ランドクルーザーをレストアして6.2リッターV8を積んで9席シートにしちゃえば、最高レベルの功利主義を実現

ランドローバーシリーズやGクラスなどの本格的なオフローダーを紹介するときには、必ずといっていいほど英語で「ユーティリタリアン」という言葉が出てくることにお気づきだろうか。「功利主義」、「最優先で効用を求める」とか「実用一辺倒」、ってことだ。

そして、J60ランドクルーザーを実用的でないと表現するのはかなり難しい。もちろん、「機能的ミニマリズム」などの言葉を使うこともできるけれど、それは同じことを言うために言葉を増やしているに過ぎない。それが私たちの主張である。

J60は、他の多くの製品とは異なり、飾り気がなく、機能的で、気取らない製品だ。だからこそ、この時代のランドクルーザーはタイムレスだと言えるのかもしれない。しかし、実際にはそれだけじゃない。1980年代を味わえる最高の方法としてのクルマなのだ。

カリフォルニアにあるレストアを行っている「コルセッティ クルーザー」のブライアン コルセッティは、J60と80年代について、私たちと同じ考えを持っているようだ。このレストアされたランドクルーザーを見れば、デザイン部門は間違っていなかったと言えるだろう。過ぎ去った時代をバラ色に染め上げた、自動車デザイン版SFホラーTVドラマ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』のようなものだ。おそらく、順番を逆さまにすると、悲惨な結果になってしまうだろう。

このランドクルーザーへのラブレターは、一見すると真っ当なレストアのように見えるのだが、実際には2,200時間もの時間をかけて、ナットやボルトを使って丹念に再生されている。もちろん、ボンネットの中では大改造が行われた。貧弱な135bhpのストレート6はなくなり、代わりに…まあ、簡単に想像してみて。もちろんそれはLSなのだが、その普遍性を忘れさせる495の理由がある。また、メカニカルな信頼性とサービス性を有しているという点では、おそらく他のどの自動車よりもランドクルーザーが秀でているだろう。そこにGM製の4速オートマチック(4L65E)を組み合わせれば、昔ながらのパワートレインでありながら現代的なパフォーマンスを発揮することができるってわけ。そして、それが何となくしっくりくるのだ。

リアブレーキをディスクに変更し、純正サスペンションをARBのオールドマンエミューのセットアップに交換することで、495bhpを不用意に発揮しても、すべてを抑制できるという望みが出てきた。また、33インチのオールテレインタイヤを装着することで、オフロードへ冒険に訪れても、目を見張るようなホイールスピンの練習にはならない。あなたがそれを望まない限りはね。また、このサスペンションは「オールドマンエミュー(Old Man Emu)」と呼ばれているもので、まさにオーストラリア産であることをお伝えしておこう。エミューだけに…。オーストラリアの波状のダートトラックはクルマをダメにすることで有名なので、それを吸収するように設計されたサスペンションは、ほぼ不死身のクルマに追加する価値があるものだろう。

このヘビーデューティーなテーマは室内にも引き継がれており、ウォッシュダウン加工されたラバーフローリングやレザーシートに加え、「消音材」や「ちゃんとしたステレオ」といった現代的な快適装備が用意されている。しかし、少なくとも我々の計算では、リアに2つのFJ40フォールドダウン・ジャンプシートを追加し、MPVに匹敵する9人の乗客を収容できるようにしたことが最も注目すべき部分になっている。

ここで重要なポイントがある。「功利主義」という言葉は、「何よりも効用を重視する」という意味で使われるが、教室やファンタジーコメディドラマ『グッド・プレイス』のエピソード以外では、あまり目にすることのない、別の定義があるんだ。ここでいう功利主義とは、どんな状況でも最も良い選択は最も多くの人に利益をもたらすものであるという理論のことだ。LS3エンジンを搭載したJ60に9人の人間を乗せることは、まさにその完璧な例なのかもしれない。コルセッティのFJ60レストアモデルは、あらゆる意味での実用主義を実現している。古いランドクルーザーにしては悪くないと思うのだ。

=海外の反応=
「レンジローバー ヴェラールがあるのに、なぜこれがあるのだろうか」
「お見事。幸運なことに、電気を流さなかった」
↑「ディーゼルとガソリンが禁止された後、すぐにガレージの王子様になるであろう巨大な9人乗りオフローダーだ」

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