中国EV「ヤンワン U9」の時速472kmはヤバすぎる!ブガッティ超え記録の裏にある“本当の恐怖”とは

中国BYDのEVハイパーカー「ヤンワン U9」が叩き出した時速472km/hの世界記録。しかし、英国Top Gearの記者は「速度より場所に震えた」と語る。不利なコースで名門ブガッティを上回った事実は、欧州メーカーの“終わりの始まり”を意味するのかもしれない。

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もしあなたが、中国製ハイパーカーが叩き出した時速472kmという公認記録に驚いて椅子から転げ落ち、ようやく座り直したところだというのなら、もう一度、信じられないという気持ちで床に転がる準備をしていただきたい。

先日、驚くほど没個性的な見た目のヤンワン U9がこともなげに時速472kmまで加速する映像がネットを駆け巡り、世界最速の公道走行可能なEVとして、そして市販車全体でも文句なしにトップ3に食い込む存在となった。
しかし、筆者が度肝を抜かれたのはその速度ではなく、場所であった。

ご存知の通り、自動車を時速483km(300mph)近くまで安全に走らせられる場所は、世界にそう多くはない。ドイツにあるエーラ レッシエンは誰もが知るテストトラックだが、その所有者であるフォルクスワーゲン(VW)が、中国の新興勢力に自分たちの縄張りを使わせるとは到底思えない。

リマックとの合併でVWグループの中枢からやや外れたブガッティでさえ、もはや使用を禁じられている。昨年11月、ブガッティがミストラルでオープンルーフの最高速記録に挑戦しようとした際、ドイツ北西部に位置するATP パーペンブルクというテストコースを使わざるを得なかったのはそのためだ。

他に選択肢は? イタリアの高速周回路であるナルドは常にコーナーが続き、この狂気の速度域では路面が荒すぎる。イギリスのミルブルック? 論外だ。モナコGPのコースを使うようなものである。そして、ボンネビル ソルトフラッツでは市販車はそのパワーを路面に伝えきれない。

こうして、パーペンブルクの高速オーバルコースは、最高速記録挑戦の聖地となったのである。ブガッティ ミストラルは小雨の降る中、そこで時速454kmを記録した。

筆者は幸運にもその記録挑戦に同行させてもらい、同日の午後には(タイヤ交換の後)同じ1100万ユーロ(約23億8800万円)の車を運転する機会を得た。筆者が出した最高速は時速394kmに過ぎず、アンディ ウォレス(※訳注:伝説的なレーシングドライバー)によるギネス公認走行のために解除されていたスピードリミッターにあっけなく阻まれた。

ここで一つ目の衝撃的な事実。パーペンブルクは、とにかく小さいのだ。高速テストトラックと一括りにされているが、その規模は全く異なる。確かにコースは5車線幅で、45度のバンク角は時速249kmでの(推奨)コーナリングを可能にする。ブガッティとヤンワンは、そのバンクを時速306km近い速度で駆け抜けた。

しかし、パーペンブルクのストレートは、地球の丸みの向こうに消えていくとまで言われる伝説的なエーラ レッシエンのそれと比べれば、ちっぽけなものである。あちらでは、公称「ストレート」区間は8km以上ある。対してパーペンブルクは、容赦なくタイトなコーナーのために血の気が引くほどのブレーキングを強いられるまで、せいぜい4.3kmしかストレートがない。

にもかかわらず、かのEVハイパーカーは1600馬力のブガッティより時速19kmも速い、時速472kmまで悠々と加速してみせたのだ。この速度域では、時速1kmの上乗せですら超人的な偉業である。ドライバーがアクセルを抜いた瞬間の挙動は恐ろしく不安定に見えたが。


上の映像を見れば、この中国車が滑走路を使い切ってもなお加速の途中であったことは明らかだ。あのトラックを完全に攻略し、まだ余力を残していたのである。そして、我々が知る限り、これはヤンワンにとって最初の挑戦だった。一方で、同じく中国ブランドのシャオミは、ニュルブルクリンクで86もの記録を打ち立てている(※訳注:Top Gearお得意の皮肉めいたジョーク)。

そして恐るべき事実その2。ヤンワンは間違いなく、再び記録に挑むだろうということだ。次は時速483km(300mph)。その次は、シロン スーパースポーツが持つ時速490.48kmの記録。その先は? 時速500kmか? 時速515kmか?哀れなジョン ヘネシー(※訳注:米国の高性能チューナー)は、象の心臓ほどもある巨大なターボチャージャーに顔をうずめて泣いているに違いない。

昨日の発表に驚愕した人々もいた。一方で、それがEVであり、ブランド力のないメーカーだからと、しらけていた人々もいた。私? 私は、あれほど短い距離でこれほどの速度を達成したことに、ただただ唖然とした。あの場所に立ち、世界最速級の車がストレートで全力を出し切る様を体感した者として、このU9が涼しい顔で静かに走り抜けていく姿を想像すると、眩暈がするほどだ。

より広大な場所さえあれば、名門中の名門ハイパーカーは、なすすべもなくその軍門に下ることになるだろう。

アルファ ロメオ 33 ストラダーレ/ランド ノリス✕R32 東京ナイトドライブ/R35日本取材:トップギア・ジャパン 068
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=海外の反応=
「で、中国企業が自慢(と他のメーカーに貸して金儲け)するために、エーラ レッシエンみたいなテストコースを自前で建設するのはいつなんだろうな」
「まあ、こうなることは分かってたよな。そのうちパワーなんてどうでもよくなって、価格、重量、航続距離、運転の楽しさ、ハンドリングなんかがもっと重要視されるようになるだろ」
↑「そりゃそうだが、正直、一般道じゃ1996年のロータス エリーゼ以上の性能なんて使い道がない。あれから30年近く経って、車は速く、安全で、重く、つまらなく、乗り心地も悪くなった。この流れは止まりそうにない。
エリーゼのエンジンが最高だったわけでもないのに、今じゃ皆EVに文句を言ってる。クルマ好きが愛するニッチな分野は、売れるクルマの代表じゃない。そうでなきゃポルシェはSUVなんて作らないだろ。で、そのSUVにエンジンは必要なのか?それともEVに完全移行するのが当然なのか?ロールスロイスやボルボに内燃機関は必要か?それとも、本物のエンスー向けに取っておくべきか?メーカーがEVの限界を追求するのは大いに結構。自分には興味なくても、俺たちが憧れるスーパーカーの設計者たちは興味津々だろう。彼らもまた科学に突き動かされているんだから。でなきゃ、クルマは今でもフェラーリ デイトナみたいに美しいだけの形をしてるはずだ。いつの日か、EVが馬車に対する自動車のような存在になるかもしれないしな」
「中国製で電気?興味ないね。これからも一生興味ない」
「ガソリンヘッドどもがガソリンの煙を吸い込むのをやめれば、少しは現実が見えるんじゃないのかね」
↑「ガソリンヘッドって言葉の最初の部分にヒントがあるんだよ。ほとんどのガソリンヘッドはICE(内燃機関)車が好きなんだ。あんたの頭じゃ理解できないだろうが、彼らはICE車を好む。その事実を受け入れることを学んだらどうだ?」
↑「速さを楽しむのにエンジン音が必要だなんて奴は、俺から言わせりゃただのアホ。騒音はただの無駄な副産物だ」
↑「ヴェイロンとかその後継モデルもよく分からん。技術的な偉業は認めるけど、それ以外は全く心に響かなかった。でも、当時あの醜いブガッティが自動車メディアや世間でどれだけ話題になったかは覚えてる。理由はさっぱりだったが。
思うに、記録は威信につながるんだろう。中国勢は価格競争で欧州メーカーを打ち負かせると示し、技術てんこ盛り競争でものすごい努力を重ね、統合性やHMI設計も向上させ、驚異的なペースで新製品を次々と生み出している。そして今、近い将来にはパフォーマンスでも上回る可能性が出てきたようだ」
「この記録がそれほど印象的だとは思わないね。シロン スーパースポーツは5年前に1600馬力で490km/hを達成したのに、このヤンワンは2950馬力も必要なんだろ。1400馬力近くも追加して、つまり標準のシロン1台分のパワーを上乗せして、結果はシロンSSより18km/hも遅い。
EVが同じような結果を出すのにはるかに多くのパワーが必要ってことなら、特に効率的でも印象的でもないな。それに、数億円をハイパーカーに使える富裕層が、ケーニグセグやブガッティよりヤンワン(変な名前)を選ぶとは思えない」
↑「まあ、金持ちの中国人が自分の立派な"ワン"を見せびらかすのには魅力的かもな」
↑「でもこれは数億円のハイパーカーじゃないだろ。元々の1300馬力バージョンで、最高速が「たった」の393km/hのモデルは約17万5000ポンド(3474万円)だった。この新バージョンの価格は発表されてるか知らないが、それでも数億円には到底及ばないだろう。だから、土俵が違う比較をしてるよ。数億円のハイパーカーは買えないけど、3500万円くらいならポンと出せる金持ちはたくさんいる。
最高速に関しては、こいつがまだ「燃料タンク」に余力を残しているのは明らかだろ…」
↑「ああ、たとえ3400万円だとしても、(中国以外で)その価格帯でヤンワンを欲しがる奴はいない。ほとんどの人は名前すら聞いたことがない。みんなポルシェかフェラーリに行くだろ。それに繰り返しになるが、シロン スーパースポーツより1400馬力も多く使って、5年経っても18km/hも遅いんだ。そんなに大したことじゃない」
↑「この記事の要点が、君の頭の上を音速で通り過ぎていったようだな…」
↑「いや、読んだよ。ただ、クルマとして俺を感動させなかっただけだ。俺の頭を通り過ぎただなんて、行儀の悪いことを言うな」
↑「じゃあ、この記事の要点は何だったんだ?君自身も分かってないんじゃないか」
↑「もう一度記事を読み直した方がいい。空気抵抗が速度の二乗に比例して増加することは知ってるだろ」
「ガソリンエンジンは終わった。次の世代のうちに、ほとんど姿を消すだろう。次の世代の教習生がEVで運転を学べば、大多数は慣れ親しんだEVを所有するようになる。ガソリンエンジンは、愛好家のためのモータースポーツで使われるだけになるだろうが、それでいい。日々の通勤や、国内の物資輸送、公共交通機関の動力として、内燃機関はもはや必要ないのだから」

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