巨大企業トヨタが欧州に放つ「トヨタ C-HR+」は、我々が知る既存のC-HRとは部品ひとつ共有していない完全なる新型EVだ。内装のチープさや後席の閉塞感といったいつものトヨタ的妥協は健在だが、605kmの航続距離と煩わしいADAS警告をワンタップで消せる秀逸なUIは、ライバル勢にとって大きな脅威となる。初期のEVでの失態から学び、手厚いバッテリー保証で手堅く市場を狙う一台だ。
価格: 34,430ポンド(745万円)〜 41,835ポンド(905万円)
リース: 月額287ポンド(6万円)〜
「ハイブリッドのC-HRとは完全に別物だが、果たす役割は同じだ。単に電気自動車になったというだけである」
いいね!
なかなか面白いルックス、実用的なパフォーマンス、優れたサスペンション制御、手厚い保証
イマイチ
チープで退屈なキャビン素材、一部のライバルと比べると窮屈、最高充電速度はもっと速くできるはず
概要
このクルマ、何?
クーペクロスオーバーの電気自動車だ。トヨタ C-HR+は、我々が知るこれまでのトヨタ C-HRとは全くの別物である。C-HRと共有するパーツはごくわずかで、完全に独立したEVなのだ。その中身はむしろ、bZ4Xの親戚と言った方が正しい。
どちらも役割は同じだ。クーペ風のクロスオーバースタイルで、ちょっとした運転の楽しさを味わいながら家族を移動させること。ただ、一方がハイブリッドで、もう一方が電気自動車というだけだ。
アウディは「A6」という名前で、ガソリン車と電気自動車という全く異なる2つの車を販売している(電気自動車の方には小さなe-tronという接尾辞がついているが)。フォルクスワーゲンも間もなく2つの「ポロ」を販売する予定だ。そのうちの1つは「ID」の名を冠することになる。そしてトヨタは2つの「C-HR」を販売している。こちらは「+(プラス)」が付いている。
長年、巨大企業トヨタはEVに無関心であるかのように見えたし、正直なところ、今でもそう見える。これまでに発表したEVはごくわずかで、最新のハイラックス ピックアップの電動バージョンや、(率直に言ってひどい出来の)アーバンクルーザーなどだ。これは要するに、スズキ e-ビターラに変装用の口ヒゲとサングラスを付けただけのものである。
しかし、この日本の自動車メーカーもようやく遅れを取り戻しつつあるようだ。bZ4Xはヨーロッパで最も人気のある同種モデルの1つとなり、現在ではスバル E-アウトバックと密接に関連するエステートバージョンも派生している。
了解。では、トヨタファミリー以外のライバルはどうなのか?
中型のファストバック クロスオーバーを思い浮かべてほしい。フォード カプリ、クプラ タバスカン、プジョー E-3008、シュコダ エンヤック クーペ、日産 リーフ、BMW iX2、そして長安汽車 ディーパル S07などだ。これらのほとんどが、いずれかのバージョンのC-HR+に近いバッテリーとモーターのスペックを備えている。
で、そのバージョンとは?
まずは54kWhのバッテリーを搭載した167psバージョンからだ。その上に、より大きな72kWhのバッテリーを積んだ224psのバージョンがある。どちらも前輪駆動(FWD)だ。なお、トヨタはバッテリーの「総電力量」を発表しているが、ここでは実際に100%から0%の間に使用可能な「実効容量」を記載している。
WLTPモードでの航続距離は、小容量バッテリーが457km、大容量バッテリーがより実用的な605kmだ。あなたの膀胱が限界を迎える方が、バッテリーが空になるよりずっと早いだろう。
世界の他の地域では、348psで航続距離545kmを誇るツインモーター/全輪駆動(AWD)モデルも存在するが、英国には導入されない。だが、惜しくはない。ここで優先すべきは直線での速さではなく、航続距離なのだから。
スタイル重視のクーペなのか、それともファミリーバスか?
トヨタは、その両方だと信じ込ませたいようだ。C-HR+は、サメのようなフロントマスク、後方に向かって絞り込まれたサイドガラス、そして隠されたリアドアハンドルで勝負に出ている。
もちろん、クロスオーバーEVで完全にスタイル特化と言い切れる車など存在しないが、このC-HRは、一人乗りのドライバーを遠ざけるような野暮ったいデザインをうまく回避している。同時に、子どもを学校へ送る時、角を曲がった見えない場所で降ろしてくれとせがまれることもないだろう。
キャビンでは、ドライバー用のスクリーンとメインディスプレイが、まるでマントルピース(暖炉の上の飾り棚)に置かれた写真立てのようにダッシュボードの上に鎮座している。その点では十分に興味深いが、トヨタにはそこから先、内装の素材にこだわるという熱意が欠けていたようだ。
後部座席の乗員の多くは十分な頭上空間を確保でき、全長からすれば足元空間もまずまずだ。とはいえ、ガラスルーフをオプションで選ばない限り、後部の窓ガラス面積は少なく、かなり閉塞感がある。トランク容量はわずか416リッターで、家族旅行には手狭である。詳細は「インテリア」のセクションを参照してほしい。
クーペらしく走れる?
これまでのところ、我々が試乗できたのは、より強力なモーターを積んだパワフルなバージョンのみだ。0-100km/h加速7.3秒というタイムは、シートに身体を押し付けられるような猛烈な速さではないが、停止状態や低速コーナーからの立ち上がりでは十分に軽快だ。そしてそれ以降も、高速道路の追い越し車線へと滑り込んでいく際、パワー不足を感じることはほとんどない。
ステアリングは軽いが、かなり正確で反応が速い。かなり機敏な車であり、路面がうねっていてもダンパーの効きが見事に良い。ドライバーが積極的に操るような没入感を期待してはいけないが、スピーディーな移動を何の不満もなくこなしてくれる。
スプリングが比較的硬めなため、市街地での速度域では乗り心地が少しタイトに感じられるかもしれない。しかし、サスペンションとタイヤが静かなので、それほど気にならないはずだ。
価格は?
C-HR+は現在、英国の1,500ポンド(30万円)の電気自動車補助金の対象となっており、発売時よりも安くなっている。ベースとなるモーターとバッテリーの組み合わせは32,995ポンド(715万円)から。
そして、72kWhのセルを積んだ224psバージョンは36,150ポンド(780万円)だ。航続距離が延びるだけでも、この追加投資の価値はある。詳細は「購入」のタブを参照してほしい。
結論は?
「トヨタの初期のEVが犯した過ちを正し、独自の魅力も加えている」
バッテリー容量と航続距離を確認する限り、C-HR+は有能ではあるが、際立って優れたEVというわけではない。しかし、トヨタはbZ4Xの初期モデルから学び、効率性、航続距離の予測精度、そして冬場の充電速度を改善してきた。これにより、すべての電力を有効に活用できるはずだ。
付き合いやすい車であり、手厚いバッテリー保証のおかげで安心感も高まるだろう。
内装の素材がチープだとはいえ、なかなかスタイリッシュで、走りもかなり良い。トヨタの初期のEVが犯した過ちを正し、独自の魅力も加えているのだ。それは、ライバルひしめく海を生き残るのに十分な理由となるだろう。



