2021年FIA世界ラリー選手権(WRC)第1戦ラリー・モンテカルロの最終日デイ4が、モナコを基点に行なわれ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのセバスチャン オジエ/ジュリアン イングラシア組(ヤリスWRC 1号車)が優勝。エルフィン エバンス/スコット マーティン組(33号車)は総合2位で、カッレ ロバンペラ/ヨンネ ハルットゥネン組(69号車)は総合4位でフィニッシュし、チームは最高のシーズンスタートをきった。
ラリー・モンテカルロのデイ4は、モナコのパルクフェルメを基点に、フランス山中で2本のステージを各2回走行。その合計距離は54.48kmとなった。ラリー最終日はサービスの設定がなく、タイヤに関しても早朝ステージに向かう時に装着、搭載していたタイヤ以外は使用することができない。そのため、最終ステージにかけて路面コンディションがどのように変わっていくのかを、モナコを出発するまでに見極める必要があった。
デイ3が終了した時点で首位はオジエ、13秒差でエバンスが総合2位、56.8秒差でロバンペラが総合3位と、ヤリスWRCがトップ3を占めていた。そして、デイ4オープニングステージのSS12ではオジエがベストタイムを記録し、エバンスとの差を21秒に拡げた。続くSS13ではエバンスが2番手タイム、オジエが3番手タイムで差は19.7秒に縮まったが、SS14でオジエはベストタイムを刻み差を28.1秒に拡大。そして、ボーナスの選手権ポイントがかかる最終の「パワーステージ」で、オジエは今大会8回目のベストタイムを刻み優勝。2年ぶり、通算8回目(2009年のIRC開催大会も含む)となるラリー・モンテカルロ優勝を飾り、WRC通算50勝を達成した。
トヨタは、過去ラリー・モンテカルロで3回優勝している。そして、TOYOTA GAZOO Racing World Rally TeamとしてWRCに復帰した2017年はヤリ-マティ ラトバラが総合2位に入り、以降毎年表彰台を獲得してきたが、今回ついにヤリスWRCがウイニングマシンとなった。トヨタにとっては、1991年に初めてラリー・モンテカルロを制してから30年目となる記念すべき大会での、4回目の優勝となったのである。
オジエと最後まで勝利を争ったエバンスは、昨年の総合3位を上回る総合2位を獲得し、パワーステージでは3番手タイムを記録。表彰台争いをしていたロバンペラは、SS12でタイヤにダメージを受けて遅れをとるも、パワーステージではオジエに次ぐセカンドベストタイムを記録して、総合4位でフィニッシュ。今シーズンよりパワーステージのポイント規則が変わり、選手に対してだけでなく、マニュファクチャラーに対してもボーナスの選手権ポイントが与えられることになった。チームは1-2フィニッシュに加え、パワーステージでもトップ3を占めて最大得点を獲得したことにより、マニュファクチャラー選手権でトップに立った。チームにとっては申し分ない開幕戦となり、トミ マキネンに替わり今季からチーム代表に就任したラトバラにとっても、最高の初戦となった。
TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムにより、ヤリスWRCで出場の勝田貴元は、デイ3で総合6位へと順位を上げ、最終日はスピンを喫してタイムを失うもトリッキーなステージを全て走りきり、昨年大会の総合7位を上回る、WRC自己最高位の総合6位で今シーズン最初のラリーを戦い終えた。
チームオーナーである豊田章男氏から以下のコメントが寄せられた。
「TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamの5シーズン目がスタートしました。この禍の中でも例年と変わることなくWRCの道で走る機会を準備してくださった皆さまに、まずは心からの感謝を伝えたいと思います。ありがとうございました。そして、その初戦モンテカルロで、ワンツーフィニッシュという素晴らしい結果を残してくれたチームのみんなにも“おめでとう”と“ありがとう”を伝えたいと思います。特に、1号車の誇りと責任を背負いながら、今回も確実に結果を残してくれたセブとジュリアン。地元での勝利、そして「50勝目」おめでとう!エルフィン、スコットも2位でのポイント獲得ありがとう!カッレとヨンネも最終日のパンクは悔しいけれど素晴らしい走りを見せてくれました。貴元もダンと共に走りきり、更なる成長を重ねてくれたと思います。自己最上位おめでとう。
昨秋からチームは新会社、新体制への移行に全力を注いでくれていました。クリスマス休暇も返上し、新体制でのシーズン開幕、そして、その勝利のために働き続けてくれたメンバーも少なくありません。現場からも「チームの誰か一人でも欠けていたらモンテカルロには間に合わなかった」という声が聞こえてきました。トミと戦い抜いてきた4シーズンを通じて培われた個々人のプロフェッショナリズムとチームワークの良さを、私も改めて感じることができ、嬉しく思いました。
モンテカルロの1週間前、新代表のヤリ-マティから、フィンランド、エストニア、ドイツ、日本にいる全てのチームメンバーに「全員の力が合わさって、はじめてヤリスが良いコンディションで走れる」という想いの共有があったそうです。ラリー中にもヤリ-マティは、チーム全員と話し、なんでも言い合える家庭的な雰囲気を作ろうとしてくれていたと聞きます。インタビューで「チーム運営に不安はないか?」という問いにヤリ-マティが「チームのみんながいるから全く不安はない」と即答してくれていた姿を見ました。私が目指すチームの雰囲気をヤリ-マティが作ろうとしてくれていること嬉しく思います。
ヤリ-マティも、チームメンバーも、そして私も、新体制でのシーズンスタートには少なからず不安があったかと思います。しかし、モンテカルロでのチームの姿を見て、私は、その不安が一切なくなりました。ヤリ-マティはこのチームをもっといいチームにし続けてくれるでしょう。そして、ドライバー、コドライバー、チームメンバーは、ヤリスを“もっといいクルマ”にしていってくれると確信しています。
ファンの皆さま、応援ありがとうございました。2021年シーズンも引き続きTOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamをよろしくお願いいたします」
https://toyotagazooracing.com/jp/