440万円のATTO3を日本に導入したBYDだが、グローバルではどのような展開なのだろうか


中国のBYDが、電気自動車のATTO3の日本販売価格について発表した。2023年の1月31日から、440万円で販売する。15 都道府県に計 22 の店舗開業準備室を順次オープンし、2025 年末までに日本各地に 100 店舗以上の販売ネットワークを構築し、乗用車の販売やアフターサービスを提供していくという。

プレゼンテーションは、BYDオートジャパン株式会社 代表取締役社長の東福寺厚樹氏が行った。BYDは2003年以降、世界36カ国で乗用車事業を展開するグローバル企業だ。マカオ、香港、フィリピン、インド、オーストラリアなどのアジア太平洋地域、ブラジル、コロンビア、ウルグアイなど中南米、ノルウェー、ベルギーなどヨーロッパにも広がっている。その他にも、日本、メキシコ、UK、ドイツ、フランスなどが販売予定国に挙げられているのだ。2021年の8月には、ノルウェーで TANGというミニバン型のSUVを1500台輸出したが、年内にすべて 完売するという好調ぶりだ。2022年2月には、オーストラリアとニュージーランドで アット3の販売を開始。続いてシンガポールやタイ、インドなど 各国で販売する、いわば世界戦略モデルになっている。また中南米の地域ではコロンビアやコスタリカ、ドミニカリパブリックなどに続いて、今年の4月からはブラジルでHANの販売を開始している。11月の末には、メキシコで2023年にTANGとHANを販売するという発表もしているのだ。

2022年1月から10月までのBYDとテスラのグローバルでの電気自動車販売の台数の月ごとの台数推移の説明があった。だが、BYDで電気自動車と称しているのはBEV/PHEV/FCVが含まれている。もちろん、テスラはBEVのみ。BYDでは、累計時電気自動車販売台数は140万台となり、電気自動車販売台数は世界第一位となる。だが、バッテリーEVだけだと、2022年10月までで、テスラが約98万台に対して、BYDはまだ68.5万台ということで、完全なバッテリーEVだけの比較だと、テスラがまだ大きくリードはしている。さらに、中国国外への輸出の台数では、1月がわずか323台でだったが、10月には9,529台となり、月を追うごとに台数が伸びている。現在、海外市場においても、着実に販売台数を 伸ばし始めているというのがBYDなのだ。

出展したパリのモーターショーでは、HANG、TAN、ATTO3の主要3モデルをこれからヨーロッパ 9カ国で 販売をしていくということで発表している。ユーロNキャップで、ファイブスターを獲得しているということも注目を集めた。欧州だけではなく、2月には オーストラリアとニュージーランドで発表、受注を開始した。またタイでは初のEV工場を建設した。また、タイでは販売も11月1日から開始し、この12月までの約1か月間の間に17,000台を超える受注を取れているということで、非常にタイでも好調なスタートが切れている。

そして、日本だ。来年1月販売のアット3に加え、Eコンパクトのドルフィンは来年の半ば、そしてEセダンのシールを、来年末の販売予定になっている。ボディサイズは全長4455mm、全1875mm、全高が1615mmと、ミッドサイズのSUVだ。出力150kW、最大トルク312Nmとパワフルなモーターを搭載している。走行用のバッテリーは58.56kwhの 比較的大きな容量となっており、後続距離はWLTCモードで485kmだ。

アット3では、そのユニークなデザインに注目が集まっている。アウディのトップデザイナー、ヴォルフガング エッガー氏がデザイン部門トップに就任し、メルセデス・ベンツ出身のハインツ ケック氏はシャシーチューニングチーフエキスパートを、同じくメルセデス・ベンツ出身のミケーレ ジャウシュ パガネッティ氏がグローバル インテリアデザイン ディレクターを務めている。流線的なデザインで躍動感あふれるエクステリアは、スポーティーで精悍なフロントフェイスが特徴。また、ダイナミックでシャープなウエストラインは、BYD グループの一員であるTATEBAYASHI MOULDING 株式会社が持つ熟練の金型技術によって実現している。だが、インテリアがすごい。“フィットネスジム×音楽”をモチーフにデザインされており、トレッドミルに着想を得たセンターアームレスト、ハンドグリップを想起させるドアハンドルのほか、弦を弾くと音を奏でるドアトリムなど、ドライブが一層楽しくなるデザインが随所に散りばめられている。2回ほどアット3に試乗させてもらったが、ステアリングを握ると、元気がみなぎってきて、気分が上がる。さすが、フィットネスジムがモチーフなだけある。

BYD の EV 専用プラットフォーム「e-Platform 3.0」は、「ブレードバッテリー」と 8 つのモジュールを集約した「8in1 パワーシステムアッセンブリー」によって、安全性、デザイン性、効率性、インテリジェンスの 4 つを向上させた。「ブレードバッテリー」を採用したことにより、車両の高い安全性を実現したほか、複数のモジュールを集約したことにより、低重心かつフラットな床面で、広い車内空間とスタイリッシュなデザインを可能にしている。また、熱帯地域でも寒冷地域でもバッテリー温度を一定に保つバッテリーマネジメントシステムなどを含む「8in1 パワーシステムアッセンブリー」とヒートポンプシステムにより、エネルギーの効率的な出力を可能にしている。インテリジェンスの面では、車両の駆動や制動、ステアリング情報を緊密に統合することによって、ドライビングにおける高度な制御や支援に繋げている。

東福寺社長に、お話を伺った。
「テレビ番組で有名なトップギアさんですね?テレビはよく見てますよ。ファンです」
―ありがとうございます。嬉しいです。ヨーロッパで展開されている、TANGとHANはどのようなクルマなんでしょうか?
「TANGは、7人乗りのSUVタイプのミニバンなんです。それで一番最初に2022年の8月頃からノルウェーに輸出が始まりまして、枠としては1,500台だったんです。そしたら、すべて買い手がついて販売したというのです。非常に好スタートが切れました。それを踏まえて今回パリモーターショーで展示しました。HANは、フラッグシップ的存在で、テスラで言えばモデル Sに相当するフォードアセダンです。この2つが、中南米や他の地域でも結構今発売を開始しています。それに加えて今回のアット3が、さらにもう一歩進んだ一番新しい技術レベルのクルマになってまして、日本を含め、世界中で販売していこうということです。アット3は、HANより一回り小さい印象になります」
―日本では、TANGとHANを見る機会はなさそうですか?
「実は、今回発表する前の、2022年1月から3月まで、ディーラー向けに試乗会をサーキット借りてやってたんです。その時はTANGとHANも中国仕様の車両を持ってきまして、販売会社さんにも全部乗っていただいたんですよ。中には、絶対にフラッグシップで欲しいとという声も聞かれました。この大きさのフォードアセダンなんて、メルセデス・ベンツかBMWを買うでしょうから、と私は言ったのですが、BYDというブランドを代表する素晴らしいクルマなんで、入れるべきだとおっしゃっていただく販売会社さんも何社かいらっしゃったんですけどね。でも、今は、日本だとちょっと難しいかなという判断で、見送っています」
―日本はこれからドルフィン、シールとか、小型のモデルになりそうですね。
「日本の道路事情だったり駐車場の事情だったり、という問題があります。特に幅が立体駐車場に入るギリギリなんですよ。アット3でこれですから、TANGとかHANだと平置きじゃないと無理なんです。ですから、ヨーロッパだったらこのサイズでも問題ないのです」
―TANGもHANもBEVでしょうか?
「2種類あります。DMIという、これはデュアルモードインテリジェンスというのの略なんですけど、それはプラグインハイブリッドになっています。それとバッテリーEVと2種類選べるようになっています。HANは完全に販売台数もちょうどBEVとPHEVで半々になっていますね。ヨーロッパの方だとどうしても100%電動化みたいな厳しいところはEV中心だと思います」
―今後、北米に進出ご予定はありますか?
「北米は商用車では実はだいぶ前から出しています。スクールバス、バドワイザーのビールを運ぶ、大きなトレーラートラックなどですね。バッテリーEVで供給していまして、かなり産業用途では根付いているんですけど、乗用車に関してはまだこれから検討していくという段階だと思います」
―アフリカはいかがでしょう。
「電気がないと動かせないので、電力事情が極端にまだ悪いとなると、少し難しいかもしれませんけれども、いずれかは進出かもしれないという感じでしょうか。いずれはやはり、世界中で使っていただけるように開発していると思います」
―2回ほど試乗をさせていただきましたが、今回正式に日本仕様ということで特徴はありますか。
「オーストラリア仕様と比べた場合は、ほぼ物理的な部分は一緒です。ステアリングも右、ウィンカーも他の輸入車とは違って、右についています。表示が日本語の表記になるのと、ナビがゼンリン開発のナビにウェブベースで乗っかってくるのと、音声認識が全部日本語対応になります。私はまだ完成品を試してはいないんですが、1月に来るクルマは日本仕様ですので、そこでチェックします。音声認識も使いながら、いろんな方からのフィードバックをいただいて、どんどんよくしていくという姿勢です。完璧になってから投入というと、どうしても時間がかかっちゃいますから」
―BYDの乗用車というのは、中国では何種類あるんですか?
「今王朝シリーズと海洋シリーズという、大きく二つのシリーズがあります。王朝シリーズが、秦、唐、宋、元、TANGです。5種類あって、これにバッテリーEVとDMI、あるものとないものがあるんですけど、大体8類別ぐらいあります。海洋シリーズが、ドルフィンとシール。あとは中国国内主要モデルで、デストロイヤーと言ったと思いますが、軍艦でいうと駆逐艦という名前のクルマがあります。これは秦と同じフォードアのセダンなんですよ。ブルーバードとかスカイラインなどと同じくらいの大きさです。それがあって今は、3種類になりました。今後は、ラインナップも、おそらく4種類5種類になるのでは、と思います。それと、以前メルセデス・ベンツと一時合弁していた時に開発した、デンザっていう、アルファードみたいな大きなミニバンがありまして、それが今もう販売になっているそうです。そこにもおそらくレクサスチャンネルみたいな形で、商品を増やしていくんじゃないかなと思います。今後日本はまだ3種類ですけど、少し増えていくかもしれません。そこはお客様の反応次第かつ、我々の努力次第だと思いますけれども、徐々に少しずつラインナップ拡充していければ、より幅広くいろんなお客様にお試しいただけるんじゃないかなと思います」
―中国で電気自動車の連続9年1位という数字が出てましたけれども、中国はNIOとかLink&Coなど、新興の電気自動車の企業が多く、競争が激しいですよね。その中で1位をキープしてこられた理由は何だと思いますか。
「この間本部の方に聞きましたら、BYDに乗っている保有客が、2003年から乗車事業を始めてから、700万件です。乗り換えが、全体の10%くらいだと予測されます。他のブランドからの乗り換えのお客様が残りの20%で、残りの70%は今まで中古車や新車を買ったことのないお客様が、BYDを買いに来ているんだそうです。そのくらい、新規のお客様がどんどん増えているというのが、中国の市場の実態のようです。王朝シリーズの販売店も今800から1,000店くらいあると思います。それを、年末までに1,600店まで増やすということでした。その他に海洋シリーズの店舗も増やすそうです。今需要そのものが、どんどん中国国内で拡大している中に、ちょうどいい具合に商品をうまく導入できているというのが、勢いよく台数を伸ばしている要因の一つかなと思うんですね」
―日本ではディーラー網を確立していくということなんですけれども、中国ではオンライン販売というのはやられているんですか?
「基本はディーラー網を増やしていこうという方針なんですが、一部の車種だけオンラインをトライアルというか、パイロット的にやっているという話は聞いたことがあります。ただ今のヒョンデとかテスラのように、完全にeコマースベースでという形は施行していないみたいです」
―トップギア・ジャパンのファンの方にメッセージをお願いいたします。
「トップギアでどう評価してもらえるかはわからないですが(笑)、BYDという新しいブランドを、日本のお客様に少しでも認知していただきたく、イベントを計画していますので、ぜひトップギアのファンの皆さんも、BYDというブランドに注目していただいて、チャンスがあれば、ぜひ実車を見ていただければと思います」



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