ドライビング
道路ではどんな感触??
「天と地がひっくり返る」だとか、そういう壊滅的で終末的な要素はないから安心していいよ。けど、モデル 3のあの人工的で切り離されたような操舵感はモデル Yでも健在だ。それと、テスラ車の特徴でもあるブレーキの踏みごたえと、判断が正確な回生ブレーキ効果も衰えてない。加速は力強くてシームレスで、5秒以下で97km/hに、15秒以下では160km/hになんなく達することができるほど。
快適さは?
エアスプリングや可変式ダンパーが装備されてないんで、標準の20インチホイールでの乗り心地は、ドイツ勢が提供する成熟した品質のようだとは言えないな。サスペンションは装着されているけど、そのキャリブレーションや、クルマの挙動を落ち着かせるためのリバウンドレートの微調整にあまり時間をかけていないような気がする。あるいは、クルマそのものを、もっと静かに走らせることができないのかも。
快適さの観点で言うと、評価は合格ラインぎりぎりと言ったところかな。「テスラなら絶滅させようとしている恐竜からまだ何かを学べるんじゃないか?」っていう、みんなの期待を絶妙に裏切ってる。「恐竜を絶滅させる」=「キレイな未来を目指す」って比喩さ、賢明な君ならわかるよな。
改良されたとこって?
「走る温室」では、全面ガラス張りのルーフで増幅される風切り音が気になることも多いんだけど、この車ではよく抑えられてる。そのため、クルージング時には、温室効果ガスによる騒音が気になることがある。
ハンドリングは?
コーナリングの際に、重心が低いところにあるのが伝わってくる。けど、しびれるようなステアリングと緩いダンピングは、モデル Yに寄りかかってもいいという自信を失わせる。
とにかく走らせてみるといい。バランスの良くとれたグリップや、クロスオーバーにしては賞賛に値するレベルのコーナリングスピードを体感してみて。でも…、記憶に残るほどの体験じゃない。残念だけど、電気自動車時代のポルシェ マカンとはいかないな。んー、新しいマカンEVだったらいけるかな?
バッテリー残量を気にせずに走れる距離は?
モデル 3は、これまで僕らが試乗してきた中で、最も持久力があって、最もカタログ値が正直なEVだ。モデル Yもあれを受け継ぐべきなんだけど、実際にはモデル 3より150kg近く重いし、ちょっとセも高いし、あれほど滑らかでもない。というわけで、全体の航続距離チャンピオンは今回もモデル 3で決まりだな。
試乗できたのが今日だけだったんで、気温や天候による違いまでははっきりと分からないんだけど、フル充電でのカタログ値はマックス505km。ってことで、ハラハラせずに運転できるのは450km前後かな。