レンジローバーの電動化モデル「ランドローバー レンジローバースポーツ エレクトリック」が登場した。内燃機関からアクティブアンチロールを継承し、総出力558psを発揮するこのスポーティな巨体は、ライバルがひしめく市場へと放たれる。しかし、118.5kWhの巨大バッテリーを積みながらWLTP航続距離が602kmに留まるなど、オフロード性能と引き換えにした空力の代償は無視できない。シニカルな議論の的となる最新EVの真価を紐解く。
この新型ランドローバー レンジローバースポーツ エレクトリックは、フルサイズのレンジローバーよりも困難な任務を負っているのだろうか?
巨大なモデル(フルサイズのレンジローバー)は唯一無二のクラスにいる。この「より安価」でスポーティなモデルは? 電動のライバルたちを解き放て!
ランドローバー レンジローバースポーツ エレクトリックは、レンジローバー エレクトリックよりも厄介な仕事をしている。レンジローバーの任務は誰の目にも明らかだ。背が高く、壮大で、横柄で、EVの中で孤高の存在であることだ。一方、より安価なスポーツは(110,000ポンド(2,300万円)というのは比較して「安い」だけで「安価」ではないが)、群がるライバルたちに対処しなければならない。
これら2台のバッテリー駆動4x4は、これから説明する技術的な理由により、運転した感触が互いに異なる。しかし、まずは同じドライブトレインを共有していることを知っておいてほしい。前後のモーターから合計558psを発揮する。どちらも118.5kWh(実質容量)のバッテリーを搭載し、同じ800Vの電気システムで稼働するため、ピーク時350kWでわずか22分でその巨大なバッテリーを10%から80%まで補充できる。
WLTP航続距離は602kmで、スポーツは兄貴分(レンジローバー エレクトリック)よりもまるまる3.2km(2マイル)余分に航続距離を絞り出している(※皮肉)。
それでは違いについて。それこそが2台の車に異なる運転キャラクターを与え、ランドローバー レンジローバースポーツ エレクトリックを、ポルシェ カイエン エレクトリック、2027年春登場のBMW iX5、メルセデスAMG EQE 53 SUV、そして(販売されている地域に住んでいるなら)キャデラック リリックVに立ち向かうのにふさわしいものにしている要素だ。
内燃機関から電気駆動への移行において、背の高いレンジローバーはアクティブアンチロールシステム(※電子制御でロールを抑える機構)を失った。理由は単純だ。バッテリーの塊が重心を低く保つため、いずれにせよ車体が傾きにくくなるからだ。このシステムをなくせば、コスト、重量、エネルギーを節できる。しかし、RRS(レンジローバースポーツ)はアンチロールシステムを保持している。
RRエレクトリックと同様に、RRSエレクトリックはツインチャンバーエアスプリングを備えており、車高だけでなく実際のスプリングレートも電子制御されている。さらに、アダプティブダンパー、即座に反応する前後のアクティブトルクスプリット、四輪操舵、ブレーキによる横方向のトルクベクタリングも備えていることを忘れてはならない。それに加えて、アクティブアンチロールだ。
つまり、状況や選択したドライブモードに応じて、車の頭脳が走りの特性を変える余地がかなり広いことがわかるだろう。
公道では(いや、まだプロトタイプなのでゲイドンにあるJLRのテストコースでの話だが)、RRSエレクトリックは巨大なレンジローバー エレクトリックよりも常に車高が低く、どっしりと落ち着いているように感じられ、通常のドライブモードでもロールが少ない。
ダイナミックモードに切り替えても、漫画のような極端な挙動の変化はないが、確かに有用で目に見える変化がある。コンディションの良い道で使ってみる価値があると思えるものだ。乗り心地は依然として十分に許容範囲だが、ステアリングは重くなり、硬くなったエアスプリングと引き締まったダンピングの組み合わせにより、車が本気を出しているという確かな感覚が得られる。アクセルをベタ踏みしてコーナーを立ち上がると、リアタイヤが沈み込み、荷重を受け止めているのを感じる。
RRSエレクトリックのパワートレインのモードと挙動はRRエレクトリックのそれに非常に似ているが、より持続的な高速走行に耐えられるよう、冷却系に変更が加えられている。回生レベルはパドルではなくスクリーン経由で選択する(ブーイング)が、ドライブセレクターレバーには「S」ポジションがある。これは「スポーツ」ではなく「シングルペダル」を意味するが、ある程度の回生を生み出し、ディスクブレーキを呼び起こして、素晴らしくスムーズで穏やかな停止をもたらしてくれる。
バッテリー、モーター、高電圧システムの詳細については、以前に詳述したレンジローバー エレクトリックと同じであるため、ここでは割愛する。
ライバルについて言及した。いくつか比較してみると役立つだろう。これらの数字をすべて頭に入れている読者はいないだろうから。
ランドローバー レンジローバースポーツ エレクトリック:558ps、602km、118.5kWh
BMW iX5 60 xDrive:586ps、845km、141kWh
ポルシェ カイエンS エレクトリック:675ps、652km、108kWh
キャデラック リリックV:655ps、473km、102kWh
メルセデスAMG EQE SUV 53 4Matic+:634ps、449km、90kWh
=海外の反応=
「118kWhで航続距離がたったの602kmって、レンジローバーにしてはかなり期待外れだな。BMW iX3はそこまで小さくないしバッテリーも小さいのに800km(※コメント主の勘違いだが原文ママ)走れる。一方、巨大な141kWhのバッテリーを積むiX5は853km走れるんだから。つまりBMWがクラスをリードしてるってことだ。ポルシェのカイエン エレクトリックはどういうわけか、レンジローバーより少ないバッテリー容量で長い航続距離を稼ぎ出してるし、これもまた恥ずかしい話だ。まあ、キャデラックやメルセデスほど酷くないのがせめてもの救いだが」
↑「ランドローバー レンジローバースポーツ エレクトリック。間違いなくラインナップの中で一番の選択肢だな。誰も盗もうとしないだろうから」
「うーん…どうしてポルシェの方がパワーがあってバッテリーが小さいのに航続距離が長いんだ? 辻褄が合わないぞ」
↑「ポルシェはレンジローバーに比べてちっぽけだからさ。幅が10cm狭くて、高さが20cm低い。そのおかげで空力がはるかに良くなって、効率が大幅に上がるんだよ」
↑「それでもポルシェの室内空間が狭いとかトランクが小さいとは思えないな。実際のところ、レンジローバーが無駄に高くて広いのは、誰も使わないオフロード性能をまだ組み込まないといけないからだ。要するに非効率なプラットフォームってことで、いつものようにドイツ勢がレンジローバーをあっさり打ち負かしてるわけだ」
「前回、先代のレンジローバースポーツの制動距離が記録史上最悪だったって言ってなかったか。こっちはどうなんだ?」
「少し脱線するけど、メルセデスはEQEをGLEエレクトリックに置き換えるんだろうか? ライバルと比べてEQEがどれだけ遅れをとってるか見てみろよ。これは儲かる市場なんだから、メルセデスのようなビッグネームには真面目に取り組んでほしいね」
↑「すぐにはないだろうな。彼らは古めかしいGLEをまたマイナーチェンジしたばかりだ。EQSの電気アーキテクチャをアップデートしたから、せいぜい現行EQEにも同じことをするくらいだろう。EQS SUVにはまだそれすらやってないことを考えると、あまり期待できないけどな。彼らが専用の大型EVプラットフォームをポシャって、これらの大型車向けに新しい混流プラットフォームを作ってるのは知ってる。それには時間がかかるから、2度目のGLEとGLSのフェイスリフトをやったんだ。2028年か2029年には準備できると思うけど」
「レンジローバーはバッテリーの航続距離の面ですでに1世代遅れてる気がする。俺のEVは航続距離600kmで、満充電からほぼ空になるまでで523km走ったことがある。でも普通は満充電から空になるまで走らないだろ。80%〜100%の間から走り出して、20%になったら充電しようとするはずだ。だから充電と充電の間に使うのはバッテリーの60%〜80%で、それで走れるのは320〜400kmくらいになる。これじゃあ、燃費の悪いガソリン車の航続距離に近づき始めてるぞ。個人的には、この実用的な80%〜20%の範囲でもう160km走れれば、ついに次の充電場所を心配しなくて済むようになると思う。BMWはこれを達成しそうだから、iX5を売りさばくのに苦労しないだろうね。俺が車を買い替えるとして、EVを乗り続ける前提なら、現状の選択肢を見る限りiX5が唯一の論理的なアップグレードになる。レンジローバーはまだ発売すらされてないのに、すでに遅れをとってるんだ。メルセデスのEQEに関しては…町中や郊外を這い回るだけじゃないなら、正気の沙汰で買うべきじゃないな(それならルノー5や4、パンダを買えばいい)」
↑「その巨体を考慮しろよ。iX3は比較的小さいが、これらのレンジローバーは絶対に巨大なんだ。空力こそが最大の敵であり、避けられない宿敵なんだよ。カイエン エレクトリックは、そのプラットフォームと完全に電気に焦点を当てているおかげで航続距離が少し長い(内燃機関バージョンは後回しになる)。こっちはその逆で、内燃機関(ICE)を第一に考えた条件の中で彼らが作れる最高のEVってことだ。要するに、車輪のついたレンガの塊から巨大な航続距離の数字なんて期待してなかったってこと。車体をいくら滑らかにしようとも、前面投影面積を減らさない限り遠くへは行けない。レンジローバーは低くて小さくなるようには作られておらず、威圧的で権威的であるように作られている。おまけに地上高も高いから、それがまた別の空力的な大混乱を引き起こすんだ」
↑「BMW iX5はEVとICEの混流プラットフォームのバランスを取りながら、はるかに大きなバッテリーをプラットフォームに詰め込み、はるかに長い航続距離を絞り出してるじゃないか。iX3だって大きなSUVなのに、このレンジローバーより小さいバッテリーで800km走れる。ポルシェは専用プラットフォームとはいえ小さいバッテリーでより長い航続距離を絞り出した。でもBMWは、EVとICEの両方に対応し、妥協せずにどちらも上手くやれるプラットフォームが作れることを証明してる。これがレンジローバーにとって初のEVの試みであることは明らかだけど、航続距離と効率は期待外れだ。iX5じゃなくてこのレンジローバーを買う理由があるか? 『誰も使わないオフロード性能がある』なんて言う前に、平均的なレンジローバーが直面する最大の障害は、ロンドン郊外の高級住宅街の高く盛り上がった歩道くらいだってことを思い出せよ」
↑「BMWはその妥協をうまく処理したけど、それでもほぼ同じ見た目の新型i3と新型ガソリン3シリーズを全く別のプラットフォームで作ることにしたから、その点はまだ結論が出ていないと思うな」
↑「新型メルセデスCLAはEVとICEの共用プラットフォームだし、結論は出てるよ。妥協なしでEVとICEの両方を可能にするプラットフォームは作れるんだ」
↑「レンジローバースポーツはX5よりも幅が広く、背が高く、そして最も重要なことに地上高がはるかに高い。カイエンよりもかなり背が高く、幅も広い。ホイールベースが短いのは悪路で役立つが、車体に電気を限界まで詰め込むのには向いてない。車全体を再設計しない限り、車をより長く走らせる方法はなかったんだ。結局のところ、もしお前が航続距離を求めているなら、今後登場するレンジローバー GTがお前のための車になるだろう。これは妥協のない豪華なオフローダーで、たまたま電動になっただけだ。おまけにスポーティな気取りもある」
↑「要するに、誰もオフロードになんて使わないのに、まだオフロードを走れる必要があるふりをしてるせいで、レンジローバーはEVとして劣ってるってことだろ。金持ちが子供を学校に送迎するための車でしかないのにな。一方のレンジローバー GTは、その奇妙な形のせいで実用性が犠牲になってるし、せいぜい480kmしか走れないんだから、航続距離が欲しいならそれも買わないだろう。レンジローバーは圧倒的に遅れをとってるよ。iX5よりもどう豪華なのか説明できるなら感心するが、オーナーがいつ実際にオフロードで使うんだ? スポーティさについて言えば…頼むよ、3トン近くもある車だぞ。車椅子に乗った喘息持ちのヤク中くらいスポーティだな」
↑「名前に『スポーツ』が入ってるんだから、彼らが嘘をつくはずない! 絶対にな! GTの航続距離はまだ分からない。寸法も分からないし、大まかな輪郭と、本質的に同じ電気アーキテクチャになるプラットフォーム以外は何も分からない。ただ、車高が低くなること、つまり前面投影面積が小さくなること、つまり物理法則が働くおかげで空力が良くなり、航続距離が延びることだけは分かっている。そしてRRSやRRがこうなっているのは、顧客がそれを期待しているからだ。彼らは妥協したくないからこの車を買う。ランドローバーは自社の顧客をよく分かっているんだよ」
↑「スポーティじゃないだろ。プラグインハイブリッド版だけで2.5トンをはるかに超えてるんだぞ。レンジローバー GTに関しては、SUVになろうとして不格好な形になったBMW X6みたいな妥協の産物だ。航続距離について言えば、もし同じプラットフォームでこれだけ非効率なら、そのゲームでBMW iX5に勝てるわけないんだから、言い訳するのはやめろ。レンジローバーの客は奇妙だよ。彼らは豪華さを求めると同時に、自慢できるけど絶対に使いもしないオフロード性能を欲しがる。ゴミみたいな信頼性と並んで、本質的に妥協を強いられてるんだ。BMWは豪華さの点でも同じくらい素晴らしいし、航続距離も長い。繰り返すけど、どうして俺がレンジローバーを買う必要がある?」
「最近このサイトでそれに関する記事があったね。iX3は航続距離が長すぎて、常に充電のことを考える必要がないって。俺はレクサス RZ 450eに乗ってるけど、完全に対極にあるよ。街乗りはいいけど、旅行に出ると充電ストップを考えなきゃいけない。小さいタイヤでの公式航続距離が440kmで高速道路に乗ると、現実には200kmごとに止まらないといけない。あるいはもっとゆっくり走るかだ(夏場でも制限速度は120km/hだけど)。俺がiX5を好きじゃない理由は、シャシーがガソリンと電気のパワートレイン両方のために作られてるから、バッテリーなしでも決して軽量じゃないことだ。だから彼らは巨大で重いバッテリーを詰め込まざるを得なかった。iX3の方がパッケージングはずっといいよ。セルに問題さえ起きなければね(取り外し可能なモジュールに詰め込まれてないから、欠陥セルを交換するには車をバラバラにしないといけないけど)。」
↑「電動SUVの航続距離の問題は、SUVの空気抵抗があることに加えて、電気自動車は高速走行時の効率が落ちることだ(ギアを持たせることで緩和できるかもしれないが)」




