 年からモータースポーツに携わっているピレリは、2011 年から FIA Formula One World Championship™(フォーミュラ 1)のグローバルタイヤパートナーを務めており、2024 年までの独占的なパートナーシップ契約を更新している。ピレリ・デザインは、プレステージカーとプレミアムカーのセグメントに焦点を当てたピレリの戦略に沿って、ユニークでアイコニックな製品を提供することを究極の目的として、それぞれのビジネス分野で卓越性を示す厳選されたパートナーとの協力のもと、デザインプロジェクトを展開している。

ピレリジャパンの代表取締役社長、フィリッポ シブラリオ氏は次のように述べた。「弊社は日本で40年以上にわたって事業を展開しており、今後も投資を継続していく予定です 。日本は非常に重要な市場であって、優れた品質の製品を提供する能力が非常に要求される市場でもあります。ご存知のように日本にはプレミアムセグメントがあり強力な輸入プレステージ、プレミアムカーの保有台数も多くあり、ピレリが成長していく余地があります。しかしその一方で日本車にシフトしているのも事実です。また、大口径タイヤを装備した車やSUV の登録台数が増加しており、プレミアムタイヤへの需要も高まっております。日本の市場環境を見据えながら、最新の技術に基づき、日本の冬特有の厳しい条件を考慮した新しいウインタータイヤの商品を発売します」

クオリティー マネージャーを務める永嶋 映(ながしま あきら)氏はコメントした。「ピレリといえば、P ZEROというイメージを持っている人も多いでしょう。アイス・ゼロ・アシンメトリコは、P ZEROのゼロを使っています。アイス性能のトップレンジのタイヤという意味で、願いと絶対の自信が込められているのです。ピレリでは今まで約20年にわたって日本でアイス専用商品を開発してきました。日本というのは、60%の国土が積雪地と寒冷地という、とても特殊な環境にあります。現在では、世界の各地でオールシーズンタイヤが一般的になってきましたから、スタッドレスタイヤはよりアイスの性能に特化させることができました。一番の特徴は、新3Dサイプです。2D+3Dサイプを組み合わせ、ブロック中央部の2Dサイプが、雪が押されてしまうギアラック効果を効果的にリセットしする、ハイブリッドトレッドブロックを採用しています。さらにモータースポーツにも積極的に加わっていますから、WRCの冬場の経験を生かした業界ナンバー1のスタッドレスを目指し、開発しました。
日本の市場には44サイズ投入します。その中には、ヤリス クロスなど人気のSUVや、アルファードやノア、ステップワゴンなどのミニバン、コンパクトカーにも適合したものを揃えています。人気車種はだいたい入っていると思います。
夏タイヤに関しては、日本をかなり重要視したアジア向けの商品がパワジー(Powergy)で、アジア専用モデルです。今回のアイス・ゼロ・アシンメトリコと同じように、本国ミラノの開発陣と中国にあるアジアのR&Dと、ディスカッションしながら作っていった商品です。
日本向けとしては音、燃費、ウエット性能を重視しますね。日本は雨も多いのですが、ウェットに関してはヨーロッパも意外と雨が多いものですから、データには共通な部分がありウエット性能を上げる技術として応用することができるのです。北米の場合は、寿命だとかスピードを求めてくるというふうに、消費者や国によって、変わってきますね。日本のピレリには伸びしろがたくさんあると思っています。中国の数量を追い越すぐらいの勢いでやっていきたいと思います。コロナも少し落ち着いてきたので、アイス・ゼロ・アシンメトリコほか、ピレリタイヤを使用していただきたいですね」

発表会終了後には、矢野沙織氏のピアノデュオミニコンサートがアルトサックスの音色を響かせ、ガーデンパーティーが開かれた。イタリア大使館のエントランスにはランボルギーニ シアン ロードスター(4億円超)、ガーデンには、トップギア・ジャパン 044で特集されたフェラーリ モンツァ SP2(2.3億円)、ピナレロ DOGMA F(完成車184.8万円/フレームセット93.5万円)、ドゥカティ Panigale V4 S(358万円)と、ピレリに縁のある高級なイタリアの二輪/四輪が展示されていた。

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その後、駐日大使のご厚意により、イタリア大使館の史跡を案内していただいた。じつは、ここには、大石主税良金ら十士切腹の地の石碑があり、当然ながらこういった機会でも無い限り、見ることができない貴重なものなのである。伊予松山藩の三田中屋敷だったこの地では、元禄16年(1703年)2月4日に大石主税や堀部安兵衛など、赤穂浪士10名が切腹し、昭和14年(1939年)に徳富蘇峰が揮毫の「赤穂浪士十名切腹ノ地・伊太利大使館」碑が当時の駐日イタリア大使によって大使館敷地内に建立された。ほかにも、石灯籠や茶室跡など、知らなかった歴史建造物に触れる良い機会となった。

ピレリの150周年を、イタリアと日本の深い関係性が忍ばれる地で祝うことになろうとは、創業者のジョバンニ・バティスタ・ピレリ氏もまさか想像だにしなかっただろう。だが、ピレリはフェラーリやランボルギーニなどイタリアと日本をテクノロジーでつなぐハブとなって、これからも日本市場に特化したタイヤを開発してくれるに違いない。

https://www.pirelli.com/tyres/ja-jp/car/catalogue/product/ice-zero-asimmetrico

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