【インタビュー】フェラーリCEOが語るEVの未来と「ルーチェ」 元アップル幹部との協業、そして「次世代」への責任とは

フェラーリ初のピュアEV「ルーチェ」のインテリアが公開され、賛否両論が巻き起こる中、トップギアがベネデット ヴィーニャCEOを直撃。元アップルのジョニー アイブを起用した理由、電動化への迷いなき決断、そして彼が語る「イノバビリティ」の真意に迫る、独占インタビューだ。


画像:トップギアのためにアンドレイ アヴァルヴァリがレンダリングしたもの

開始から45秒。フェラーリCEOのベネデット ヴィーニャは、私が新型ルーチェのどこが一番好きか尋ねてきたところだ。ボスはチタンメッキのような鋭い眼差しで私を凝視し、それから微笑んだ。質問するのは私の方だと思っていたのだが…。

疑う余地はない。この車は、世界で最も称賛されるラグジュアリーカーブランドにとって未知の領域を表している。フェラーリは2027年に創立80周年を迎える。史上最高の名車を世に送り出すだけでなく、同社は顧客との間に、ビジネス界が羨むような関係を築き上げてきた。彼らは家族の一員であり、フェラーリのトップモデルへの渇望は飽くことを知らないが、その食欲は巧みにコントロールされている。

しかし、フェラーリの投資家たちは電気自動車への転換に確信を持てずにいる。ハイエンドEVへの需要は、言ってみれば「未知数」のままだ。もし誰かが状況を一変させられるとすれば、それは間違いなく彼らだろう? 昨年10月にエンジニアリングの説明会があり、今週のインテリア公開を受けて、インターネット上では新製品に対するいつもの「冷静な(※皮肉)」反応が見られる。ご存知の通り、これを主導したのはアップルの元チーフデザインオフィサーであるサー ジョナサン アイブ(ジョニー アイブ)と、デザイン集団「LoveFrom」のパートナーであるマーク ニューソンだ。彼らは仕事相手をかなり選ぶが、そのリストにはAirbnb、アップル、モンクレール、そして最も興味深いことにサム アルトマンのOpenAIが含まれている。そして過去5年間は、フェラーリもそこに加わった。

彼らは間違いなく過去50年間で最も影響力のあるプロダクトデザイナーだが、先見の明のあるフラビオ マンゾーニ率いるフェラーリのデザイン部門も、単独で素晴らしい――そして挑戦的な――仕事をしている。では、なぜ同社は初の完全電気自動車のデザインにおいて、外部の助けを求める必要性を感じたのだろうか?

「ユーザーインターフェースの面で誰が良い仕事をしているか、見渡してみるのです」とヴィーニャは言う。「私はアップル時代にも彼らと仕事をしました。もし『電気=デジタルでスクリーンだらけ』という、ユーザーにとって難しすぎる概念を打ち破りたいのなら、経験豊富な人々と組むべきです。アナログとデジタルのこの組み合わせは、私たちが目指す車にとって基本的(ファンダメンタル)なものです。実は、フェラーリCEOのポジションについて話し合っていた時、ジョン(エルカン会長)からLoveFromについて聞かれたのです。私たちは新しい種類の車、新しい種類の技術について話していたので、彼らと組むのは良いことだと考えました」

ヴィーニャ自身、2021年にフェラーリから声がかかった時はテクノロジー界の主要なプレーヤーであり、キャリアの初期をカリフォルニアで過ごしていた。彼はエアバッグに初めて使用され、後に任天堂WiiやiPhoneの画面回転機能に応用された3次元モーションセンサーの開発に貢献した人物だ。彼は猛烈に知的で、エンジニアリングに深いルーツを持つ、極めて実利的な男である。

私は彼に、前日Waymoの自動運転タクシーに乗ってみたと伝えた。「乗ったのですか? 私は人が運転する方が好きですね。チップ(半導体)は信用していません」と彼はきっぱりと言った。冗談なのかどうか判断がつかない。我々はより安全な話題、つまりルーチェと、その開発を導いた方法論についての議論に戻った。そのプロセスがどれほどスムーズだったのか、気になるところだ。

(写真キャプション)左から右へ:ベネデット ヴィーニャ、ジョン エルカン、フラビオ マンゾーニ、サー ジョニー アイブ、マーク ニューソン

「機械エンジニアや空力学者を交えて、制約条件を説明する会議を持ちました」と彼は答える。「導入しなければならない基本的な構成要素や、説明が必要な事項――例えばホモロゲーション(認証)基準など――がありました。その後、彼らがアイデアを出してきて、私たちが『これはOK、これはダメ』と言えるようになりました。マラネロとサンフランシスコのチーム間では、継続的な対話があり、情報の双方向の流れがありました」

イタリア企業がアメリカやイギリス、日本の企業とは異なるやり方をするのは公然の事実だ。それはある種の多様性であり、我々はそれに感謝すべきだろう。しかし、課題も伴う。「文化的な違いはあります」とヴィーニャは認める。「ハイテク業界で働くことの素晴らしさは、多くの文化に触れられることです。前職では、トルコ、イスラエル、チェコ共和国、インド、日本、台湾、中国など、世界中に21のデザインセンターを持っていました。すべての文化があり、それぞれが独自の方法で話すのです」

「だから私は、こことイタリアの仲介役として動くことができました。違うのは言葉だけではありません。時間管理も違います。私にとっては問題ありませんでしたが、カリフォルニアの人々と接したことのないイタリア人にとっては、興味深い経験だったと言えるでしょう」

「初期段階では、彼らが統合するのを助けるために電話をする必要がありましたが、その最初のフェーズを過ぎると、物事はスムーズに進みました。例を挙げましょう。私が『イエス』と言う時、それは『同意する』という意味ではなく、『あなたの言っていることは理解した』という意味かもしれません。私たちは使用される素材について多くを学びましたが、個人的なレベルでは、今や社内に異文化を理解する人々がいるということです。そして、それは大きな資産なのです」

ヴィーニャはまた、LoveFromとのコラボレーションによって、フェラーリという文脈においても一般的にも、デザインの重要性に対する理解が深まったことを認めるほどオープンだ。アイブとニューソンはチームにフェラーリに関する素晴らしい全4巻のブランドブックを作成させ、会社の歴史と主要なタッチポイントを記録した。LoveFromのサンフランシスコ本社を訪れた際、TopGear.comはそれを目にした。費やされた労力はご想像通り並外れたもので、通常のムードボード(イメージ集)の域をはるかに超えている。

「個人的には、私はそれほどデザインに没頭していませんでした」とヴィーニャは認める。「テクノロジーの世界にいると、デザインとは何だと思いますか? それはエンジニアリングのことなのです。デザインセンターについて話しているなら、それはチップの設計方法を意味します。これを好まないかもしれませんが、私にとってデザインとはスタイリングと同義語でした。私は完全に間違っていました。このコラボレーションに取り組む中で、工業デザインの価値を理解するようになりました。いいですか、私は物理学者です。私が学んだのは、デザインには他のあらゆる学問と同じ深さがあるということです」

「テクノロジーの世界に身を置く人間にとって、『デザイン』が何を意味するかご存じですか? それは『エンジニアリング(工学的な設計)』のことなんです」

電動化を取り巻く不確実性に関して言えば、もしヴィーニャが船長だとすれば、進路はすでに描かれており、彼はそれに固執するつもりだ。心理学者ダニエル カーネマンの行動経済学分野での研究(彼の著書『ファスト&スロー』は読む価値がある)について話した後、彼は別の有名な人物を引き合いに出した。

「アイザック ニュートンは、天体の動きは計算できるが、人々の狂気は計算できないと言いました」とヴィーニャは言う。「私たちは自分たちのコントロール下にあるもの、そして自分たちがコミットするものに集中します。電気自動車を作ることは重要だと信じています。なぜなら私たちはリーディング ラグジュアリー カンパニーであり、リーダーであり続けたいのであれば、変化を受け入れることを恐れない姿勢を示す必要があるからです」

「私たちは意識をリードし、顧客にユニークな感情を届けるためにここにいます。私も顧客と話をしますが、彼らの息子や娘たちからのプレッシャーを感じることができます。私たちは次の世代のことを心配し、ただ言葉を使うだけでなく行動しなければなりません。イノベーションとサステナビリティ――私が『イノバビリティ(革新可能性)』と呼ぶもの――が鍵です。また、顧客がハッピーなら、投資家もハッピーなのです」

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=海外の反応=
「(笑)…フェラーリは次の世代のことなんて心配してないって。心配してるのは、彼らが自分たちの車を買わなくなることだけだろ。フェラーリは『地球を救う』ことになんて興味ないし、そうあるべきでもない。フェラーリとは過剰、排他性、騒音、そしてプレステージのためのものなんだから」

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