書評コーナーは、日産V型6気筒エンジンの進化。日産自動車創立90周年記念で、日産VGエンジンなどを生み出した著者自らが語る日産V6エンジンの進化とは?
日本初のV型6気筒、VGエンジンや、現在日産の主力であるVQエンジンなど、数多くの名作エンジンの開発に従事した著者みずからが語る唯一無二の書籍である。
日本初のV型6気筒となるVGエンジンは、FF車への搭載も視野に入れた、軽量・コンパクトなエンジンとして開発された。その後継として、日産の社運を賭けて開発されたVQエンジンは、徹底的に出力性能、重量、コストのバランスを追求し、VQHR、VR30DDTTエンジンへと進化し続けている。本書は、日産自動車で数多くのエンジン設計に従事した著者が、自身の経験を踏まえ詳細に解説したものだ。
著者である石田宜之氏は1976年に日産に入社後、量産エンジンに携わり、L型6気筒エンジンの軽量化のほか、シルビアやガゼールなどに搭載されたCAエンジンも開発。その後、VGやRB、VQ型エンジン開発に従事。そして追浜スポーツエンジン開発室にてエンジン開発に携わる、まさにエンジン設計のエキスパートだ。
その開発者自らが開発の経緯やコンセプトだけでなく、V型6気筒と直列6気筒の比較、そしてその改良や次期型に向けての開発なども記しているので、日産のV型6気筒エンジンの変遷も把握できる点は興味深い。
なお本書は2008年刊行の同書の内容を再確認して修正を加えるとともに、最新の情報を序章として追加。著者名を筆名から本名へと改め、カバー装丁を一新して刊行する増補新訂版である。(内田俊一)
日産V型6気筒エンジンの進化 増補新訂版
著者:日産自動車 元エンジン設計部 石田宜之
発行:グランプリ出版
定価:2,640円
ISBN978-4-87687-410-1
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