45,940ポンド(700万円)
正直、メルセデスの車種の多さにイマイチついていけてない。改めて、EQAとは?
メルセデスのクロスオーバー車「GLA」を電気自動車にしたもので、メルセデスのハッチバック車「Aクラス」を背の高いオフロード仕様にしたものである。
つまり、メルセデスが製造する最も小さくて安価な電気自動車だ。EQファミリーのエントリーモデルで、現在はクロスオーバーのEQCと、バンのEKVがあり(次はより箱型のECBが登場予定)、近々、高級でテクノロジーがこれでもかって入ったEQSが登場する予定である。
「安い」って言うけど、どのくらい安いのか?
ごめん、実際のところ、安くはない。この前輪駆動のEQA 250バージョンは44,495ポンド(680万円)で、政府の割引を受けたとしても、高すぎる価格だ。AMGラインバージョンだと、45,995ポンド(720万円)となる。イギリスではこのEQA 250がベストセラーになるだろうが、注目を集めるライバルには事欠かない。そして多額の現金も必要だ。
対抗馬は?
今、600万円のオール電化クロスオーバーを求めている人は、選択肢が豊富だ。VW ID4、フォード マスタング マッハE、シュコダ エンヤック、アウディ Q4 e-tron…。などなど、数え切れないほどあり、さらに増え続けている。
今こそ、彼らが足場を固める時期だ。テスラのモデル Yが英国に導入されるのは早くても来年。その際には、最長の航続距離、最高の充電ネットワーク、そして有名ブランドの知名度が必要となるが、「EQ」にはまだそれがない。リアにはフルワイドのライトバーが装備され、エアロフェイスのホイールが装着されているが、これは特段人目を引くようなデザインではない。
セールスポイントは?
そのほかにも、フロント'グリル'(これをグリルって言っていいのかわかんないけど、デザイン的に)にはスリーポインテッドエンブレムが装着されているんだけど、パット見てメルセデスだって分かるのは至難の業。
これはGLAを電動化したものであり、それ自体は決して目を見張るようなものではない。求められた仕事を淡々とこなし、小学生の通学路にいる緑のおじさん/おばさんよりもリスクの少ないけれど、心の底から満足できるクルマだ。
66.5kWhものバッテリーを搭載しても、それは変わらない。そして、それこそがメルセデスが行ったことなのだ。大きなバッテリー砲を起動し、GLAに向けて真っ直ぐに発射した。バビューン!
EQカーの戦略は、VWのIDカーのように、より軽量でスペース効率に優れたEV専用シャシーを作る手間と費用をかけるのではなく、主に内燃機関自動車用に作られたプラットフォームを電気で走れるようにするというものだった(EQSが登場するまでは、今後もそうだろう)。メルセデスのEVマスタープランが本格的に始動するのは2025年だ。
これは、メルセデスが迅速かつ低コストでプラグインの全艦隊を稼働させることができることを意味しているのだが、避けられない欠陥もある。
例えば?
例えば、この小さなクロスオーバーは2,040kgで、そのうち480kgは足元の排気管や燃料タンクのあった空間にあるバッテリーパックだ。2トンだよ、アイタタタ…。
この小さな前輪駆動のハッチバックは、BMWのAWD V8 M5コンペティションという超大型サルーンよりも重いのだ。1970年代のアメリカのカーチェイスのようなボディロールとタイヤの鳴き声に付きまとわれたくなければ、ラウンドアバウトへの進入速度は控えめにした方がいいだろう。
また、バッテリーの置き場所にも注意が必要だ。この車は「スケートボード」のようなバッテリーレイアウトを採用できないため、バッテリーは後部座席の下に積まれている。そのため床が高くなり、後席の大人の頭上スペースは問題ないんだが、あしながおじさんだと、膝が耳のあたりにきてしまう。まるで便秘用の踏み台上に足を乗せて、便座に座っているような感覚だ。
他に不便なところは?
また、フロントトランクのような特別なEVの利点もない。ボンネットの下には、恐ろしげな配線の巣があり、187bhpのモーターが搭載されている。0-100km/hは8.9秒で、最高速度は160km/hに制限されていて、これはガソリン車のGLAと同程度だ。
コックピットはGLAそのもの。そのため、収納スペースは豊富だが、現代自動車のアイオニック 5や、BMWの古くても素晴らしいi3のようなラウンジのような広さの感覚は得られない。
とはいえ、GLAのキャビンは決して悪いものじゃない。スクリーンは非常に鮮明で、目まぐるしく変化するディスプレイやグラフィックを楽しむことができる。乗客は、冷たい金属製のタービンベントやスイッチ類のカーリックに喜びの声を上げるだろう。
小型ベンツにありがちなことだが、シートはやや狭く、小さめに感じられるものの、ドライビングポジションはしっかりしていて、Aクラスよりも高い位置に座ることができる。だから、街中では便利な乗り物だ。サイズもちょうどよく、駐車場所にも困らない。
その他、EQAの優れた点を教えて
静粛性。非常に静かなので、すぐにベンツのジュニアEVに高価な大人のマナーを感じさせてくれる。
また、かなり効率的だ。高速道路では1kWhあたり3.1マイル(5.0km)、街中では3.6マイル(5.8km)を記録した(新しい機能を使用した場合)。つまり、少なくとも夏場の実走行距離は240マイル(386km)近くになる(66.5kWhのバッテリーを満充電にして走行した場合)。
実際には、220マイル(354km)程度の航続距離である。以前、冬にEQAをテストしたところ、航続距離は(予想通り)約190マイル(306km)にまで落ち込んだ。公式発表の航続距離は263マイル(423km)である。
回生効果のレベルは、ステアリングホイールのパドルで簡単に調整できる。パドルを長押しすると、交通状況や走行中の道路状況に応じて遅延の度合いを判断するオート設定になる。
これは賢い機能だが、まだ完全に安全というわけではない。しかし、街中ではワンペダルで走行し、高速道路では超低燃費で惰性走行するという選択肢があることは、直感的で喜ばしいことだ。ICE車を改造しているとはいえ、使い勝手の良さには十分な配慮がなされている。
とても安全に配慮して作られているようだが…
しかし、電気自動車の未来に向けて、重い車がしぶとく生き残っているように感じられるEQCに比べれば、EQAはオールラウンダーとして優れている。確かに重いが、ハンドリングは比較的すっきりしているし、性能も十分で、トイレのような後部座席を除けば、小さなファミリーカーとしての役割をそれほど不便なく果たすことができる。
面倒で全部読んでないけど、要はグッドってことでいい?
現在登場している最も野心的なEVとは程遠い。それは間違いない。しかし、ドイツのプレミアム・ジャイアンツがどのようにEVに取り組んできたかを見てみよう。BMWは大胆さを追求したが、i3は大量には売れなかった。それに比べてアウディのe-tronやメルセデスのEQは、それほど過激ではない。これらは、電気自動車の転換点への道のりを優しく歩むゲートウェイカーなのだ。
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=海外の反応=
「メルセデス・ベンツが提供する、高価格なのに技術的にも三流の製品は、プラスチックの輝きに覆われ、5年後にはリサイクルされる運命にあるんだ」
↑「そうだね。4.8km/KWhでは効率が悪いので、平均的な航続距離を得るためにこれほど大きなバッテリーを搭載しなければならないのだろう。レガシーメーカーの多くがEVに中途半端な努力をしているのを見るのは、なんか悲しい」
↑「最近では、主流のICE生産モデルにも同様に小さな努力をしている企業がほとんど。現代のグローバル企業の問題点は、自分たちが提供する製品やサービスに関心がなく、消費者からどれだけお金を奪えるかということだけを考えていること」
「メルセデスは、SUVやクロスオーバーではない実用的な電気自動車をいつ作るのだろうか。性能が向上し、航続距離も伸びたものを」
「このクルマは、見た目の面ではとても貧弱だ。あの真っ白なグリルは安っぽい。もっと想像力を働かせることができたのではないだろうか?すでに何台か走っているのを見たことがあるので、何とも言えないけど(笑)」
↑「値札以外はコストを抑えてるので、見た目も安っぽい。中身はキラキラしたものがいっぱいで、楽しませてくれそうだけど」
「10年後にはスクラップになるだろう。ガソリン車のような環境になるには、それ以上の時間がかかる。自分は賢いと思っている人(でもホントはそうじゃない人)のためのEV」
「EQAには、12kWhという途方もない大きさのバッテリーバッファーが搭載されているそう。ポルシェのタイカンだけがこれに近いものを持っているが、これはこの車の極端な入出力パワーを安全に促進するためのものだ。メルセデスは、充電も加速も特に速くはないので、純粋に長寿命化のために設計が行われているとしか思えないな。この車は多くの購入者より長生きすると思うよ」
「リアライトを延長したデザインは、最初のクルマでは素晴らしいものだった…2台目ではクールで、3台目では素敵。今ではただの退屈なものになってしまった」
↑「わかる。今じゃ他のほとんどの新型車がこのデザイン要素を備えていなければならないようだが、これはデザイン的に少し怠慢だと思う。このクルマは白物家電のようなルックスで、メルセデスのディーラーの前を通っても、他のEVの競合車かなと思ってしまうほど」
↑「一般的には気にならないが、この車のメルセデスのバッジの配置は奇妙に見える」