パガーニ・アウトモビリの2019年8月にイタリアで初披露されたウアイラ ロードスター BCが日本初上陸、およびアジア初上陸し、お披露目が行われた。
ウアイラ ロードスター BCは、世界40台限定生産、308万5,000ユーロ(3億9,488万円+税)という金額にも拘らず、すでに完売という状況だ。滑らかな運転と、エクストリームなパフォーマンスの両立、軽量性および安全性と、デザインやエレガンスの融合が叶えられているウアイラ ロードスター BCは、パガーニの創造的な哲学の礎であるレオナルド・ダ・ヴィンチの芸術と科学の基礎概念に基づき開発された。
ウアイラ ロードスター BCに採用されるエンジンは、AMGから供給を受けた6リッターV12ツインターボで、出力は800hp。これはクーペ版のウアイラBCよりも11馬力高い出力となっている。0-100km/h加速および最高速度は非公開だ。そして、すべてのコンポーネントは、わずか1,250kgしかない。
ウアイラ ロードスター BCは、公共の道路とレーストラックのどちらでもドライバーが運転を楽しむことができる地上高を維持しながら、280km/hで500kgのダウンフォースを得ることを目標に設計された。この目標を達成するため、あらゆる運転条件における内部のエアフローシステムと外部の空気力学的に滑らかさを追求したシルエットとのバランス調整が行われた。フロントはパガーニV12エンジンに必要な熱交換を保証すると同時に、効果的なダウンフォースを生み出すよう改良された一方で、リアは空気の抽出をすることで常に圧力を中心に保っているため、リアウイングは平均的な道路速度でも非常に効果的だ。
ウアイラ ロードスター BCは、カーボンファイバーとカーボンチタンを基本とした新しいテクノロジーを採用している。これにより、パガーニ・アウトモビリが提供してきた従来の技術に比べ、ねじり剛性が12%、曲げ剛性が20%増加したことで、運転時のダイナミックレスポンスや危険な状態における安全性を高めることを可能にしている。
メルセデスAMGの供給によるパガーニV12エンジンは、2つの新しいターボ、革新的なハイドロフォーミング成形、2つのスロットルボディ、4つのウォーターエア・インタークーラーを含む革新的な機能を搭載している。最高出力800hp、最大トルク1,050Nm以上で、回転毎分2,000rpmのこのエンジンは同一カテゴリー内で最も優れた重量出力比を誇る。その可能性を最大限に活用するため、エンジンはボッシュ社が設計した、洗練された電子システムに支えられている。なお、このエンジンは、ハイブリッドシステムに頼ることなく、カリフォルニアの環境規制を含む最新の国際的二酸化炭素排出量とガス排出基準に準拠している。パガーニの広報を務める柳原氏、飛田氏に伺ったところ、このAMG製M158型60度V型12気筒SOHC36バルブツインターボエンジンは、メルセデスAMGではCL65 AMGなどに搭載されていたものをベースに、パガーニ専用のチューニングを施しているもの。柳原氏曰く「AMGの方は低回転からトルクを感じられ、パガーニの方は高回転に最適化されています。オラチオ パガーニはアルゼンチン出身ですが、創業時に同じくアルゼンチン出身のドライバー、ファン マヌエル ファンジオに相談すると、AMGのエンジンを使うよう強く勧められたそうです。エンジンノイズがAMGの方は重低音で威圧感があり、パガーニの方は金属系の抜けた音がするんです。このエンジンノイズは本当に気持ちが良くて、皆さんにもぜひ一度聴いていただきたいほどなんです」ということだった。
ボッシュ社の技術はパガーニ・アウトモビリの技術の源であるサスペンションユニットにも適用されている。シャシーの剛性、車両力学、サスペンションの弾性運動学、そして重心と重量の低下などの要素を研究した後、性能や安定性・安全性をさらに高めるためボッシュ社の電子工学を採用した。この電子システムによって、ダイブ、スクワット、そしてロールの効果を劇的に抑制するだけでなく、車両のコントロールと安全性を新たなレベルへ引き上げてくれる。
Xtrac社製の7速シーケンシャルミッションが搭載されたギアボックスは、パガーニV12エンジンのすべてのパワーと優れた反応性を運転に順応させることを可能にさせており、フライホイールとクラッチのユニットは、トリプルディスククラッチ、電子制御ディファレンシャル、そしてレーシングスタイルの3ウェイカップリングシステムで構成されている。トランスミッションシステムは、デュアルクラッチトランスミッションに比べ35%も軽量化され、トランスバーサル構造は、車両全体の重量を軽減するだけでなく、極慣性によってオーバーステアを大幅に制限することができる。
ウアイラ ロードスター BCのために開発されたピレリP Zero TrofeoRタイヤは、ピレリ社の高性能タイヤ部門であるModular Integrated Robotized System(MIRS)で考案されたもの。天候や運転動特性に関係なく、熟練していないドライバーでも総合的な安全性とコントロールのセンセーションを感じることを目的としている。この究極的なピレリのタイヤは多くの主要テストトラックにおいて著しく高い性能を発揮しており、通常走行時は1.9gの横加速度、ピークは2.2g、縦方向の減速時も2.2gという驚異的な結果を達成している。リムの部分には、鍛造されたアビオナル合金が使用されている。軽量のマニュアル仕上げの14本スポークデザインは、ウアイラ ロードスター BCの特色とエレガンスさが一目でわかるよう表現されている。
ウアイラ ロードスター BCにはブレンボ社によって開発された、フロントに6ピストンワンピースキャリパー、リアに4ピストンワンピースキャリパーを備えたカーボンセラミックシステムが装備されている。
ウアイラ ロードスター BCの内装は、過去のモータースポーツやグランツーリスモといった伝統へのトリビュートを表し、現在、未来の姿を融合させる官能的な経験を提供します。パガーニのエレガンスさとスタイルは、カルボウッドや繊細にエンボス加工されたレザーなどの素材だけでなく、レーシングスタイル、4点式シートベルト、9チャンネルオーディオシステム、洗練されたアクセサリーといった仕様によっても表現されている。
発表会の進行役も務めたムーヴ株式会社取締役の笠井裕太氏にお話を伺った。
「パガーニは現在世界に24拠点ありますが、パガーニとブガッティ、そしてピニンファリーナの販売を2つ、あるいは3つ並行して行なっている国が結構あります。私どもスカイグループでも全く同じでして、この3つのブランドを展開しております。こういったハイパーカーをお求めになるお客様の層が重なってきますので、様々なカードを持っているスカイグループは、お客様に様々なご提案がしやすいと自負しております。ウアイラ ロードスター BCは残念ながら完売しておりますが、今回のアジア初のお披露目により、パガーニの認知が広まっていくことを期待しております。パガーニは認定中古車のお問い合わせもかなり頂いておりますので、その対応にも力を入れて行くつもりです」
トップギアではおなじみのハイパーカーを複数扱っているスカイグループの動向も楽しみだ。