007ジェームズ・ボンドも使いたくなる、ベントレーローテーションディスプレイ

え?なんでジェームズ・ボンド?と思った人もいるはず。ボンドカーの象徴は、今でこそアストンマーティンだが、原作では、ベントレーに乗っていたのだ。そんな、ボンドカーのガジェットみたいな気分にさせてくれる、ローテーションディスプレイの解説だ。
ベントレーのコンチネンタルGTにはじめて乗ったときに、驚いたのが、ローテーションディスプレイだ。三角柱の形をしたディスプレイが、ゆっくりとローテーションし、違った顔を見せてくれる。一番下に動画があるので、そちらで見てもらった方がわかりやすいと思う。もちろん、新型フライングスパーにも搭載されている、このベントレーローテーションディスプレイについて、紐解いていこう。
ベントレーモーターズには、W.O. ベントレーが1919年に創業して以来、他の追随を許さないクラフツマンシップの哲学がある。この哲学を現代的に、技術的に解釈したものが、このローテーションディスプレイなのである。ベントレーは、150以上の部品と公差が0.5mm以下の3面ディスプレイが、どのようにしてコンセプトから現実のものになったのかを公開している。
発売以来、ベントレーローテーションディスプレイはベントレーの中で最も広く受け入れられているオプションの一つであり、約70%の顧客がこの革新的なシステムをオーダーしている。
この機能を実現するために、デザイナーとエンジニアのチームは、職人技と最先端の技術をボタンひとつで融合させることに注力した。チームは、原作ではベントレーのドライバーであったジェームズ・ボンド(!)でさえも満足するであろう方法で12.3インチのインフォテインメント・タッチスクリーン、3つのアナログメーター(外気温度、コンパス、クロノメーター)、マッチしたウッドの化粧板のいずれかをお客様が選択可能なユニークなセンターピースを作成した。
ベントレーローテーションディスプレイ(BRD)は、最初のコンセプトから開発に3年以上を要し、最高の品質基準が一貫して達成されていることを確認するために広範なテストが行われた。
この特徴は、革新的なメカニズムで3面回転ディスプレイを形成する153個の部品から構成されている。特許出願中の機能により、各面のアライメントを±0.3mmの公差で作動させることができる。
BRDの改善とエンジニアリングを担当したベントレーのインテリア・テクニカル・マネージャーであるデイブ・ルックはこうコメントしている。
「この機能は将来的には話題になるだけでなく、50年後のペブルビーチやヴィラデステで顧客やコレクターが誇らしげに車を展示した時にも時代を超越した装備となるでしょう」
このレベルの精度を実現するために、特注のベントレーメカニズムは、専用の電子制御ユニット(ECU)で制御される高精度モーターに取り付けられたカスタムされた回転するリニアなギアボックス駆動ユニットを含む、40個の可動部品で構成されている。
非常にタイトなクリアランス(各側面0.5mm以下)を維持しながら回転させるためには、3つの別々でありながらリンクした動きが要求される。最初の動作では、ユニットをダッシュボード内に格納することで、ユニットがモーターで前方に移動して所定の位置に戻る前に、第2段階である回転のためのクリアランスを確保する。
公差を維持するために、ドライブシステムは自己学習方式を採用している。制御ECUは、すべての展開位置でメカニズムの物理的な範囲を学習するだけでなく、インテリジェンススピードコントロールを使用してモーターの速度を変化させ、機械的な摩擦の違いやバッテリー電圧の影響との調整をしている。
メカニズムの中には独立したファンが一対あり、メインタッチスクリーンの画面をあらゆる環境下で周囲温度50°C以下に保つ。ECUは、回転数や位置の微調整を常に管理することで、車両走行時の気候に関係なく、一定の品質性能を確保することができる。
法的要件として、リバースギアが選択されてから2秒以内にリバースカメラの画像を表示する必要がある。これはエンジニアリングチームにとって最大の課題の一つで、必要な時間内にインフォテインメント画面に画像を表示するために、ギアボックスからBRDメカニズムへの通信信号の大幅な改善をする必要があった。
メインのインフォテインメントディスプレイは12.3インチの高解像度タッチスクリーンで、現代のスマホをイメージしたユーザーインターフェースを採用している。メニューは瞬時に直感的に操作できるように構成されている。システムは、ドライバーの好みの機能(ナビゲーション、メディア、電話など)を表示できる3つのウィンドウを含む設定可能なホーム画面を特徴としている。メニューは、内蔵の近接センサーを使用して、ユーザーが画面に近づくと自動的にポップアップする。
また、BRDは、シングルまたはデュアルフィニッシュの8種類のウッドから好みのものを選ぶことができ、パーソナライズできるように設計されている。ウッドパネルは、12.3インチのタッチスクリーンに代わる、クラシカルでエレガントなデザイン。宝石のように美しい冠飾のあるアナログ計器、もしくはフェイシアを挟んで木目の流れが途切れることのない手作業で作られたウッドパネルそのものを披露している。
ボンドな気分を楽しめそうなローテーションディスプレイ、一度試してみる価値はある。

トラックバックURL: https://topgear.tokyo/2020/06/22968/trackback

コメントを残す

名前およびメールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

ピックアップ

トップギア・ジャパン 063

アーカイブ