アバルト、アルファロメオ、フィアット、ジープブランドを擁するFCAジャパンの2021年頭記者発表がオンラインで開催された。
その中で、最も嬉しいニュースは、すでにトップギア・ジャパン039号で特集した、フィアットの次期500eの日本導入についてだ。なんと、年末の導入に向けて、準備を進めているという。日本は、欧州以外で唯一500eを販売する市場となるそうで、これは、期待されていると言っていいだろう。いまのところ、ガチライバルは、ホンダ eと、ミニ エレクトロニクスだ。最初のモデルのラ・プリマは、航続距離320km、価格は単純ポンド換算で400万円だったけれど、最終的にどこに落ち着くのか、今から楽しみである。
さて、2020年のFCAジャパンは、連結販売台数が24,185台となり、2019年実績比わずか2%減だった。新型コロナの感染拡大が続く中にあっても、2ブランドで前年を上回る販売台数を達成し、2020年も好調を維持したという驚異的なブランド力だ。
中でもジープは前年比1.7%増の13,588台となり、過去最高を更新し、アバルトは前年比2.6%増の3,032台となり、歴代2位の販売台数となった。
昨年、FCAは、8月を除き、輸入車全体の対前年比を上回って推移した。特に、第4四半期の連結販売台数は前年同期比44%増の7,369台となり、第4四半期としても、四半期としても過去最高となった。また、10月には輸入車市場でのシェアがFCAジャパン設立以来最高の10.7%に達した。この結果、通期でもFCAジャパンのシェアは9.3%となり、過去最高を記録した。
この好業績を支えたのはジープである。ラングラーの販売台数は前年比18%増で、2019年実績に884台上乗せして5,757台となり、輸入車SUV Dセグメントで、メルセデス・ベンツ GLCやボルボ XC60を押さえ、ランキング首位を盤石の態勢で維持した。また、FCAジャパンとして初の電動車として昨年10月に導入したジープ・レネゲード4xeを擁するレネゲード製品群も過去最高の販売台数となった。昨年、ジープは月販台数で6回、過去最高を更新している。
アバルトは新型コロナ感染拡大の中にあっても好調を維持し、6月と7月の二ヶ月連続で各月販台数の過去最高を塗り替えた。その後10月と12月にも各月販台数での過去最高を更新し、年間で通算4回も月販台数記録を更新した。アバルトはその残存価値の高さも評価されている。
フィアット500/500Cファミリーも、引き続き根強い人気を見せた。日本で発売を開始してから13年目となる昨年も、11年連続で年販4,000台超を達成した。他社は浮き沈みが激しい中で、この安定ぶりは、なかなか。また、フィアット500Xも、 8月に500X Sportを追加し前年比30%増と好調であった。
アルファロメオは市場動向にならう形での推移となった。とはいえ、ジュリアとステルヴィオに設定した新グレードのスプリントは好評で、10月に発売してから顧客の反応は良いという。また、導入から9年目を迎えたジュリエッタも前年を上回る販売台数を達成し、根強い人気を誇っている。
FCAジャパンの代表取締役社長 兼 CEOのポンタス・ヘグストロムは、この好業績について次のように述べている:「新型コロナウイルスという前例のない困難に直面した一年にあってもなお、FCAジャパンが成長を続けたことを誇りに思います。私たちの好調の要因は3つあります。一つ目が、供給に制約がありながらも、工場、輸送から新車整備の現場まで一致協力して、製品を提供し続けたこと。二つ目がデジタルに軸足を置いたマーケティングで、スキップローンなど魅力的な施策とともに製品を訴求し、新規客をうまく取り込めたこと。そして最後が新CIによる改装を施した販売ネットワークです。ディーラーの皆様はコロナ渦でも投資をやめることなく、お客様のブランド体験向上の取り組みを続けてくださいました。つまり、2020年の好業績は私たちが従来から続けてきた様々な努力の結果なのです。第4四半期の前年比44%増という勢いが今年のスタートダッシュに繋がることを期待しています」