エンツォ フェラーリは墓の中で何を思うだろうか?彼の名を冠したブランドが、雷鳴のようなV12エンジンではなく、静寂のモーターで走る未来を選んだのだ。しかし、マラネッロの答えは単なる”高性能EV”ではなかった。モーターの”本物の”振動からV12を彷彿とさせるサウンドを紡ぎ出し、パドルシフトで擬似的な変速ショックさえ生み出すという。これは魂の継承か、それとも冒涜か。フェラーリ史上、最も物議を醸す一台の全貌に迫る。
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トップギアによる予想レンダリングCG: アンドレイ アヴァルヴァリイ
注意深く耳を澄ませば、エンツォ フェラーリが墓の中でV12のクランクシャフトのように回転する音が聞こえるかもしれない。なぜなら、フェラーリ初の純血電動モデルが、ほぼ生産準備完了の状態にあるからだ。
内外装のデザイン(上の非公式画像は、我々が「こうなるであろう」と予想したものだ。GTC4 ルッソに似た形状の4シーターで、おそらくよりキャブフォワードなデザインになると見ている)や、正式名称(エレットリカは今のところ単なる開発コードネームだ)が明らかになるのは、来年の前半まで待たねばならない。しかし、我々の食欲をそそるべく、フェラーリはシャシー、モーター、バッテリー、ソフトウェアに関する大量の技術的詳細を公開した。我々はそれを根こそぎ吸い上げるべく、マラネッロへと飛んだ。
まずはモーターから。各アクスルに2つずつ、合計4つのモーターが搭載される。永久磁石同期モーターで、しかもハルバッハ配列( Halbach array: 磁石の特殊な配置方法。片側の磁力を大幅に強め、もう片側をほぼゼロにすることができるため、モーターの効率と出力を向上させることができる)のローターを持つ代物だ。諸君が知るべきは、それらがF1の技術から派生したものであり、F80に搭載されているものとほぼ同一で、設計から製造まで完全に内製であるという点だ。フロントモーターは合計282馬力、リアは合計831馬力を発生し、総出力は1,000馬力を超えるどこかの地点に着地する(単純に足し算はできない。最終的な数値は未定)。トルクに至っては、フロントアクスルで3,500Nm、リアで8,000Nmという、ほとんど馬鹿げた数値を叩き出す。1,183馬力のF80が史上最もパワフルなフェラーリの称号を保持するが、0-100km/h加速2.5秒、最高速度310km/hというスペックを見れば、これが決してノロマではないことは明らかだ。
リアモーターは最高25,500rpmまで回転し、より小型のフロントモーターは30,000rpmに達し、静止状態から最高回転数まで1秒未満で到達する。フロントアクスルの「ディスコネクト」システムは、わずか0.5秒で後輪駆動のみに切り替わる。これは、派手で馬鹿げたドリフトのためではなく、高速道路走行時の効率を高めるためだ。まあ、その手のことは、強烈なリア偏重のAWDで、いつでもできるのだが。
バッテリーは122kWhという巨大なもので、航続距離は530km以上。800Vアーキテクチャのおかげで、最大350kWでの充電が可能だ。ちなみに、このバッテリーも内製であり、フェラーリによれば、世界のどの量産EVよりも高いエネルギー密度(195wh/kg)を誇るという。参考までに、リマック ネヴェーラのセルは約170wh/kgだ。
前後のコネクターにより、バッテリーは太いワイヤーを車体の前後に行き来させることなく、フロントとリアのアクスルに直接電力を供給できる。そして、バッテリーの85%はフロアパンに収納・固定・保護され、重心はプロサングエよりも80mmも低くなっている。フロアパン後部に向かって少し段差があることに気づくだろう。これは、ホイールベースを延長して俊敏性を損なうことなく、後部座席の下に追加のセルを二段重ねで搭載するためだ。バッテリーはモジュール式であり、時間をかけて交換・アップグレードできるように設計されている。これにより、クラシックな内燃エンジンモデルと同じくらい長く乗り続けることができるのだ。
シャシーとボディシェルには75%のリサイクルアルミニウムを使用し、製造過程で1台あたり6.7トンのCO2を削減する。そして、フェラーリ史上初めて、独立したリアサブフレームを採用し、「エラストマー」製のブッシュを介してシャシーに接続することで、車体後部からの不要なノイズや振動を遮断する。轟音を響かせ、脈動するV12が不完全さをかき消してくれるなら通常は問題にならないが、NVH(騒音・振動・ハーシュネス)はEVでは隠れる場所がないのだ。
サスペンションは、プロサングエやF80で既に採用されている48Vアクティブシステムの発展型で、各ホイールの垂直方向の動きを個別に制御する。また、両アクスルに四輪操舵とトルクベクタリングが備わり、これはエンジニアが史上初めて、各ホイールを3軸で独立して制御できることを意味する。それが諸君にとって何を意味するか? あらゆる走行状況において、ほぼ無限に走行特性を制御できるということだ。あるいは、もっと簡単に言えば、車両重量は2,300kgかもしれないが、フェラーリは体感重量がそれより450kg軽いと主張している。彼らがそれをどうやって測定しているのか、我々には知る由もないが。
しかし、ここからが本当にエキサイティングな部分だ。純血の電動フェラーリが、一体どんな音を奏でるのか、誰もが疑問に思ったことだろう。458スペチアーレの録音をスピーカーから強制的に大音量で流す、とかだろうか? だが、答えはノーだ。フェラーリは本物のサウンドにこだわり、リアのインバーターケーシングに高精度の加速度計を取り付け、モーターの実際の振動を拾い上げ、それをキャビン内で増幅させるのだ。内燃機関が空気を通して声を響かせるのに対し、EVは金属を通してそれを伝える。彼らはそれを、センサーがピックアップとなり、モーターのうなり音のような不要なノイズを取り除いた信号をアンプに送り返す、エレキギターに例えている。果たして、これは古臭い戯言か、それとも鳥肌が立つほどの代物か? 答えが出るのは、もう少し先になりそうだ。
そして最後に、トルク シフト エンゲージメント。フェラーリは、ヒョンデ アイオニック5 Nのように、パドルシフトギアボックスを完全に合成する道は選ばなかった。しかし、パワーとトルクのカーブに5つの「ステップ」を設けた。マニュアルモードでは、リニアで味気ない加速の壁ではなく、右のパドルを引くたびに、加速力に明確な段付きを感じることになる。そして、コーナーへのブレーキングでは、左のパドルを引いてパワーステップを下げ、回生ブレーキを強めることで、ギアを叩き込みながらエンジンブレーキを使うのと同様の感覚を得られるのだ。
ステアリングホイールにはeマネッティーノ スイッチが備わり、「レンジ」、「ツアー」、「パフォーマンス」の3つのモードを選択できる。これにより、AWDとRWDの切り替えや、利用可能なパフォーマンスの量を制御する。おなじみのマネッティーノは、「アイス」から「ESCオフ」までが用意されている。後者は、アクティブサスペンションとフロントアクスルのトルクベクタリングを除く、全てを解除する。
我々はまだ、e-フェラーリという考えに衝撃を受けているだろうか? フェラーリはしばらく前から電気に手を出してきたが、それは環境性能のためではなく、主にパフォーマンスを向上させるための道具としてだった。それは2009年のF1におけるハイブリッド時代に始まり、2013年のV12ハイブリッド、ラ フェラーリへと続いた。2019年には少々精彩を欠いたV8ハイブリッドのSF90、そして2021年にはV6ハイブリッドの296で、その技術はほぼ完成の域に達した。我々はその後、SF90の後継である849 テスタロッサも目にしているが、純血のEVへの移行は、巨大な飛躍である。そして、おそらくは憂慮すべき飛躍でもある。なぜなら、高性能EVへの現在の需要は、ゼロと皆無の間、といったところだからだ。今回の証拠を見る限り、世界で最もスリリングなカーメーカーが、真にスリリングなEVを造れることに疑いの余地はほとんどない。問題は、果たして誰かがそれを買いたいと思うかどうか、だ。
400号記念:UK400マイルロードトリップ/フェラーリ F80/フェラーリハイパーカー:トップギア・ジャパン 069
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=海外の反応=
「俺は普段使いにEVを持ってる。通勤や買い物にはとても良い。でも週末の楽しみのために、ガレージには9000回転まで回るオモチャがある。フェラーリは忘れているようだが、ほとんどの人間がフェラーリを買うのは、週末に良い道を爆走するためだ。V12やV8の最高のサウンドと共にね。プロサングエのようなクソ重いSUVや、こんなEVのためじゃない」
「ポップコーンは準備万端だ。このニュースがもっと広まった時に、真っ赤な顔をした時代遅れの連中が、集団で癇癪を起こすのを見るのが楽しみでな。正直言って、偽物のパドルシフトなんて、日和った妥協策にしか見えん。「ブルンブルン言わせればイチモツがデカくなる」と信じている、精子数の少ない連中に媚びるのはやめろ。ヘンリー フォードはT型フォードに馬の鞍を付けたか? 付けてないだろ」
「どうせ、これを強制的に買わされないと、F80の購入リストに載せてもらえない、とかだろ?」
↑「V12かミッドシップのフェラーリを買うためには、全部そうなる」
↑「F80のリストはもう決まってる。何年も前に決まってたはずだ」
「フェラーリ流のEVがどんなものになるか、待ちきれないね。きっと、何があってもクラシックなイタリアンスタイルになるに違いない。スペックは有望に聞こえるよ」
「たとえ十分に興味深い見た目に仕上がったとしても、世界はもう、こんなモンスターを必要としていない」