メルセデスAMG SL 43が初代300 SLから70周年目に2+2で生まれ変わる


新型メルセデスAMG SL 43が発表され、代表取締役社長兼CEOの上野金太郎氏によるプレゼンテーションが行われた。2.0リッター直列4気筒ターボで、価格は1,648万円。左右どちらもステアリング設定がある。

1952年に初代300 SL(W194) がデビューして今年で70周年目を迎える。この新型モデルメルセデス AMG SL はメルセデス AMGによる完全自社開発モデルとして、ゼロから生まれ変わっている。1967年に創業した AMG はその歴史の中で、メルセデス・ベンツをベースにしたマシンでレースに参戦するほか、メルセデス・ベンツのトップパフォーマンスモデルを今まで数多く製造してきた。創業55周年の AMG が生誕70周年の SL を自社開発の専用モデルとして作ったクルマ、それがこの新型メルセデスAMG SLだ。最大の特徴は2+2シート。これまで2シーターのオープンカーとして歴史を歩んできた SLのR 129以来となる2+2シートの復活だ。必要な時には3名4名が乗車可能で、通常はちょっとした荷物の置き場として使える。またルーフにはソフトトップを採用して先代までのハードトップの静粛性を確保しながら最大限の軽量化を図っている。そしてF1で培ってきた技術を採用しどの回転域でも気持ちの良い自然吸気エンジンのレスポンスを実現することでしSL らしい軽快で俊敏なドライビングを楽しめるパワートレインだ。

SL 43 は、直列 4 気筒エンジンとして初めて「One man, One engine」の主義に従い熟練のマイスターが手作業で丹念に組み上げる「M139」を搭載している。SL 43は最高出力 381PS(280kW)、最大トルク 480Nm を発生。この M139 には量産車としては世界初となるエレクトリック・エグゾーストガス・ターボチャージャーを採用。このターボチャージャーはF1由来の技術で、メルセデスAMGペトロナス F1 チームがモータースポーツの最高峰である F1 において長年採用して実績を上げているシステムを直接のベースとするものだ。

エレクトリック・エグゾーストガス・ターボチャージャーの電気モーターは厚さ 約4cmで排気側のタービンホイールと吸気側のコンプレッサーホイールの間のターボチャージャーの軸に直接一体化されている。このモーターが電子制御でターボチャージャーの軸を直接駆動し、コンプレッサーホイールを加速する。

この加速は、コンプレッサーホイールが通常のターボチャージャーと同じく、排気の流れによって駆動されるようになるまで行われる。これにより、アイドリングスピードから全エンジン回転域にわたって、レスポンスの速さが大きく改善される。アクセル操作に対するエンジンのレスポンスがいっそう自然なものとなるほか、ダイナミックな走りが楽しめるようになる。これに加え、ターボチャージャーの電動化は低回転域のトルクを高める効果をもたらし、アジリティや発進加速性能の向上につながる。アクセルから足を離したり、ブレーキを 踏んだりした場合でも、エレクトリック・エグゾーストガス・ターボチャージャーは 常にブースト圧を維持することができるため、速やかなレスポンスが途切れることなく得られる。

このターボチャージャーは車載の48V電気システムを電源とし、最大170,000rpmまで動作することで、きわめて高い空気流量を可能とする。ターボチャージャーと電気モーター、それにパワーエレクトロニクスは、エンジンの冷却システムに 接続されており、これによって常に最適な温度管理をする。

SL 43に採用されているBSGは第2世代のもので、48V電気システムの中ではマイルドハイブリッドとしても機能し、短時間の出力ブーストのほか、セーリングモードや回生ブレーキにより効率を最大限に高める。同時にまた48Vテクノロジーは、スタートストップ機能とセーリングモードの間の切り替えがほぼ感じられないほど滑らかに行われることから、快適性の改善にも役立つ。

SL 43 のトランスミッションには、従来63 モデルにのみ搭載されていた「AMG スピードシフト MCT」(9 速オートマティックトランスミッション)を採用している。トルクコンバーターの代わりに湿式多板クラッチを搭載し、ダイレクト感のある素早いシフトチェンジと高い伝達効率を実現している。トルクコンバーターに見られる損失を低減し、軽量化も相まってレスポンス向上に貢献している。シフトダウン時の自動ブリッピング機能やレーススタート機能によってダイナミックな走りも愉しめる。さらに、高速走行時などにアクセルから足を離すとエンジンとトランスミッションを切り離して燃料消費を抑えるセーリング機能の採用によって燃費を優先する「Comfort」、よりスポーティなドライビングが愉しめる「Sport」「Sport+」「RACE」、滑りやすい路面を安全に走行する「Slippery」、様々なパラメーターを個別に設定できる「Individual」の 6 つのモードを設定した。また、シフトダウン時に一速飛ばしたギアを選択したり、自動ダブルクラッチ機能など効率良くシフトチェンジを行う。 走行性能は、0-100km/h 加速 4.9 秒、最高速度 275km/h と、高いレベルを実現している。

ロードスターで特に難しいのは、ソフトトップの開閉状態にかかわらず空力バランスを均等に保つこと。クルマとしての性格やドライビング特性は常に不変でなければならない。加えて、サイドウインドウを下げたり、ウインドディフレクターを使用したりして条件が変わってもノイズレベルが大きく変わらないことが求められる。エアロダイナミクスを改善する技術的に重要な装備として、アクティブエアコントロールシステム「エアパネル」が挙げられる。上部エアインテーク奥に電子制御式の水平ルーバーを備えており、これをアクチュエーターモーターの働きで開閉することにで、気流を導くことにより空力性能を高める。 これらのルーバーは、高速走行中も含めて通常は全て閉じており、空気抵抗を 低減する。あらかじめ決められたコンポーネントが一定の温度に達し、特に大量の冷却気が必要となった時にのみルーバーを開き、各種熱交換器へ流れる空気の量を最大限に高める。これにはきわめて高度かつ高速な制御が要求される。

もう 1 つ、能動的に機能する空力コンポーネントとして、SL のシルエットにシームレスに一体化されたリトラクタブルリアスポイラーがある。これは、走行状態によって角度を変えるものだが、その場合、制御ソフトウェアは、車速や前後方向および 横方向の加速度、操舵速度など数多くの項目を考慮に入れてスポイラーの位置を決定する。スポイラーのポジションは 5 段階に設定されており、車速 80km/h 以上で展開し、操縦安定性を最適化したり、空気抵抗を低減したりする。積極的なドライビングを検知した場合は、最大角度のポジションへ移行し、ダイナミックかつ安全な走行を バックアップする。

後半では、シンガーソングライターのiriさんも登場し、タイアップ曲を披露した。iriさんは、今回のコラボレーションによって、これまで憧れと遠い存在だったメルセデスに親しみを感じたと言う。iriさんと同世代の人にも、メルセデスを身近に感じてもらいたい、と添えた。

SLの歴史を継承しながら、新しいテイストを取り入れて登場したSL 43。常に興奮を感じさせてくれるところは、さすがの正常進化だ。



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