「小さな車体に巨大なエンジン」。英国のロケッティア社が、この古典的かつ極めて暴力的な手法をマツダの第3世代(NC型)ロードスターに持ち込んだ。ノーズに押し込まれたのは、ポルシェの設計に端を発する304psのフォード製V6エンジンだ。車重1トン、前後重量配分50:50というロードスターの美点を維持したまま、現代のスポーツカーを狩り立てる。約630万円で手に入る、常軌を逸したエンジニアリングの真髄を紐解く
その手法は単純だが効果的だ。小さな車を用意し、巨大なエンジンをボルトで固定し、シートベルトを締め、しっかりとつかまる。これが「ロケッティア N/C」だ。フォード製のV6エンジンをノーズに押し込んだ第3世代のマツダ ロードスター(海外名:MX-5)である。
もちろん、この手法はロケッティア社のNA(初代ロードスター)やNB(2代目ロードスター)で既にお馴染みだろう。世界で最も売れているロードスターの第3世代(NC型)が、ついに日の目を見る(あるいはスポットライトを浴びる)時が来たのは、ごく当然のことだ。
いや、より正確に言えば、ジムで鍛え上げる時が来たと言うべきか。搭載されるフォード製V6エンジン(2003年以降に登場した3.0リッターの「AJ30」型。モンデオ、ジャガー Sタイプ、Xタイプ、さらにはXFにも搭載され、元々はポルシェから買い取った設計である)は、力強い304psと359Nmを発揮する。少なくとも現時点では、ロケッティア社はこれを「標準」スペックと呼んでいる。
このエンジンにはカーボンファイバー製のインテーク(スポーティで甲高い音がする)と新しいエキゾースト(これもスポーティだ)、新しいスロットルボディ、クラッチ、フライホイール(韻を踏める言葉がもう見つからない、すまない)が装備されている。また、コスワース製のシリンダーヘッドは、ロードスターのバルクヘッド(エンジンルームと車室の隔壁)に頭突きしないよう(干渉しないよう)に加工されている。
それ以外のシャシーやサブフレームの構造は、日本を出荷された時のままだ。車重(わずか1トン強)も、重量配分(50:50)も変わらない。ロケッティア社は「この新しいモデルは、個性的で高回転型のV6エンジンによって、既存の車を全く別のものに生まれ変わらせる」と断言している。
古いロードスターの良さを維持したまま、300頭を超えるフォードの馬を安全に受け入れ、発揮させる。その境地にたどり着くまでに、18ヶ月に及ぶ徹夜の作業と、おそらくはいくらかの罵声が必要だったようだ。
「これはエンジンに始まり、すべての要素を見直す、ゼロからの完全な再設計プロジェクトでした。オリジナルの良さや本質を一切損なわないよう、細心の注意を払いました」と、ロケッティア社のマネージング ディレクターであるブルース サウジーは語る。
「初代マツダ ロードスターが発売された時、ハンドリングとドライバビリティの基準を塗り替えました。我々は、あらゆるエンジニアリングの決定において、ロケッティア流のアプローチを確実にもたらすため、休むことなく取り組んできました」
そして、そのエンジニアリングの決定がもたらした代償は、25,000ポンド(525万円)+消費税から始まる。つまり、古い車に古いエンジンを載せ、現代の車を震え上がらせるようなバケモノに変身させるには、きっちり30,000ポンド(630万円)が必要になるというわけだ。悪くない手法だと思わないか?
我々は今年初めに第1世代(NA型ロケッティア)を試乗し、ひとつの結論に達した。「我々にはロケッティアのような車が必要だ」と。
=海外の反応=
「かなり真っ当な価格だな。他の大半のレストモッド(古い車を現代の技術で蘇らせるカスタム)とは大違いだ」
↑「その630万円にサスペンションのアップグレードは含まれてるのか? 彼らが18ヶ月間何に費やし、この改造に何が含まれているのか、記事からはよく分からないな。出力を倍にするなら、サスペンションとブレーキの強化は必須だと思うんだが。でも、彼らがここで見せてるものは好きだよ。アメリカでロードスターにLS(コルベットなどのV8エンジン)を積む費用の約半額だしな」
「素晴らしいアイデアだけど、いくら日本から輸入された車とはいえ、サビやすいことで有名な古い車にそれだけのお金をかけるのはかなり躊躇するな」
↑「ロードスターはガレージで過保護に扱われてる車(ガレージクイーン)も多いけど、そうじゃなくてもちゃんとメンテしてれば大丈夫だよ。正直NCの経験はないけど。俺は1999年式のNBを毎日乗ってて野ざらしだけど、長年メンテに金はかかってるとはいえ、比較的新しい車を維持するよりはるかに安い。結局のところ、ロードスターは英国のクラシックなスポーツカーの良いアイデアを取り入れた『ただの』日本車だからね」
「超軽量車に馬力を追加するっていうコンセプトは昔から大好きだ。日常使いできるケータハムやアリエル アトムを作ろうとする試みだよね。トヨタ GR86でも同じことをやってほしいな。あのシャシーならこれ以上のパワーでも耐えられそうだから」
「Miata(ロードスターの北米名)is always the answer. ズーム ズーム」
「素晴らしい! あとは左ハンドル版を作ってヨーロッパ本土で売ってくれ。すぐ買うって友人が少なくとも12人はいるぞ。俺も乗り込める体格なら買うんだが…」
↑「彼ら、左ハンドル車も作ってるよ。問い合わせてみたからね。俺はアメリカ在住だ(某『最高指導者』のせいで大っぴらには言いたくないが)」
↑「ありがとよ!」
↑「モンスター ミアータ(V8を積んだロードスター)もあるし、探せばターボやスーパーチャージャーのキットも山ほどあるぞ。デンマークの自動車法がここまで厳しくなけりゃ、俺も何年も前に過給機をつけてたんだが。シートの取り付け位置を下げてスペースを作るキットもあるから、お前も乗れるようになるかもしれないぞ」



