「排気量に勝るチューニングはない(There is no replacement for displacement)」というアメリカの有名な格言がある。しかし、今回紹介する12台の素晴らしい車たちを基準にすれば、「排気量に代わるものは、ある」と断言できるだろう。最新のホンダ シビック タイプRから、狂気のランチアの血を引くレストモッドまで、自動車の歴史において最もスリリングで、心臓を鷲掴みにするような走りを披露した「4気筒エンジン搭載車」の傑作たちを、イギリスのトップギアが独自の視点でピックアップする。

ホンダ シビック タイプR
11世代にわたるホンダ シビックは、6つの異なる世代のシビック タイプRを生み出してきた。そのどれもが2.0リッターの4気筒VTECエンジンを採用しており、第2世代であるEP3型の「ブレッドバン(食パンの配達車のような箱型デザイン)」以降、そのVTECは「K20」というエンジンコードで識別されてきた(イギリスの変態的ライトウェイトスポーツカーである「アリエル アトム」も参照のこと)。
しかし、ここで私たちが選んだのは、最新にして最高のFL5型シビックだ。ターボチャージャーを搭載して怪物のような330馬力(325bhp)と420Nmの出力を発揮し、それをなんとフロントアクスル(前輪)だけを介して路面に伝えるのだ! これまでに作られた中で最も偉大なホットハッチのひとつとして名誉ある地位にランクづけられる。

アルピーヌ A110
第3世代のルノー メガーヌ RSに搭載された時は、控えめに言っても我々の心に火をつけることのなかった、地味な1.8リッターの直列4気筒ターボエンジンは、より可憐な(軽量コンパクトな)従兄弟であるアルピーヌの車体中央(ミッドシップ)に収まることで、偉大さへと昇華されている。
どのスペックを選んでも心地よく野太いサウンドを響かせるが、もし102オクタンの燃料を見つけることができれば、GT4レースカーの内部パーツを使用して最高出力345馬力(340bhp)を叩き出す、最終モデルの「A110 ウルティム(Ultime)」には称賛を送らねばならない。仮に102オクタンの燃料が手に入らなくても、十分に使える325馬力(321bhp)を発揮するのだから…。

プロドライブ P25
4気筒ボクサーエンジン(水平対向エンジン)の喉を鳴らすような独特のサウンド(ボロロロ音)は、高回転で歌っている時であれ、単にアイドリングしている時であれ、自動車業界の中で最も聞き分けやすい音のひとつだ。近年ではトヨタ 86やポルシェ 718からその音が発せられているが、あなたがその音を聞くたびに間違いなく心に思い浮かべる車は、「EJ型」エンジンを搭載したスバル インプレッサだろう。
できればフルノーマルの90年代オリジナルのターボモデルか、ラリーの世界から逃げ出してきたような「22B(※1)」がいいが、WRXやSTIの匂いがする代物なら大抵のものは我々を喜ばせてくれる。そして、456馬力(450bhp)を誇るプロドライブ P25(※2)は、その中でも最もクレイジーな一台だ。

フォード シエラ RS500 コスワース
ここには多くのフォード車がランクインできたはずだが、これはその中でも最もワイルドな見た目とパフォーマンスを誇る車だ。シエラ RS500はモータースポーツのレギュレーション(規則)から派生したモデルであり、グループAでの栄光のために設計され、結果としてどうやって磨けばいいのかわからないほど多くのツーリングカーのタイトルを獲得した。事実を知るファンのために付け加えておくと、1987年のニュルブルクリンク24時間レースでも優勝している。
コスワースによって大幅に再設計された(そして今回はターボ化された)2.0リッターの「YB」エンジンは、公道走行可能なホモロゲーション(競技規定クリアのための市販)仕様では227馬力(224bhp)を発生したが、競技用のスペックによってはその2倍以上の出力を叩き出した。

メルセデス・ベンツ 190E Evo II
これもまたグループAの規則にまつわるストーリーを持つ車だ。初期の190E 2.3-16サルーン(セダン)は、コスワースの思想を借りて、公道仕様で185馬力(182bhp)、サーキット仕様で約304馬力(300bhp)を発生させた。ニュルブルクリンクで開催されたオールスター参加のワンメイクレースに使用され、当時まだ新進気鋭だったアイルトン セナが優勝を飾ったことで、瞬く間にアイコンとしての地位を獲得した。
その後の「Evo」および「Evo II」モデルでは、エンジンは2.5リッターへと拡大され、ボディの筋肉(ブリスターフェンダーなどの空力パーツ)とパワーの両方が増強され、公道仕様での最高出力は235馬力(232bhp)に達した。190Eがチャンピオンシップを勝ち取るまでにはその生涯を丸ごと費やすことになったが、競技用の190E Evo IIは1992年にDTM(ドイツツーリングカー選手権)のタイトルを獲得するという形で、見事にそれを成し遂げた。そして現在、この車に敬意を表した、約1億3600万円もする非常に高価なレストモッド(HWA EVOなど)が存在している。

BMW E30 M3
DTMで2度のタイトルを獲得し、190Eにとって最強の宿敵であった車。この2台は、ショールームでもレースのパドックでも、互いに刺激し合って偉大さへと突き進んだ。本気でのめり込む覚悟のある者たちは、これをMディビジョン(BMWのモータースポーツ部門)史上最高の車の1台だと考えている。しかし、その極度に神経質にチューニングされた「S14」エンジンは、公道仕様のスポーツ エボリューション(Sport Evolution)のトリムで2.5リッター、238馬力(235bhp)に達するものの、現代の直列6気筒やV8エンジンよりもはるかに頻繁にシフトを掻き回す必要があり、その間、ドライバーは厄介なドッグレッグ(1速が左下にあるレーシングパターンのシフト)のマニュアルギアチェンジに合わせて自分の感覚を調整(キャリブレート)しなければならない。
しかし、なんということだろう、今日見ても彼らは信じられないほど見栄えが良い(そして、底知れぬほどのお金がかかるのだ)。

VW ゴルフ GTI クラブスポーツS
フォルクスワーゲンの「EA888」エンジンファミリーは、登場からすでに約20年が経過している。その最も有名な応用例は、あるいは、もしあなたの地元のメインストリートが反社会的な運転をするゴルフRによって悩まされているなら、最も「悪名高い」応用例と言うべきだろうが、フォルクスワーゲン ゴルフ、クプラ、シュコダ オクタビア、そしてアウディ S3といった幅広い車種に散りばめられている2.0リッターの4気筒ターボエンジンである。
最高出力は、現行のセアト レオン VZ3(Leon VZ3)やゴルフRで333馬力(328bhp)に達しているが、EA888の到達点(ピーク)は間違いなく、軽量化され、「リング(ニュルブルクリンク)」の記録を粉砕したスペシャルモデル、ゴルフ GTI クラブスポーツSだろう。ほぼ完璧な車である。

ルノー メガーヌ R26.R
あるいは、元祖となる、軽量化され、「リング」の記録を粉砕したホットハッチバックはどうだろうか? ルノー スポール メガーヌ R26.Rは間違いなく完璧な車だ。もっとも、プラスチックの窓を持ち、本来後部座席があるべき場所に真っ赤なロールケージが鎮座している3ドアハッチバックに、プレミアムな価格を支払うことなど到底理解できないという、納得のいっていない市場に向けて発売されたのではあるが。
数々の象徴的なクリオ(日本名:ルーテシア)に搭載された「F4R」エンジンのターボチャージャー版である、メガーヌの「F4RT」(そう、そういう名前だ)は、230馬力(227bhp)と310Nmを発生させ、わずか1.2トンの車体を猛烈に引っ張り、ノルトシュライフェ(ニュルブルクリンク北コース)で8分17秒というタイムを叩き出した。これは同時代の(V12エンジン搭載の)アストンマーティン ヴァンキッシュよりも速い記録である。

メルセデス AMG A45 S
ここで注目すべき大きな数字は「比出力(排気量1リッターあたりの出力)」だ。GMA T.50(ゴードン マレーが手がけたV12搭載の超ド級ハイパーカー)が1リッターあたり167馬力(165bhp/litre)を謳っているのに対し、1,991ccの4気筒エンジンから421馬力(415bhp)を絞り出す、つまり1リッターあたり211馬力(208bhp/litre)を発揮するというのは並大抵のことではない。しかし、AMGがホットハッチを手がけるなら、明らかに本気で(妥協なく)やるということだ。
A45に向けられる注目の多くは、そのドリフトモードやワイルドなエアロキットに関するものだが、あの短くずんぐりとしたボンネットの下に押し込まれた全能の「M139」エンジンこそが真のヒーローである。物議を醸しているC63のハイブリッドモデルにも似たようなユニットが登場したって? その話はさっさと次に進めよう(※V8を捨てて4気筒ハイブリッドになった新型C63への皮肉)。

キメラ EVO37
トップギアが選ぶ「パフォーマンス カー オブ ザ イヤー」に現在君臨している、他ならぬこの車は、非常にスリリングな他の2つの4気筒ヒーローの精神を、1つの魅惑的な製品に注ぎ込んだ驚異的なマシン(スタナー)である。視覚的には、EVO37はランチア 037(公道モデルおよびラリーカー)からデザインを拝借している。037は2.1リッターのスーパーチャージャー付きユニットを搭載し、最高出力は325馬力(321bhp)だった。その後、ランチア デルタ S4に取って代わられ、S4はより小型の1.8リッターエンジンにスーパーチャージャーとターボチャージャー(ツインチャージャー)を組み合わせ、約504馬力(500bhp)を発揮した。
もしルカ ベッティ(キメラ アウトモビリの創業者)が、前者のサイズ感と後者のツインチャージャーを組み合わせて、完全な公道走行可能な558馬力(550bhp)の芸術作品を作り出していなかったら、その両方(037とS4)とも間違いなくこのリストに名を連ねていただろう。なんという代物だ。

ロータス エリーゼ S1
ロータス エリーゼを運転することは、死ぬまでにやりたいことリスト(バケットリスト)に入れるべき体験であり、本物の車好き(ペトロールヘッド)なら、この地球上にいる間に少なくとも一度は手を出してみるべき車だ。初期のエリーゼ S1は、ローバーから調達したわずか120馬力(118bhp)の1.8リッター「Kシリーズ」エンジンを搭載していた。しかし、そのスリムな重量とシャシーの素晴らしさは、スーパーミニ(コンパクトカー)レベルのパワーを、スーパースター級のドライビング体験へと変貌させたのだ。
パワーは、サーキット走行向けにチューニングされたエリーゼ スポーツ190と、月面探査車(ムーンバギー)のような狂気のマシン「340R」で、最高190馬力(187bhp)に達した。

ホンダ インテグラ タイプR
そう、この一連のリストを締めくくる(ブックエンドにする)のは、もう一つのホンダ車だ。FL5型シビックは真のモダンアイコンかもしれないが、それらすべての中で最も純粋で、最もスリリングなタイプRは、依然として90年代後半の「Teg(インテグラの愛称)」のままだ。190馬力(187bhp)でターボもなく、現代の同門のホットハッチが持つパワーの半分をわずかに超える程度しか提供しないが、それを首筋がゾクゾクするような8,700rpmのレブリミットと、あまりにも生々しく強烈なFF(前輪駆動)のドライビング体験で補っており、なぜこれ以降、わざわざ後輪駆動(RWD)のパフォーマンスカーを作ろうとする人間がいたのか不思議に思うほどだ。
【補足・注釈】
※1 22B:スバルがWRC3連覇を記念して1998年に400台限定で発売した「インプレッサ 22B-STIバージョン」のこと。伝説的な名車として世界中で高値で取引されている。
※2 プロドライブ P25:スバルのWRC活動を支えたイギリスのプロドライブ社が、22Bを最新のカーボン技術などで現代に蘇らせたレストモッドモデル。価格は1億円。
トップギア・ジャパン 072:トヨタが放つV8スーパーカーの衝撃と、2026年を支配する18台
中古車が気になった方へ
中古車相場をチェックする在庫車多数ガリバー
![]()
今の愛車の買取価格を調べる カーセンサーで最大30社から一括査定
![]()
新車にリースで乗る 【KINTO】





