テスラ モデル 3がマクラーレン F1に牙を剥く

テスラはストレートで速い、いわば直線番長のイメージが強い。実際テスラは、直線のパフォーマンスに重点を置いており、0-96km/hまでなら、問題なく3秒で到達する。いまYouTubeの深い場所でやっかいなことになっている重量級のクルマ(サイバートラック)のことは、ひとまずおいておこう。
モデル 3のコーナーでのパフォーマンスは、どうだろうか。非公式ではあるが、実質的なテスラ版AMGという存在のアンプラグド パフォーマンス社によってチューンアップされた「モデル 3 アセンション R」が、2020年が明けたばかりの筑波サーキットで1’04.7を記録した。これはマクラーレン F1(1’04.6)とポルシェ 997 GT3(1’04.8)の間に位置するタイムとなる。ここで、聞いたことのない人のために、アンプラグド パフォーマンスについて、ちょっと解説をしておこう。2013年に起業したテスラ専門のチューニングを行う会社で、もともとはロサンゼルスのビュレットプルーフ オートモーティブ社の一部門だったという経緯を持っている。アンプラグド パフォーマンスは、テスラのデザインセンターの隣にあり、スーパーチャージャーステーションへは歩いていける距離だという。ちなみに、今回のモデル 3アセンション Rの「アセンション」とは、上昇やキリストの昇天などの意味があり、ジャズのジョン コルトレーンが1965年に発売したアルバムタイトルとしても知られている。そのネーミングの通り、まさに、昇天もののパフォーマンスを見せてくれた。
そのうちこのモデル 3が、プライスレスなF1よりも速くなるということは疑う余地もない。あらゆる優秀な装備が現代のクルマ、特にテスラなどのように先進的なモデルには備わっている。そういった装備によってかなりの部分で死亡や大事故の危険性が減り、ストップウォッチのプレッシャーを受けながらでも、曲がりくねったサーキットでもスピードを出すことができるのだ。コイルオーバーサスペンション、カーボンセラミックブレーキ、ハーネスベルト付きのレースシートを備えたアセッションRは、まさにその象徴だ。
一方、アンプラグドでは、モデル 3はさらに速くなることができるし、そして最低でもあの騒がしいV12エンジンのハイパーカーを倒すことができるようになると熱弁している。アセッション Rがテストした時の気温はマクラーレンの時の半分で、しかも走行回数でアセッション Rが明らかに少ない一方、F1の方はあの偉大な「ベストモータリング」(昔、F1を他の5台とウェット路面でレースさせたという、勇ましくてイカれた番組)で、サーキットを終日貸切って走り回っていたのだ。
「筑波サーキットでのテストは、アンプラグド社のモデル 3 アセッション Rが、あらゆる場面ですべての世代のワールドクラスのスーパーカーと同レベルのパフォーマンスを出せるようにする、というコンセプトを証明するためのものでした」アンプラグド社のベン シェイファー社長はこう話す。「将来的に、日常使いのスペックのクルマをオートパイロットでレース場まで運転し、スーパーカーと競争し、自走して家まで帰るということが、とても簡単にできるようになるんです。今後のアンプラグド パフォーマンス仕様のチューンアップは、このアップグレードカーをベースに作り、さらにダウンフォースとグリップ性能を強化していくつもりです」
よりワイルドで速いモデル 3は、歩み始めたばかりだ。果たしてアンプラグドのチューニングカーは、真のライバルであるRS4やM3、C63の対抗馬として、テスラのディーラーで公式に発売されるようになるのだろうか。聞くところによると、今年の東京オートサロンのテスラブースにはテスラジャパンの社員も訪れていたようなので、少なくとも両社の線引きはあいまいになってきているということだろう。もし最近のニュルブルクリンクでの非公式のタイムアタックを上回る成功を求め、ラップレコードへの挑戦をテスラが始めようとしているのならば、プロドライバーチームは、この後もテストドライブを続けなければならないだろう。

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