ベントレー フライングスパー ハイブリッドはビヨンド 100戦略の大いなる中間到達点

年末年始の休暇を控えて、街がきらめく夜に、ベントレーの新型フライングスパー ハイブリッドのお披露目会が開催された。ベントレーの日本市場は、コロナ禍にも拘らず、今年、過去最高台数を販売している。ベントレーモーターズジャパンの牛尾裕幸ブランドディレクターの挨拶から始まったが、その声はとても自信にあふれていた。
その後、フライングスパーハイブリッドのアンベールと、横倉 典マーケティング&コミュニケーションマネージャーによる車両説明が行われた。
フライングスパーハイブリッドは、2.9リッターV6シングルスクロールツインターボエンジンと電気モーターを組み合わせ、544psと750Nmを発揮する。航続距離はトータルで700km以上、電気のみで40km以上走行可能な、ベンテイガ ハイブリッドに続く、ベントレーの「ビヨンド100」戦略を推し進める一台だ。日本でのデリバリーは、2022年後半を予定している。価格は、2,420万円。

じつは、筆者は先日、東京ミッドタウンに展示されていたこのフライングスパー ハイブリッドを間近で見てきたばかりであった。ベントレーの車種は、それぞれ統一感を大切にし、また、ハイブリッドであることへの主張も控えめだ。エクステリアでは、フロントフェンダーの「Hybrid」プレートくらいしか、違いはわからない。そこで、違いをまとめていこう。

まず、フライングスパーには、W12(2,750万円)とV8(2,350万円)がすでに出ており、そこに、このハイブリッド(2,420万円)が加わった。エンジンスペックは、6.0L W12 ツインターボ(ツインスクロール)635PS/900Nm、4.0L V8 ツインターボ(ツインスクロール)550PS/770Nm、2.9L V6 シングルスクロールツインターボ+Eモーター 544PS/750Nmとなっている。パフォーマンスは、W12が最高速度333km/hと0-100km/h加速が3.8秒、V8が最高速度318km/hと0-100km/h加速が4.1秒、ハイブリッドが最高速度285km/hと0-100km/h加速が4.3秒という差がある。ちなみに、先日発表されたベンテイガハイブリッドだと、3.0L V6 シングルスクロールツインターボ+Eモーター 449PS/450Nm、こちらもフライングスパーのHVと同様、電気のみで50km走行が可能だ。
ベントレーダイナミックライドとオールホイール・ステアリングがW12だと標準、V8だとオプションでつくのに対して、ハイブリッドの方では、設定がない。V8との違いを比べると、トランク容量 351L に対して420L、ガソリン容量 80L に対して90L、車重 2,505kg に対して2,330kgと、主に電動化に関する要因があるが、好みや用途に合わせて選択するのが良いだろう。

後半には、本社クルーとのオンラインQ&Aセッションが開催されたのでご紹介しよう。ベントレーへのさまざまな質問に答えてくれたのは、セールスおよびマーケティング担当取締役のアラン ファヴィー(Alain Favey)氏、そしてサポート役として、コミュニケーションダイレクターのウェイン ブルース(Wayne Bruce)氏だ。ファヴィー氏は、2021年5月にシュコダからベントレーに入社した。シュコダではブランド初の電気自動車であるエンヤック iVを含む現行モデル群の立ち上げを主導したという、電動化のエキスパートでもあり、これからのベントレーにとって、欠くことのできない人材である。また、ブルース氏は、マクラーレンからの転職組で、ここのところのユニークな動画やリリースは彼の手によるものだ。

アラン ファヴィー氏:
ベントレーは102年という歴史を迎えヘリテイジも十分あり、現在大変良い状況にあります。2030年に向けた「ビヨンド100」という戦略に則って走り出しています。
今年はベントレーにとって最も大きな成果を生んだ年となっています。皆様はどれだけの台数を販売したかということに関して関心があると思いますが、私たちにとって最も大事なことはこのベントレーというブランドが将来どのようになっていくのかということです。ご存知のようにベントレーという会社は、過去必ずしも収益を生み続けてきている会社ではございません。2014年に1.7億ユーロ(222億円)と言う過去最大の営業利益を出しましが、これはだいぶ前の話です。それ以降は1億ユーロ(130億円)を少し下回る状況が続いてきました。今年はかなり良い成績となっており、特にROS(売上高利益率)に関しては10%以上ということで、これは非常に大きなニュースです。
販売台数に関してですが、2013年以降毎年のように販売台数を伸ばしています。世界では10,000から12,000台のところを推移してきているというところでした。今年は11月末の段階で13,000台を超えるという状況になってきており、過去最大の販売台数となっています。こと日本に関しましては、およそ600台を販売しました。嬉しいことですが、ラグジュアリーブランドとして最も重要なことは、最大の販売台数を実行するということではなく競合と比較をしながらそれなりにボリュームを出すということが重要であります。同時に収益性を確保することによって、「ビヨンド100」のような野心的な戦略への十分な投資を行なっていくことです。
私どもの戦略に関して言えば、まずハイブリッド化を進めていき、そして最終的には全面的に電動化を進めてまいります。本日皆さんのところに、その大きな中間到達点たる、フライングスパー ハイブリッドをご用意させていただきました。イノベーションというものがブランドにとっての最も重要な価値の一つであると確信をしています。そういった観点からラグジュアリーブランドとしてのベンテイガというSUVを最初に導入させていただき、そのハイブリッド版のSUVも打ち出すということを進めています。このことはラグジュアリーブランドのハイブリッドカーのベンチマークを打ち出すという意味を含んでいます。
さらに先を見据えて電動化を強め、将来バッテリー駆動型の電気自動車を実現させるということで取り組んでおり、非常に重要な段階に到達しているのだと認識しております。これまでベントレーというものは強力で力強いクルマのヘリテイジを持っているメーカーでありましたけれども、今後はサスティナブル、そして電動化を中心にした車両を提供するメーカーとして進んでいきたいというふうに考えております。私どもにとりまして日本というのは大変重要な存在でありまして、特に日本の方はベントレーというようなラグジュアリーブランドに対してどういう考えを持っておられるのかということを直接伺うことはとても重要なことだと考えております。

Q:コロナを経験したにも拘らず、2021年のアジア太平洋地域は好調な業績だった。なかでも、日本が過去最高台数を販売した。この状況を、どのように分析されるか?
世界的な状況を見てみますと、ベントレーを含めましてさまざまなラグジュアリーブランドへの需要が高まっているように思います。世界各国日本を含めて、その需要を享受していると言えるでしょう
これは一つにはコロナというものの影響があるように思えます。コロナ禍においてはラグジュアリーなものに対してお金を使うと言う傾向があるのではないでしょうか。ベントレーに関しては、その市場の中の勢いをうまく活用できていると思っています。これは一つにはモデルの持つ魅力というものがあります。そして市場に参入したのが比較的若いということもありましたので新鮮で、市場に魅力を感じてもらえるものとなりました。

Q:セダン、クーペ、SUVの現在の販売比率について
全体的に申し上げてバランスのとれたポートフォリオを実現できていると考えております。ベストセラーはやはりベンテイガで、世界の売上の中でも50%程度を占めています。次に来るのがコンチネンタル GTで、カブリオレとクーペタイプ合わせて、大体25-30%を見ております。それからフライングスパーですけれどもこちらが20-25%程度です。中国や欧州など、市場ごともそれなりの違いがあります。ただし日本の市場に関して申し上げれば、先ほどの数字に沿ったバランスの良いものになっております。

Q:ラグジュアリーブランドとしてのバリューを保つためには年間でどのくらいの販売台数が適切と考えるか?
我々が日々考えていることです。例えば日本市場に関して申しますと、今年は記録的に年間600台を販売しています。しかしながら日本全体でどれくらいの台数の車が販売されているかを考えてみますと、そのうちの600台ということになれば、それは日常で普通に見られるクルマではなく、やはり特別なクルマの範囲内であることに変わりはありません。もしもこの数が2倍になったとしてもフェラーリなどと比べ、ベントレーの持つ特別性の価値というのは失われないものと考えております。同じことが世界市場全体についても言えます。世界全体で10,000-12,000台が、今年はおそらく13,000台に行くのではないかと思われます。しかし、世界市場の販売台数というものは7,500万台。ですので、特別性が損なわれることはございません。今後ベントレーの販売台数はますます増えていくという風に考えていますけれども、特別性という価値は失われないものだと思っております。

Q: 2025年までに初のバッテリーEVを発売する予定だが、コロナの影響も含めて順調に進んでいるのか?また初のEVはSUVになるのだろうか?
コロナの影響に関してはそれほど受けておらず、ベントレーの電動化は、戦略に則って、現在フルスピードで進行中です。つまり技術的な側面に関しまして、お客様がラグジュアリーブランドに求めている価値というものが実現できるまで、技術を全面的に使えるようにしなければならないと思っています。ですので2025年にバッテリーの電気自動車を実現するというのは遅いと思われるかもしれないですが、2025年までにはお客様が求めるラグジュアリーブランドに期待する技術が全面的に適用できるということだと考えています。
最初に投入するBEVは真の意味でのSUVにはなりません。もう少しオリジナルなものになります。今の段階では詳しく申し上げることはできません。もう少し後で実際に詳しくご紹介させていただきたいと思います。

Q:ベントレーといえばレザーを使ったインテリアが特徴だが、今後車種によっては人口的な新素材やリサイクル素材を使う予定はあるか?
今後、ラグジュアリーを求める顧客はサスティナブルなものを求めることになっていくでしょう。持続可能な製品を手にして環境に貢献していこうというふうに考えているということになります。ベントレーもその考えに寄り添い、レザーや木であるとか持続可能なソースから取得していきます。過去にコンセプトカーのEXP100ではマリナーによってそのようなことが実現されました。

Q:2030年までに全車を100%電気自動車にシフトしていくということだが、EVでは走りの個性を出していくのが難しいと思う。イーブイのベントレーは他ブランドと走りの面でどのような差別化を図るのか?
私は今ベンテイガのハイブリッドを運転していますが、インテリアはベントレーらしいラグジュアリーさに満ち溢れていますし、車内が非常に静かです。私たちベントレーがお客様に提供していかなければならないものはこういった洗練されたものなのです。マテリアルについても選び抜かれたものを使っていくということです。さらには電動化による静けさ静謐さというものをお客様に楽しんでもらえるようにすることです。ですから質問にあったような、対立するものではないと思っています。電動化ということとベントレーのクルマを楽しむというのは二項対立するものではなく、互いに一致をしているものだと認識をしております。ただし一方でブランドなりの具体性や個別性を出すということも電動化においても必要なことだと思っています。例えばポルシェのタイカンだとか、アウディのetron GTなどは個別性を実現しています。セットアップを変更することで違う体験を提供できるのです。ですから私どもも電動化においては、ベントレー的な方向で差別化をできるものと考えております。

Q:ベントレーが目指すEVの味付けについて
私どもにとって幸運だったのは色々と参照できるモデルがあるということです。メルセデス・ベンツ、アウディ、ポルシェなどEVの先人たちがたくさんいます。その中でベントレーが求めるものは何かということ。ベントレーは、運転をする際の安心感、快適性を提供する一方で、それらをスポーツカーのパフォーマンスと組み合わせるということを目指してきました。これこそがベントレーのDNAです。これは電動化を実現したとしても変わるものではありません。すなわちラグジュアリーなパフォーマンスを提供するということです。この意味で差別化に関してはあまり心配をしておりません。私たちは適切なコンビネーションをつくりあげることができます。

Q:新しいテクノロジーであるEVになっても残して行かねばならぬデザインとは?
現在新しいデザイナーが一生懸命に考えているところです。伝統を大切にしながらもEVという新しい世界に飛び込んでいくということが必要です。まだどういう風な形になるのかということは最終的な回答が出ているわけではありません。しかし今言えることはベントレーが持つデザインDNAをしっかりと認識し、イノベーションを達成して行くということです。

Q:BEV化されたベントレーのGTの定義とは?
2025年に初めての完全電動車が出るわけですが、電動化された場合のラグジュアリーというのは必ずしも航続距離の長さだけで決まるわけではありません。例えば充電をする時の経験、充電の仕方なども非常に重要な意味を持っていると考えています。それも含め、2年にわたって電動化におけるラグジュアリーというものを考えています。ベントレーのお客様は一般の電気自動車を充電するものとは違った経験を求めているのではないでしょうか?ですので航続距離だけでなく、充電時間の過ごし方も含めて考えていきたいと思っております。必ずしも簡単なものというわけではないですが、今取り組んでいるものであります。

ベントレーの「ビヨンド100」戦略における、大いなる中間到達点、フライングスパー ハイブリッド。UK本社と日本を含めた各国市場が一体となって、電動化を推進していることがよくわかった。顧客の理解を得ながら、2022年もベントレーは好調を維持していくだろう。

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