ホンダが英国に導入した新型EV「スーパーN」は、疑似マニュアルとフェイクサウンドを備えて18,995ポンド(410万円)だ。結構なことだが、同じ金額で本物の殺意を宿した歴代ホンダ シビック タイプRが手に入る事実を無視すべきではない。ポルシェを脅かす最新型から、底値で手に入るかつてのニュル最速モデルまで、フロント駆動の限界に挑んだ狂気のホットハッチ市場を案内する。
ホンダは、新型スーパーNによって、長らく待ち望まれていた軽自動車の魔法を英国の地に持ち込んだ(スーパーNは日本市場のN-ONEをベースに欧州向けに仕立てられたEV。疑似マニュアルやエンジン音のギミックを備えている)。そしてこれがまた素晴らしい。幅が狭いため機敏に動き回り、テールパイプから排出ガスを一切出さず、渋滞を陽気にかわしていく。我々のような人間にとって最も注目すべきは、マニュアルシフトの感覚や疑似タイプRのエンジン音といったボーナス機能だろう。これらのおかげで、18,995ポンド(410万円)という価格設定が格安にすら思えてくる。
いや、本当にそうだろうか? 同じ金額を出せば、状態の良い本物のタイプRが手に入るのだ。そのほんの一部の金額でも、少し古くてみすぼらしくなるが、楽しさでは引けを取らないモデルが買える。我々が話題にしているのは、ホンダ シビック タイプRというホットハッチだ。6世代にわたって我々と共にあり、史上最も落ち着きがあり有能な前輪駆動パフォーマンスカーであると自負しつつ、つい最近英国のショールームから姿を消したあの車である。
本当に?
そうだ。FL5世代のシビック タイプRは2023年に、ポルシェ ケイマンを脅かすほどの巨大な50,000ポンド(1085万円)という定価で発売されたが、先代のダイナミクスを丁寧に磨き上げた進化のおかげで、即座に大成功を収めた。元々素晴らしかった車が、えーと、より素晴らしくなり、見た目の厳つさもかなり和らいだのだ。購入希望者が手付金を払おうと列をなす一方で、ディーラーに割り当てられた枠はごくわずかだった。現在でも、平均的な走行距離(しかもまだ保証期間内!)の個体を手に入れるには45,000ポンド(975万円)を下らない。希少鉱物のようなリセールバリューを持つ未来永劫のクラシックカーだと断言するつもりはないが、短期的には安全な投資先と言えるだろう。しかも、運転すれば魅了される車なのだ。
もっと安く買いたいんだが…
その気持ち、よく分かる。先代のFK8も、走りの素晴らしさでは引けを取らない。もし、硬派で集中力のある乗り味と、転がりの洗練性に対する無頓着な態度が好みなら、間違いなくこちらの方が上だ。これは本質的にFL5のより荒々しい起源であり、より軽量なパッケージで同等の324psのパフォーマンスを提供する。したがって、トン当たり232psというパワーウェイトレシオはわずかに優れており、素晴らしい6速マニュアルを操り、切れ味鋭いリミテッド スリップ デフがターボチャージャーによるすべてのトルクを巧みにターマックへ伝達する。
公道走行可能なツーリングカーのような感触で、レースの戦士のようなウイングと膨らみを備えている。当時の批判の多くはその外観に集中していたが、もしそのデザインを受け入れられるなら、これは圧倒的な車だ。もし過走行も受け入れられるなら、価格は焦らすように20,000ポンド(435万円)近くまで下がる。ただし、状態の良い個体なら30,000ポンド(650万円)以上は覚悟しておくべきだ。良い車は価値が落ちないという証拠である。

注意点は?理想的には、適切にメンテナンスされていることだ。もちろん、どの中古車にも言える当たり前のことだが、タイヤのブランドが揃っているか、クラッチがスムーズに操作できるか、試乗時にサスペンションから異音がしないかを確認しよう。ハードに走らせることを要求する車なのだ。適切に手入れされていれば大きな問題はないが、念のため隅々までチェックしてほしい。整備には細心の注意を払い、保険料が高くなったり(元に戻すのに費用がかかったり)するような、怪しげな改造は避けること。
スーパーNより安いって約束したじゃないか…
それなら、ホンダ初のターボチャージャー搭載ホットハッチ、FK2型シビック タイプRだろう。その寿命は奇妙なほど短く、2015年から17年まで販売された後、すぐにFK8が引き継ぎ、より充実した7年間の任に就いた。結果としてこの初期モデルは日陰の存在となり、おそらく若返ったタイプRブランドの、あまり好ましくない試金石と考えられているのだろう。誰もがこの車も実に素晴らしいということを忘れている。これは、いまだに最高の手応えを持つ車に20,000ポンド(435万円)以下しか払いたくない人にとっては朗報だ。
後継機と同じ2.0リッター直列4気筒VTECターボを搭載し、出力はわずかに劣る(310ps)ものの、トルクは同じ(400Nm)であるため、0-100km/h加速5.7秒、最高速度269km/hという数値が見劣りすることはない。ホンダのニュルブルクリンクへの執念が始まったのもこの車からで、2015年には7分50秒63のラップタイムを叩き出し、一時的にルノーから「ニュル最速FF車」の称号を奪い取った。1年後にはフォルクスワーゲン(と、その荘厳なゴルフ GTI クラブスポーツS)に破れたが、つい最近生産終了したFL5型シビックでさえ、このグリーンヘル(※訳注:ニュルブルクリンク・ノルトシュライフェの別称)をFK2より10秒程度速く走れるに過ぎない。古い車が3分の1の価格で買えることを考えれば悪くない。

上記と同様、この車はかなり頑丈であり、どれだけ酷使されたかを測るために、摩耗や損傷をざっとチェックするのが最善のアドバイスだ。一部の初期モデルにはヘッドガスケットの問題があり、ギアボックスの操作に違和感がある(つまり大きなダメージを受けている)個体は避けるべきである。
さらに安くいこう…
我々には選べるシビック タイプRがあと3世代残っている。この刺激的なパフォーマンスチューンが初めて施されたのは、1997年に登場したホンダの由緒あるハッチバックの第6世代、日本市場向けのEK9だった。英国で正式に販売されることはなく、代わりに我々は1999年に500台限定で生産された、鮮やかなイエローのシビック ジョーダン(F1チーム「ジョーダン グランプリ」を記念した英国限定モデル)を手に入れたが、時折JDM(※訳注:日本国内市場向けモデル)の個体が中古車市場に登場する。希少なため、上記のFK2と同じくらいの金額を支払う覚悟が必要だ。
よりお買い得なのは、ここで正式に販売された最初のシビック タイプR、「ブレッドバン(パン配達バンのような形状から)」ことEP3である。この車は英国(今は悲しいことに閉鎖されたホンダのスウィンドン工場)で製造され、00年代初頭の活気あるホットハッチ市場で、優れたハンドリングと高回転型のVTECエンジンを武器に、ルノースポール クリオ 172、シトロエン サクソ VTS、MG ZR 160といったライバルたちと互角に渡り合った。楽しい車だ。運が良ければ7,000ポンド(150万円)前後で手に入る。
しかし、最大のバーゲン品は何か?
それは、その後に登場したFN2だろう。EP3の良かった点をすべてMk8シビックの宇宙船のようなスタイリングの下に詰め込み、大きな期待を背負っていたが、このページに登場する半ダースのヒーローたちの中で、最も評価が低い。それでも走りは良く、アフターマーケットのパーツで簡単にさらに研ぎ澄ますことができ、価格は4,000ポンド(85万円)未満から。ホンダがスーパーNのリースに要求する保証金に毛が生えた程度の金額である。
中古車が気になった方へ
中古車相場をチェックする在庫車多数ガリバー
![]()
今の愛車の買取価格を調べる カーセンサーで最大30社から一括査定
![]()
新車にリースで乗る 【KINTO】
=海外の反応=
「FN2がシビック本来の実用性も備えているのは当然のことだよな。あの世代といえば、あの有名な跳ね上げ式のマジックシートと、ワンランク上の車よりも広い485リットルのトランクだからな」



