H. モーザーが2021年の新作をオンラインにて発表した。プレゼンテーションは、CEOのエドゥアルド メイラン氏、日本でH.モーザーを展開している田中邦宏代表によって行われた。
H. モーザーはハインリッヒ モーザーにより1828年に創設された。ノイハウゼン アム ラインファルを拠点とし、現在、約60名の従業員を擁し、14 の自社製キャリバーを開発し、年間に1,500個以上の時計を製造している。H.モーザーは、その姉妹会社であるPrecision Engineering AG(PEAG)を通じて、調速機構やヒゲゼンマイなどの部品を製造しており、これらは自社の生産に使用されるほか、パートナー企業にも供給されている。
コロナ禍となった2020年は、スイスの時計業界全体が-21.8%の売上減となってしまった。しかし、H.モーザーは、小売店やパートナーへ供給する売上は+12%、さらに、小売店から消費者への販売は+27%と、かなりの好成績を出している。昨年は、Eコマースにも進出し、アメリカ、イギリス、中東ではとくに販売実績を上げているのだ。認定中古もたいへん人気があり、中には定価よりも価格が上昇してしまうものもあるという。日本では現在8店舗だが、今年中に、さらに2店舗を増やす予定になっているという。
ラインナップは、STREAMLINER、PIONEER、ENDEAVOUR、HERITAGEの4つで、ここにスペシャルモデルが加わる。中でもパイオニアのラインは、スポーティでデイリーユースにぴったりの、H.モーザーエントリーモデルとしてもおすすめだ。
まず、「エンデバー・センターセコンド・コンセプト X seconde/seconde/」。パリのデザイナーである、seconde/seconde/とのコラボレーションだ。従来の針の代わりに時間の経過を示す、鮮やかな色彩のピクセル化された消しゴムは、作品を完全に見せるためにロゴが消されたことを表している。世界限定20本、WEBサイト限定商品で、247.5万円。ちなみに、現時点では予約がいっぱいで、キャンセル待ちだそう。
次に、「エンデバー・トゥールビヨン コンセプト タイガーアイ」。青系の石はファルコンアイ(鷹目石)、赤系の石はオックスアイ(雄牛眼石)という天然石のタイガーアイ(虎目石)をコンセプトにした限定モデルだ。ロゴとインデックスを排し、6時位置に開口部を設けてフライング トゥールビヨンを際立たせたダイアルが特徴である。各色50本ずつの限定だが、2021年は25本ずつ、2022年に25本ずつという予定になっている。価格は924万円。
最後に、センセーショナルな1本を。「パイオニア・トゥールビヨン メガ・クール」だ。これまでH.モーザーの時計を見てきた人にとっては、驚くようなポップな展開である。夏の到来をを予感させる明るい雰囲気だ。オンライン発表会でも、メイランCEOがサーフボードを持って、トロピカルドリンクを飲んでいたので、なんだろう?と思っていたのだが、このモデルの発表で謎が溶けた。
ブルーラグーン フュメダイアルは、12 時位置にブランドのロゴが飾られ、クリアラッカーでこの上なく上品に仕上げられている。純粋さとミニマリズムは、H. モーザー社のモットーで真の愛好家はブランドではなく、製品の本質的な価値を見極めて購入するという。ファセット加工のアプライドインデックスはアンスラサイトグレーで、トップ部分にスーパルミノヴァ® コーティングのマーカーが配されている。針は、スーパルミノヴァ® を混合したセラミックベースの革新的な素材グロボライト® の部分が重なるように 2 つに分かれた立体的な構造となっている。エレガントであると同時に耐久性にも優れたステンレススチール ケース、ドーム型サファイアクリスタル、12 気圧の防水性が特徴だ。年内の販売を予定しているが、入荷数が少なくなりそうなので、納期は少し辛抱が必要かもしれない。価格は、世界50本限定で649万円。もう1本、「パイオニア・センターセコンド メガ・クール」もある。こちらは181.5万円だ。名前の「メガ・クール」だが、スタッフがこの時計を見て「まさにメガクール!」と口にしたことから、つけられた。これは、ブレイクの予感がする。
なお、H.モーザーは、新型コロナウイルス感染症の治療研究を行う国立国際医療研究センターを支援するため、エンデバー・センターセコンド オートマティック コンセプト ブルーホライズン日本限定モデルのプロトタイプ 1 本(295万円・税別)を特別販売し、その売上金の一部を寄付している。