「セダン、ステーションワゴン、SUVどれにするか迷う」次の新車のタイプを迷ってる、そんな貴殿にシトロエン C5 Xはいかがだろうか?だって、C5 Xは、セダンのもつエレガンスさとステーションワゴンの実用性、そしてSUVの力強さを組み合わせた独創的なデザインで、ラージセグメントに登場したモデルだから。180 PS/250Nm、1.6LガソリンエンジンのC5 X SHINE(4,840,000円/受注生産)、C5 X SHINE PACK(5,300,000円)、225PS/360Nm、1.6Lガソリンエンジン+モーターのC5 X PLUG-IN HYBRID(6,360,000円)の3種類だ。
ポンタス ヘグストロム代表取締役社長 兼CEO、トマ ビルコマーケティング部ダイレクターによるプレゼンテーション、そして柳沢知恵 カラーマテリアルプロジェクトマネジャーによるトークショーなどで構成された、新型シトロエン C5 Xの発表会が行われた。
2016年のパリモーターショーに出品した CXPERIENCE CONCEPT をベースに、2021年4月に初公開して以来、日本においてもティザーサイトには記録的なアクセス数が寄せられており、マーケットからの高い関心度が伺えるとのこと。
フロントフェイスは C4 に通じる V 字シェイプのライティングシグニチャーが特徴で、ブランドとしてデザインの統一性を図った。ボトムのクローム処理によって風格のある佇まいとなっている。
ボンネットとボディサイドに刻まれたキャラクターライン、そして大径ホイールとブラックホイールアーチがダイナミックな印象を与え、ルーフに沿って流れるクロームラインがアクセントとなっている。大型のスポイラーを上下に備えたテールゲートに加え、サイドにまで大胆に回り込むコンビネーションランプがリアビューを印象づけている。
ボディサイズは、全長4,805mm、全幅1,865mm、全高 1,490mmという、Dセグメントの中心に位置するゆとりあるサイズとなっている。ホイールベースは2,785mmで、低重心でスタイリッシュなロングボディと流麗なフォルムは、大人5人が快適に過ごせる。
広いガラスエリアに囲まれた明るいキャビンは、水平基調にデザインしたダッシュボードと、フロントドアまで回り込ませたウッド調のデコラティブパネルがゆとりある空間を演出している。さらに室内に開放感をもたらすためにリアクォーターにもウィンドウを設け、360度のガラスエリアを実現した。
静粛性にも配慮し、複層構造のラミネーテッドガラスを採用し(SHINE PACKに標準装備)、外部からのノイズを最小限に抑える。さらにSHINE PACKには、サンシェード付きのスライディングガラスサンルーフを装備し、開閉式で外気を取り入れることも可能となっている。
すべてのシートに快適な座り心地をもたらす、シトロエン独自のアドバンストコンフォートシートを採用。ベースに低反発効果のある高密度ウレタンを使用し、表層部に15mmの厚さでやわらかなスポンジを挟む手法を用いている。高密度で厚みのある構造が生み出す姿勢保持性とコンフォート性能は、長時間の移動でもリラックスでき、リビングルームでくつろいでいるかのような快適な座り心地を実現している。また2,785mmのロングホイールベースにより、後席のニースペースを先代の C5セダンから66mm拡大させるなど、リアシートの快適性も飛躍的に向上している。
C4よりもさらに大きくワイドな高精細の12インチタッチスクリーンをダッシュボード中央の上部に備え、スマートフォンなどのように指先のスクロールやスワイプなど直感的な操作を可能にした。複数の情報を同時に表示させるウィジェットも可能な、より使いやすいシステムへと進化している。
コネクテッドナビゲーションシステムを標準装備し、リアルタイム交通情報を活用したルート検索および案内が可能だ。さらに音声認識システムを搭載し、呼びかけることでシステムを起動させることが可能だ。さらに目的地、エアコンの温度設定、ラジオ局の選択、ハンズフリー通話、天気予報など、さまざまな機能を音声で作動・変更・停止することができる。また、ミラースクリーン機能により、Apple CarPlay/ Android Auto ともシームレスにつなぐことが可能だ。
運転に必要な情報をフロントウィンドウに投影するエクステンデット ヘッドアップディスプレイを初めて採用した。車速やナビゲーションのルート、認識した標識(制限速度など)、ドライバーアシスト機能の作動などを、約4.5m先の路面上に浮かびあがるかのようにバーチャル感覚で表示する。ドライバーは前方視界から目を逸らさずに情報を読み取ることが可能だ。
やはりシトロエンの真骨頂といえば、サスペンション。“魔法の絨毯”と形容されるシトロエン独自のハイドロニューマチックサスペンションの流れをくむ最新のシステム、プログレッシブ・ハイドローリック・クッション(PHC)を全車に標準装備した。ショックアブソーバー内にセカンダリーダンパーを組みこむことで、従来のシステムでは吸収しきれなかったショックを抑制し、フラットライドを実現している。
プラグインハイブリッドモデルには、このシステムをさらに進化させ、走行モードに応じてダンパー内の油圧をコントロールするアドバンストコンフォート アクティブサスペンションを初めて採用した。4つのモードを選べるこのサスペンションシステムは、路面をまるで飛んでいるかのようなフィーリングを実現するため、走行中のダンピングを弱めるとともに、コーナリングにも対応する。速度域や路面状況に応じて柔軟なダンピング調整が可能となり、洗練された極上の乗り心地を実現している。プロダクトマネージャーの水谷昌弘氏によれば「わざわざマンホールに乗りたくなる」ほどだという。これは乗り心地が楽しみだ。
EV走行可能距離は65kmと、平均的な1日あたりの走行距離をカバーするゼロエミッションを実現するとともに、ガソリンエンジンによりバッテリー残量を気にすることなく長距離ドライブが楽しめる。トランスミッションは、エンジンおよび電動モーターの出力に対応するため、プラグインハイブリッド専用の電動対応型8速ATである e-EAT8 を搭載している。トルクコンバーターに代わる湿式多板クラッチにより、エンジンとモーターのスムーズな動力伝達で前輪を駆動する。
とくにPHEVの方では、EV走行可能距離は65kmもある。十分通勤なら電気のみで走れるという人もいるだろう。Dセグメントで大型ではあるが、ボディの空力も航続距離の長さに貢献しているとのことだった。満充電時間の目安は普通充電器(200V 3kW)で約5時間 、ウォールボックスタイプの普通充電器(200V 6kW)で約2.5時間となっている。
選択できるドライブモードは、電動モーターで走行をする「エレクトリックモード」、エンジンとモーターを活用し燃費効率を最適化する「ハイブリッドモード」、乗り心地を重視した「コンフォートモード」、高出力のダイナミックな走りを楽しむ「スポーツモード」の4つがある。プラグインハイブリッドのアドバンストコンフォート アクティブサスペンションは、ドライブモードに連動して乗り心地を調整する。また、住宅街などでEV走行をするために、エンジンによる走行で発電した電力を蓄電する「e-SAVE」機能を新たに搭載した。
さらに、自宅などでの充電時に開始時刻をあらかじめ設定しておく充電予約が可能で、夜間に充電をスタートさせたい場合などに便利な機能を備えている。乗車するタイミングに合わせて、車内が快適な温度になるようエアコンを作動させるプリコンディショニングも可能だ。いずれもコックピットのタッチスクリーン、スマートフォンアプリで簡単に設定することができる。
発表会終了後はトマ ビルコ氏、水谷 昌弘氏、上村 学プロダクトマネージャーによるラウンドテーブルが開催された。シトロエンの中で最も販売台数が多かったのはベルランゴで、年間3,000-4,000台も販売できたという。「期待はしていたものの、そこまでとは思わなかったです」と、上村氏。そんな中、C5Xはどのくらいの販売見込みなのだろうか。
「数百台が目標値です」とビルコ氏は述べた。「でも、シトロエンファンの前評判もいいですし、数千台まで行けたらいいなと思っています」
上村氏は「セダン、クロスオーバー、SUVが融合した新しいタイプのモデルを提案することで、どのくらいのお客様に関心を持っていただけるかが楽しみです」と、意欲的だった。
日本でのターゲットユーザーはどんな人なのだろうか?「高級車に乗っているユーザーや比較的年齢層が高いながらも、個性の強いクルマを求めている人などが想定されるのですが、なかなか答えるのがむずかしいです(笑)」とビルコ氏は笑う。ただし、それは当然なこと。だって、C5 Xはセダン、ステーションワゴン、SUVの要素を持った新しいタイプの一台なのだから。C5 Xが新しい市場を切り開いてくれることを望んでいる。