「自由への欲求」を具現化した3.4億円のパガーニ ウアイラ Rは30台限定のサーキット専用車

これが新型パガーニ ウアイラ Rである。パガーニ社は、このサーキット専用のウアイラ Rを30台だけ製造する予定で、1台あたりの価格は260万ユーロ(+税)、日本円に換算すると3.4億円程度。一般的な自動車用語で言えば、「トップレンジモデル」と言っても過言ではない。しかし、私たちはフツーの自動車製品の話をしているわけじゃない。

改めて。これが新型パガーニ ウアイラ R、またの名を「マキシマム スーパーカー」である。「ウアイラ R は、ゾンダ R と同様に、歴代のパガーニ車の中で最も自由で、最も過激で、パフォーマンスを重視したクルマなのです」とボスのオラチオ パガーニ自身が説明している。

ゾンダ Rの名前が出てきたことで、ウアイラ Rの実力の高さがうかがえる。パガーニの伝統的なルートである、大っきくて太っといV12エンジンを搭載することで、別世界のようなサーキット専用のパフォーマンスへの道を歩み始める。「新しいエンジンは、1980年代のF1エンジンのような魅力、ロマン、サウンド、そしてシンプルさを持ちながら、現代の最新技術を取り入れたものでなければなりませんでした」とオラチオは説明する。

そのため、ハイブリッドアシストはない。また、ターボチャージャーやスーパーチャージャーも搭載されていない。6.0リッターのAMGエンジンが、新鮮な空気を吸い込み、850psの出力を発揮する。AMGのツーリングカーを手がけているHWA社とのパートナーシップにより、軽量化を重視して設計された。実際、車重はわずか198kgだが、750Nmのトルクを発揮し、9,000rpmでレッドラインに到達する。サーキット走行に特化しているにもかかわらず、パガーニ社は6,200マイル(10,000km)ごとに整備が必要で、その保証をしている。サーキットを走ることができれば、毎日でも乗ることができる。しかし、それは不可能だろう。

この巨大なV12は、ウアイラ Rの中央モノコックに構造要素として直接取り付けられており、パガーニ/HWAが開発した全く新しい6速シーケンシャル・ギアボックスも同様だ。モノコックには、「カーボチタニウム」や「カーボトリアックス」などのヒット商品が採用されており、シートも完全に組み込まれているという。パガーニ社は曲げ剛性とねじり剛性の向上に言及しているが、これはつまり、ロードカーよりも曲げやねじりに対する耐性が非常に高い(それぞれ51%と16%)ことを意味していると思う。

今の話は非常にテクニカルなことであり、実際、このクルマは最高のエアロを実現するために容赦なく磨き上げられた。しかし、オラチオはそれだけでは満足しない。彼は、60年代、70年代のレーシングプロトタイプが、速さだけでなく、ある種の美しさも備えていたことに注目していたのである。

そのため、よりクールな外観を追求した結果、チームはウアイラ Rがより優れたエアロ効果を発揮していることを「思いがけず」発見した。その結果、320km/hで約2,988Nmのダウンフォースが得られるようになった。新しいサイドエアインテーク、ルーフスクープ、ボンネットの新しいウィング形状、ホイールアーチのエアベント、そして多くの「リアエアロダイナミクス・アペディメント」などが追加されていることがわかる。

アクティブサスペンションは、アクティブショック、洗練されたエラストキネマティクス、より優れたバンプステア補正など、アクティブエアロをサポートしている。ブレーキは?絶大な力だ。技術的にはカーボンセラミックだが、平たく言えば、強大で巨大なものである(フロント410mm、リア390mm、6ピストンキャリパーを全周に配置)。

信じられないことに、ウアイラ Rの車重は乾燥状態で1,050kgしかなく、通常であればこの時点で「軽い朝食にしとかなきゃ」などのギャグを言ってしまうところだ。しかし、これがなかなかしびれるのだ。他にも、サーキット専用ということで、フルロールケージ、消火器、防炎素材など、ドライバーやパッセンジャーを守るための装備が充実している。すべてがFIA GTの安全基準を満たしているものだ。トラクションコントロール、ABS、ラジオなどのコントロールはすべてクイックリリース式のステアリングホイールにあり、それ以外はすべてセンターコンソールに配置。高解像度のディスプレイも装備されており、ウアイラ Rのインテリアは「感動を与えずにはいられない」と確信している。

パガーニ氏は、「フェラーリ P4やフォード GT40、あるいはル・マンカーのようなプロトタイプのスポーツカーは、非常に魅力的なラインを持っていて、今日の我々のクルマづくりにも大きなインスピレーションを与えています」と語っていいる。「ポルシェ 917は私のお気に入りです。ロマンティックでありながら大胆な形状で、非常に速いクルマだという印象を与えます。美しく、エレガントで、時代を超越しています」

「この自由への欲求と、ゾンダ Rや過去のクルマづくりの経験から、新鮮な空気を胸いっぱいに吸い込むのような感覚がする、ウアイラ Rのアイデアが生まれたのです」と述べている。
https://www.sky-g.org/pagani/

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