AIに「ポルシェを描いて」と頼むのは簡単だ。しかし自動車業界で本当に革命を起こしつつあるのは、見た目を作るAIではない。メルセデスが骨の構造から学ぶサスペンションや、シャオペンがAIにコーディングさせる自動運転ソフトなど、クルマの「中身」を設計するAIの最前線と、その知られざる課題に迫る。
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カーデザインは創造的なプロセスであるが、応用知識を伴うものでもある。そしてそれこそ、AIが得意とするところだ。
ちなみに、ここで言うデザインとは、ビジュアルデザインという非常に創造的なプロセスのことではない。生成AIの入力欄に「2028年型ポルシェ 911の写真のようなレンダリング」と打ち込むのは、実にたやすいことだ。だからこそ、コスト削減に熱心なボスたちが、今や熟練した創造的な人間をデザインスタジオから追い出しているのは、嘆かわしいことである。
私が話しているのは、エンジニアリングデザインにAIを使用することについてだ。初期の例としては、バイオミミクリー(Bio-mimicry: 生物模倣。生物の構造や機能、生態などを観察し、そこから着想を得て、新しい技術や製品開発に活かす考え方。記事の例では、動物の骨の効率的な構造を、自動車部品の設計に応用している)がある。動物の骨の形状は、何百万年にもわたって進化し、それぞれの役割を果たすために可能な限り最強かつ最軽量になっている。たとえ、従来の構造部材が持つ、ありふれた幾何学形状とは似ても似つかなくてもだ。そこでメルセデスは、動物学的な入力データでAIソフトウェアを訓練し、サスペンションアームの開発に取り組んでいる。
今日では、AIはソフトウェアの設計も行っている。シャオペン G6 (Xpeng / 小鵬汽車:中国の新興EVメーカー。特に、自動運転支援技術やソフトウェア開発の分野で高い評価を受けている)は、AIによって操作されると主張されている。創業者の何 小鵬(He Xiaopeng)氏によれば、そのソフトウェアは、交通状況に対する独自の理解を発展させるために、情報で「供給され、訓練される」という。そして、そのAIソフトウェア自体が、AIによってコーディングされている。言い換えれば、人間のエンジニアは、2段階のソフトウェアを介して、人間のドライバーから切り離されているのだ。
おお、では、どのAIモデルを使ってコードを書いているのか? 「我々独自のものだ」と返ってきた。その名は「XBrain」。待てよ。シャオペンのエンジニアが、ドライバーを支援するコードをコーディングするAIを、コーディングしたということか。人間のシャオペンエンジニアと、人間の顧客との間に、3層のソフトウェアが介在するのだ。シャオペンは、ソフトウェア設計のリーダーとして、ますますその地位を固めているように見える。中国市場のソフトウェアで後れを取ったフォルクスワーゲン グループは、かの地での将来のクルマのバックボーンとして、シャオペンのコードを使用している。
運転支援の文脈において、AIとは一体何を意味するのか? 自己学習、これに尽きる。車両レベル、そしてクラウドレベルの両方でだ。つまり理論上、クルマは時間と共により良くなっていく。
そう願いたいものだ。中国の道路ではうまく機能するのかもしれないが、私がテストしたケント州でのG6は――プロトタイプではなく、販売準備の整った英国仕様だ――ひどくぎこちない運転支援一式を備えていた。突然の、遅れた、そしてピクピクした判断を下し、道をカクカクと進もうとするのだ。確かに、いくらか自己学習をする必要がありそうだ。数ヶ月後にもう一度ドライブして、改善されたかどうか見てみよう。もしそうなら、それはクルマの買い手にとっては良いことだ。たとえ我々ロードテスターにとっては、余計な仕事が一つ増えることになるとしても。
400号記念:UK400マイルロードトリップ/フェラーリ F80/フェラーリハイパーカー:トップギア・ジャパン 069
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=海外の反応=
「AIには、それ相応の時と場所がある。コーディングに使うのは、ちょっと強化された入力補完が必要なだけならいい。だが、ロジックツリー全体やステートマシンをAIに作らせるなんて、絶対にしない。LLMは入力内容を忘れたり、誤って記憶したりする傾向があるからだ。機能安全やサイバーセキュリティに関連するコードでのAIの使用は、絶対に禁止すべきだ。リスクがデカすぎる。
AIはシミュレーションでも有用だ。3000の動作モードをシミュレートすることもできれば、300をシミュレートして残りをAIで補間することもできる。これにより、結果をより速く得られるため、貴重な時間を節約できる。つまり、問題をより速く解決できるということだ。探求的なテーマには非常に役立つが、もちろん、適切な検証が必要な場合に、結果を補間することはないだろう。
ここで言いたいのは、AIをアシスタントとして、開発のツールとして使うのはいい、ということだ。なぜなら、その出力を鵜呑みにするには、自分が何をしているか分かっている必要があるからだ。しかし、AIを製品の礎石とし、自分がその実現者、アシスタントになること、それが私が懸念することだ。AIは訓練されたデータ以上のものにはなれないし、その訓練データの質は以前より著しく悪化している。となれば、AIが自身の行動から学習し、さらに悪いパフォーマンスをする可能性はどうなる? 速くはなるだろう、確かに。だが、より悪くなるのだ」